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来てしまった・・・だと

作中の時の流れって、意外にも半年たちそうなころあい。

小説とかって、こういった時の流れが本当に難しいですよね。

「は?不審者?」


 防衛戦が終わってから1ヶ月ほど、というか僕らが冒険者になって早半年が過ぎたころである。


 秋が深まってきて、いよいよ冬が到来しそうな今日、いつも通りギルドで依頼を探していると、受付の人から声をかけられて僕らはその話を聞いた。


「はい、なんでも2,3日ほど前からいきなり草むらから不審者が飛び出してくるという情報がありました」


 受付の人は普通に言っているが、明らかに嫌な情報だという顔をしていた。


「どうやら、いきなり飛び出てきては女性冒険者の・・・・」

「女性冒険者の?」

「胸を揉んでくるそうです。それもバストが80以上の方ばかりを!!」

「うわぁ・・・」


 モンスターとかではないらしく、被害に遭った方々は人のような感じだったと言っていた。


 暗闇の中からだが、子供ほどの大きさで素早く揉んでは逃亡するという事だ。


「・・・モッサンさんとかじゃ?」

「その可能性はありますよね」


 その情報から思い出されるのは、以前指名依頼で出会ったモッサンさん。


 あの人もハクロたちの胸を揉んでいたっけ。


 というか、これ本人だろ絶対。


「なので、このような被害があるために一応、大きめの胸を持たれている女性がおられる冒険者グループや冒険者の方々に注意を促しているのです」



 被害に遭う可能性としては・・・ハクロ、ヤタ、ルミナスかな。ロウはモッサンさんの対象外だったし。




 一応、警戒をしておくように僕らは言われた。


 ちなみに、今日は依頼を受けずに一旦休むことにした。


 不審者情報がね・・・・。



「これどう考えてもモッサンさんしか思い当たらないよな・・・」

「ですが・・・距離を考えるとそうお気楽に来ることはできないような」

「・・・そもそも、いきなり茂みから飛び出て襲うってのはあの人やるのだろうか」

「可能性としてはねぇ・・・」

「ウミュ」


・・・・・全員で考えた結果、物凄くあり得るという考え方が一致した。



対策として・・・・



「この超硬質糸で編み込んださらしを巻いておきましょう」


 ハクロが何重にも糸を練り上げて超硬質化させた糸で胸を巻いた。


 これで揉まれたとしても、鉄板のごとき硬さになるであろう。


「って、それだけ超硬質化できるなら槍とか作れそうだよね」


 適当に棒状に巻き付けて、先端もとがらせれば・・・槍になるよねコレ。


「結構大変なんですよ。根気よく、素早く、丁寧にやらなければここまでの物はできませんし」


 ・・・というか、対策にそこまでの物を使用するのか。モッサンさんの影響は根深いと思える。


 まあ、このぐらいしないとあの人の脅威からは逃れられないだろうしな。


「このぐらいしっかりすれば、あの魔の手からも逃れられるわね」

「誰の魔の手だい?」

「モッサンさんの・・・・・ん?」


 今の誰?


 僕らが振り返るとそこには。


「お久しぶりだな―!!」


 モッサンさんがいた。


 しかも物凄い重装備を担いでいる。


 すばやくハクロ、ヤタ、ルミナスが僕の後方へと隠れる。


 ロウはそのままいつも通りである。



「モッサンさん・・・久しぶりですけど、なんでここに?」


 モッサンさんがいたところからそれなりに時間がかかるよね。


「うむ!!ちょっとアーガレストの様子を見に来ただけだ!!」


 ギルドマスター目当てか。


「ついでに、ここまでも道のりの途中で楽しむためにだ!」

「「「「やっぱりあんたが原因か!!」」」」


 僕ら全員のツッコミが見事に一致した。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「で、ここ最近の被害はやはりモッサンの仕業でしたか・・・」

「あはははははは、そこに夢があるからな!!」


 ギルドの執務室にて、呆れるアーガレストと笑うモッサンの姿があった。


 なお、ライたちはこのギルドまでの道を教えた後に素早く依頼を受けて逃亡。


 ワゼもこの人(モッサン)がいるのは嫌だったようで、今日は休んで宿の方に逃げていた。


 そのため、今日のギルドは仕事がいつもより多くて困っているのだが・・・・。



 まあ、気持ちを切り替える。


「なんで来たんですかね?」


 何か依頼があるならば通信系統の魔道具(マジックアイテム)で依頼をしてくるはずだが・・・。


というか、アーガレスト自身モッサンの扱いには困る時がある。


 昔お世話になった人でもあるのだが・・・いかんせん、変態というか、ロリババァというか。


 神様がいるとしたら彼は訴えたい。なぜおっさんの魂がこの少女の身体にいるのかと。


 悲劇というか、喜劇というか・・・・。



「それはな、ちょっと指名依頼を直接出そうと思ってきたんだ」

「またですか?」

「まあ、出す相手はあのライたちなんだが・・・アラクネがおったよな」

「アラクネ・・・ハクロさんの事ですね」


 アラクネに関連することか?


「アラクネの糸は物凄い強靭な糸と聞くのだが・・・・その糸で釣り竿、もしくは網を作ってあるモンスターを釣り上げてほしいと思ってな」

「モンスターを釣り上げる?」


 この変態ロリババァエルフからそのような意外な言葉を聞いて、アーガレストはつい尋ね直した。


「ああ、ちょっと港町の方でな・・・最近この国は帝国と戦争しているだろ?」

「ええ、最近どころかこの間ここで行われましたし」


 港町・・・海戦とかの影響か?


 でも、隣国なのでわざわざ海戦をする意味がない。


「海の方でな、モンスターが出たんだが・・・・」


 何やら歯切れが悪い。


 というか、これって絶対何かろくでもないようなことを企んでいる。


 なんとなくそんな予感がしつつも、アーガレストはその話を聞くのであった。



 



モッサンさんがらみだし、わざわざ来ているのはろくでもないような気しかしない。

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