冬の会話
本日2話目
なんとなくこういった感じの暮らしかな
「今日は寒いね」
「寒いですよねー」
本格的な冬が到来し、辺境都市ザストに雪が降り始めた。
冒険者たちにとっては、依頼を受けにくくなるので嫌な季節だが、それ以外の人にとっては雪だるまを作ったりして楽しめる季節である。
依頼達成して生活費を稼がないと・・・凍死もあり得るからね。
まあ、僕らは家を買ったでそのあたりは安全になったけど。
そんなこんなで、ワゼに寒さをどうにかできないかなと頼んだら「こたつ」という物を出してくれた。
入ると結構暖かい。
でも、ハクロの場合アラクネなので蜘蛛の部分が入れない。
「私だけですよね・・」
「我もじゃよ・・・」
アルテミスも、スキュラなのでたこ足の部分全部が入らない。
モンスターあるある問題に彼女たちは実感したのであった。
「アルテミス・・・人化できる薬とか作れませんかね?」
「無理じゃ。できておったらとっくの昔にやっておるのじゃ」
なんでも、体の構造を無理やり変えようと思えば変えられる薬は作れるが、材料が入手困難な非合法なものと、作り方がものすごく難しいものだとか。
「一応そんな薬品が存在するのか・・・・・」
「過去にな、人魚のモンスターを人の姿にすることができたスキュラがいたそうじゃが、代償もあったそうで喉がつぶれて声が出なくなったらしい。副作用で海水に浸かったら泡になったというしのぅ」
「物凄く危ない薬ですよね・・・」
なーんかどっかの絵本の話なような気がする。
とりあえず、毛布をかぶってもらうことで二人には我慢してもらった。
「それにしても・・・こたつで全員集まるってなんかいいですよね」
「足があったまるのよね」
「オコター」
「暖かい・・・・すやぁ」
「眠ると風邪ひきますヨ」
こたつで寝たリーゼに、ワゼが注意をかける。
「私・・・水龍だか風邪ひかない・・」
「そういや、モンスターも風邪って引くのかな?」
ハクロと結構長くいたけど、風邪ひいた姿を見たことがないような。
「ギルドで魔物使いの義務で従魔の定期健康診断はありますし・・・私たちも病気になるんですかね」
「なるじゃろうな。ただ、人より丈夫なのが我らモンスターじゃからなぁ」
アルテミスが結論を出した。まあ、普通の動物とも違うしね。
「健康診断・・・そういえば、そろそろ皆受けないといけないんだっけ。昨日ギルドからその知らせが来たんだった」
「・・・・健康診断・・・学校でもやった・・・」
「冒険者用学校でもやりましたけど、大抵女性職員がへこむんですよね」
そりゃ、ハクロたちのスタイルがな・・・
今年はそういやロウ、リーゼ、アルテミスも初めて受けることになるんだっけ。
「なんで毎年冬にあるんだろうか?」
「春とかのほうが良いんですけどね。薄着になっても暖かいですし」
「冬の方が依頼を受ける人が少ないからという理由だったかな?」
冬場でもあくせく働くのは余り余裕がない人だったかもね。
まあ、僕らもランクはまだ低いからそこまで余裕があるわけではないけど、ワゼのギルドでの給料と、アルテミスの薬販売でちょっとあるんだった。
「ま、とりあえず今週の終わりに健康診断があるそうだし、受けに行くか」
次回は健康診断・・・他の魔物使いの従魔も出ますよ。