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首都へ到着

旅路はいたって平穏

 村を出て馬車に乗って1週間後、やっと僕らは首都が見えるところまでたどり着いた。



 途中、森を抜けたけど・・・首都の近くの森を通る馬車なのもこの馬車に乗客が来ない理由の一つらしい。森の中はモンスターが出たりすることがあるからな。


「村とは違う感じだな~」


 だんだん首都が見えてくるにつれて、その大きさがよくわかる。


 明らかに村より多くの家が建っており、高い建物などが多くみられるのである。


「冒険者用学校はどのあたりに見えるのかな?」

「学校は首都の奥の方ネ。でも、ここからだと見えないから意味ないのネ」


 と言うことは、この位置からは見えないのか・・・・。


 首都の出入り口には、衛兵が2人立っていた。


「止まれそこの馬車」


 馬車を止められる。


「あり?いつもなら止めないよネ?」


 アーネルさんが首を傾げた。


「あ、アーネルさんか」


 衛兵の一人はどうやらアーネルさんの知り合いの様である。


「おや、ボタム君ネ」

「お久しぶりですアーネルさん」


 馬車を引いてここに出入りしているってことは、自然に顔見知り同士が生まれるのか。


「どうして今回は馬車を止めるネ?いつもならば、スルーでしょう?」

「それがですね、どうやら最近ちょっとした事件が起きているのです」

「事件?」


 どうやら、最近首都の中に入る馬車の中に、道端でいきなり嫌がらせのようにペンキをぶちまけるような集団がいるそうなのだ。


・・・・なんだそれ?訳が分からないな。


「道端にペンキって・・・どんな嫌がらせの仕方ですかそれ?」


 ハクロも理解できないといった顔をした。


「おや、きれいなじょせ・・・うわモンスター!?」


 馬車の中を見た衛兵がハクロの姿を見て驚いた。


「待ってください!!僕の従魔ですから!!」


 慌てて事情を話した。


「なるほど・・・冒険者用学校に入りたいのか」

「それで、従魔を連れてか・・・・」


 納得してもらえたようである。


「でも、ライとか言ったっけ坊主?よくこんなきれいなアラクネを従魔にしたな?」

「アラクネと言うと、醜悪なのを思うんだが・・・人間だったら交際を申し込みたいよ」

「私はライ様一筋なので」


 どうやら、ハクロは相当珍しい部類に入るらしい。村の中でも人気だったからな・・・・村娘ではなく村モンスターとして認識されていたけど。


 というか、そういわれると少し恥ずかしい。



「よし、通ってよいぞ」


 とりあえず、許可が出たので僕らはやっと首都の中に入れたのであった。








「冒険者用学校への入学手続き会場は・・・あっちかな?」


 首都内へ入ると、物凄い建物の多さに圧倒されそうになる。


 村は家の一軒一軒の間隔があいているのだが、密集している感じだ。


 歩いていると、どことなく注目を浴びているような気がするけど・・・・まあいいか。



 実は、ライとハクロは互いに気が付いていなかったが、ハクロの姿を見ていた人々の視線が集まっていただけである。


 下半身が蜘蛛なのでアラクネと言うモンスターだとわかる人はいたが、ハクロの美貌に見とれていて信じられないというような人がいたのであった。


 後に、このことが原因で騒動が起きるのだが、今は知る由がなかった。





「ライ様、冒険者用学校ありましたよ」


 ハクロが指をさした方向に、目的の場所があった。


 歩いて30分ほど、やっと見つけた。



「手続き場へ向かってくださいと・・・」


 看板があり、その案内に従ってライたちは手続き場へと向かった。



「すいません、入学したいんですけど」

「入学ですか・・・年齢は?」

「10歳です、こちらが年齢証明書で・・」


 手続き場の受付の人にライは手続きをお願いして開始した。受付してくれているのは、ギルドから特別にやってきた受付嬢たちである。


 年齢証明書と言うのは、その人の年齢を証明するための書類である。


 家から持ってきており、これを使用して本人の年齢を示すのだ。



「はい、では希望学科は?」

「魔物使い科です。所持従魔はあちらのアラクネ、名前はハクロです」

「どうも」

「アラクネですね、では、少々手続きの確認をいたしますので・・・・アラクネ?」


 受付手続きをしていた受付嬢は一瞬目を疑った。


「あの、アラクネでいいんですよね?」

「はい」

「そうですよ?」


 


 ギルドにおいて、受付嬢たちは冒険者たちのサポートのためにモンスターの特徴などをしっかり学ぶ。


 その中にアラクネと言うモンスターの姿を学んでいた受付嬢だったが、今見たものが信じられなかった。


 アラクネと言えば醜悪な見た目が有名だが・・・・今この男の子が従魔として連れているアラクネの見た目は美しかった。


 と言うか、自分よりもきれいだったので、自分に自信を失いかけた。


(な、何でこんな綺麗な人がモンスターなのよー!!)


 受付嬢はプロ根性で受付の仕事をこなしたが、次の日から自信喪失してしばらく引きこもりになったのは別の話・・・。



 とにもかくにも、手続きを終えたので、入学できるのだが・・・・・・



「あ」

「どうしたんですかライ様?」


 説明書を見直していた時にライは気が付いた。


「・・・・入学式は1週間後。それまでに寮に入れることは決まるけど、近年の入学希望者増加傾向により、寮の改築のため入寮できるのは3日後・・・・・」


 つまり、3日間は何処かで寝泊まりをしなけらばならない。


 だが、持ってきている所持金はそこまでの物ではない。


「・・・・野宿だね」

「野宿ですね」


 かくして、3日間の野宿生活が決定したのであった。


 まあ、冒険者になったら野宿するときもあるし、森で遊んでいた時もハクロと一緒に一晩野宿したことがあるからいいか。






ハクロ・・・・騒ぎのもとになりそう

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