予防・対策・実行
本日2話目
やっぱりね
結局、依頼達成報酬の額を釣り上げられて、それだけあれば冬でも無事過ごせてかつ、小さな一軒家を買えるほどだったので渋々僕らはその指名依頼を受けることにした。
とはいっても、その港町までモッサンさんが付いてくることになる。
わざわざザストまで来た目的は、この移動の最中にセクハラ(胸を揉む)を行うためというのもあったらしい。
なので、モッサンさんのセクハラに「予防・対策・実行」を!!
「ぬぐぅぅぅ・・・拘束はされていないのに・・・」
「ふふん、私の糸はこういう使い方がありますからねぇ」
悔しそうな顔をするモッサンさんの目の前で、ハクロは勝ち誇ったような顔をした。
ヤタ、ルミナスも同様である。
ハクロが作り出した超硬質の糸で胸全体を覆ったのである。
これで揉まれようとも、ガッチガチに固められているので安心である。
「ちょっときついわね・・・」
「・・・でも、これで安心」
まあ、鎧を下に着ているようなものだと思えばいいんじゃないかな?
ちなみに、ワゼはギルドでお留守番。
ギルドで仕事をしながら待つそうだが、ついでにお土産が欲しいそうだ。
「生魚とかは腐るだろうしな・・・」
「保存がきく乾燥した海藻の類が良いデス。だしなどが取れますからネ」
なるほど。おいしそうな料理に期待ができる。
というわけで、馬車に乗って僕らは港町の方へ向かっていた。
一応いくらガードしていても万が一という可能性から、ヤタは空に逃げて馬車の上空を追跡しながら飛んでいる。
「それにしても変な話なような」
「どこがだい?」
いや、モッサンさんの変態性は理解してますけど、その情報・・・
「悪戯好きで・・・とかってあるけど、今回の依頼の目的は『スキュラ』『水龍』の捕獲ですよね。討伐とかを避けて」
「ああ、姉妹のようにとギルドで説明したのだが、どちらもメスの個体なのは確認している」
「それが現れたのっていつごろからですか?ギルドにはそんな情報が入っていなかったような・・・」
討伐依頼とかは、ギルドに出ていなかったはずである。
「それがね・・・割と最近、情報だと2か月前からそのモンスターたちは目撃されているんだよね。でも、こういった話が出てきたのは1ヶ月ほど前・・・ちょっとばかしね、情報操作的なものも感じられて・・・それで調査も兼ねて指名依頼を出したのさ」
意外によく考えていたようである。
この変態ロリババァエルフの人は、よく考えていたんだなぁ・・・。
全員そう思えたのであった。
「というか、目的としては胸を揉んでみたいだけだけどね」
前言撤回。
それから馬車で1週間ほどかけて、案外近い港町に僕らは到着した。海を見たのって、そういやこれが初めて・・・でもないかな?冒険者用学校の林間学校の授業であったような気がする。
「結構平和そうな港町ですけど・・・本当に『スキュラ』と『水龍』が悪戯して困らせている港町ですよね?」
港町の名前は『タイタニック』。なんでも、大昔の船の名前だったとか。
「そのはずなんだけど・・・確かに平和そうな」
人のうわさは当てにならないことが多いし・・・・。
念のため、僕らは聞き込み調査を行ってみることにするのであった。
港町にギルドがあれば、情報集めとか楽なんだけどな。ここにはないし・・・
これはなにやら人為的なことがなされている予感
そもそも、2体いるのかな