冬の健康診断
こういった日常的な話が結構面白い
ギルドでは、魔物使いたちに無料での従魔の定期健康診断を実施している。
モンスターと言えども、病気になることだってあるし、怪我だってする。
人と同じように健康診断が義務付けられているのであった。
・・・ハクロの場合、健康診断を受けたのはライが冒険者用学校に入学してからだけどね。そこで初めて知ったよそのことを。
ちなみに、アルテミスやリーゼは野生のモンスターであったため、受けに入っていなかった。
「これが始めての健康診断かのぅ・・・・」
「他の魔物使いの従魔がいますよねぇ」
スライムやゴブリンと言ったのはもちろん、ガーゴイルやゴーレム、コボルト、ウルフなどと言った、この辺境都市在住の魔物使いの従魔たちが集まっていた。
健康診断会場は、ギルドに気が付かなかったけどあった地下室である。
地下とはいえ、けっこう広い。なぜなら、モンスターの体格なども考慮されているからであった。
主である魔物使いたちは、従魔の健康診断が終わるまでギルドで互いの情報交換を行う。
ライの場合、あの従魔たちをどうやって従魔契約をしたのかなどの情報交換を行っているのであった。
・・・ちなみに、健康診断で測定するのはちゃんと男女で分けられている。
万が一のために、実力のある冒険者が抑えられるように待機している人たちもいる。
「今年はどうでしょうかね・・・」
「・・・体重が少し心配」
「オオキクナッタカナ?」
「昼寝・・・健康必要」
「こういった診断はまぁ大事じゃろうな」
ハクロたちの場合、人型なので女性のギルド職員が図ってくれることに。
男性職員が残念がっていたけど、そこは仕方がない。
なお、職員に自然にワゼが混じっていた。一応実力はあるしね。
「では、まずは身長から・・」
この場合、身長は普通に立っている状態での頭の高さを指す。
スライムであるロウは体を伸ばせるが、あくまで自然の状態で測ることを求められた。
アルテミスも足を延ばそうとしたけど・・・水中ならしっかりできるけど、陸上だから骨がないタコの足だとそこまでびしっとできなかった。
リーゼの場合は・・・・
「人化時と、人化解除して本来の水龍の時の姿での全長を・・・」
「わかった・・」
一応サイズがものすごく大きくなるので、いったん外に出て人化を解いてもらう。
サイズとしては、かなり大きくドラゴンの威厳感が出ていた。
ビビる人もいたし、人化した姿でいてほしいという苦情が出たのは別の話。
「次が、3サイズの測定ですネ」
「モッサンさんはいませんよね?」
「いませんヨ。もうすでに縛り上げていますカラ」
すでに対策済みであった。
「サイズが・・・」
「モンスターに負けた・・・・」
「あれはずるいでしょう・・・」
「くびれなんかもいいし・・・」
測定後、女性ギルド職員たちが落ち込む。もはやハクロたちが健康診断を受けるたびに見慣れた光景である。
「さて、他にも・・・・」
まあ、ワゼだけは平気であったが、魔道具はそんなことは気にしませんヨ。
走り幅飛び、握力測定など、普通にありそうなものになる。だが、モンスターによっては、受ける測定が変わる。
ウルフ系なら噛みつく顎力、アルテミスのように触手がある場合はその精密さなどね。
「健康診断終了でーす」
測定が終わり、それぞれの従魔たちは主の元へと戻る。
「終わったかい?」
「はい、たぶん大丈夫ですよ」
「・・・健康」
「シンチョーノビテタヨー」
「初めてなので、いまいちわからない」
「足つったのじゃ・・・」
「其の8本のどれを?」
何はともあれ、健康診断結果は3日後に出た。
「うーん、90を超えましたね・・・」
「・・・体重ちょっと増加」
「ウミュ?」
「人化時のと、解除時のどちらを見ればいいのです・・・?」
「ふむ、ちょっと乾燥しているのかのぅ。保湿クリームを作るべきか」
こういった診断表の内容は、本人以外は見ないようにしているからいいか。
なお、健康基準としては肌の状態が良いことなどが挙げられる。
毛並みとか、柔らかさとか、質感とか・・・・・だって、モンスターによっていろいろとねぇ