大量発生4
悲しいかな、今回は主人公不在だ
・・・その数およそ50体。上位種『ゴブリンナイト』、『ゴブリンプリースト』。進化種『ゴブリンエリート』。希少種『ネオゴブリン』が確認された。
そのことから、ギルドはこれを「ゴブリングループ」から「ゴブリン同盟」と認識を改める。
また、短期間でここまで成長を遂げていることから、迅速な討伐が求められる・・・・
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ギルドにライたちが戻り、報告した後すぐに依頼版に緊急依頼としてその内容が貼りだされた。
受けられるランクは本来ならランクCからだが、ここまでの急激な成長によって危険度を挙げてランクBまでに上昇。
報酬も底上げされて、緊急募集がかけられた。
「思ったよりも人数が集まったな・・・・・」
ギルドマスターであるアーガレストはそうつぶやいた。
募集をかけてものの30分でかなりの冒険者たちが依頼を受けることにしたのである。
「原因としては、・・・・ご主人さまたち原因だと解析できマス」
ワゼがそう淡々と述べた。
ライたちが戻ってきているので、屋敷に戻る予定だったが、ギルドが忙しくなりそうなので片付くまでは手伝っておいてと言われたので、現在もここで仕事を受けているのである。
「まあ、物凄くわかりやすいことだけどねぇ・・・・」
ゴブリンは男も女も関係なく襲い、自身の繁殖に利用する。
ハクロたちが襲われてそんな目にあわされたらたまったものではないと、ギルドにいたBランク以上の冒険者たちが結束したのである。
男性冒険者が大半だが、可愛さで人気があるロウやリーゼファンの女性冒険者たちも参加している。
「デスガ・・・・・ここまでのゴブリンの繁殖の早さはメモリにもありまセン。ここまで上位種や希少種などの存在があることから、87%の確率で人為的なものであると推測できマス」
「残りの13%は?}
「突然変異が4%、いくつかの群れが合わさったのが6%、残りは偶々大量発生したのだという結果デス」
となると、やはり人為的な可能性があるわけで・・・
「あ、計算ミスしてまシタ」
「ん?」
「もう一つの可能性を計算に入れると、86%の確立まで低下しマス」
「1%分だけ何かあるのか?」
ほとんどないような可能性だが、可能性としてあるのなら何かアーガレストは気になった。
「・・・ギルドマスターは知っていますカ?モンスターにたまにあることデ」
「たまにあること?」
「ハクロさんのような、はじめっから高い知能を持っているモンスターが出現することデス」
・・・・そのことは一応知っている。
モンスターの種族わけをする際にある希少種や超希少種、幻獣種、神獣種などがそれにあたる。
「もしかしてだが・・・・・発見できていないだけで」
「はい、希少種『ネオゴブリン』は確認できていますが、それだけでここまでの群れになることは不可能に近いデス。ゴブリンの中で別の希少種や超希少種、幻獣種、神獣種が発生したか・・・・・もしくは、その群れを従わせることができるだけの全く別のモンスターが関わっている可能性が1%ありマス」
そうだとすると、それはそれで物凄く危ない状態である。
モンスターの群れが、そのモンスターとは別のモンスターが率いていたという例はないわけではない。
牧場の馬の中に、いつの間にか幻獣種の『ユニコーン』や『ペガサス』が混じっていてそのリーダーとなっていたり、『サイクロプス』という単眼巨人の群れのリーダーとして超希少種の『エンペラーコング』という別のモンスターがなっていた例がある。
また、スライムの群れのリーダーとして神獣種の『フェニックス』がなぜかなっていたという摩訶不思議な例もあるのだ。
それらに共通していたのが、どれもが群れの規模が通常よりも大きく、率いていたリーダーや、多く混じっていたのが希少種や超希少種、幻獣種、神獣種などであった。
そして、今回のゴブリン同盟も・・・・・その可能性に当てはまる。
ただ、ほとんど起きる可能性がなくて稀にしかない。
いやな予感がしつつも、アーガレストはどう動くべきなのか考えるのであった・・・・
こういう時に限って、嫌な予感は当たるというものですよ・・・