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勝利を祝いまして・・・

あくまでこれ防衛戦であって、戦争自体はまだ終わっていないんだけどね。

「防衛戦勝利を祝いましてぇぇぇぇぇぇ!!」

「「「「「カンパーイ!!」」」」」



 防衛戦が行われたこの日の夜、都市中の飲食店にて戦勝祝いの飲み会が開かれていた。


 別にまだ戦争に決着がついているわけではないのだが、今日の勝利を祝ってである。


 宿の食堂にて、ライたちも参加していた。


 とはいっても、ライはお酒は飲めないのでジュースだが。


 ハクロとヤタは見た目がまあ大人なので酒は飲める(かもしれない)のだが、一応主のライと同じジュースを飲む。


 ロウは眠くなったのか、部屋ですやすや寝ていて、ルミナスはロウと一緒に寝ていた。


 昼間の精霊魔法連発が相当来たようである。


 一応非殺傷の魔法らしいが・・・



 ワゼの方はライも知らなかったが、こちらはこちらでなにか行動していたらしい。


「メイドの仕事ですのデ」


 と一言だけ言って詳細はわからなかったけど。


 


 一応今回の戦争だが、今の戦闘は臨時で入っただけなので次も参戦するわけではない。


 そもそも、護衛がちょっとうっとおしかったというのが全員の総意で、そのうっぷん晴らしのようなものである。


 とにもかくにも、今は祝いながらジュースをライは飲むのであった。


「って、辛っつ!!」

「・・・あ、我が君それ私の」


 ・・・どうやら、ヤタの激辛ジュースであった。何でこんなの飲めるの?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「さてさて、何とか勝てたねぇ」

「まったくだな」


 領主の館にて、アーガレストとバンブルは互に酒を飲みかわしていた。


 今回の戦闘勝利祝いである。


「まあ、敵兵士にして見れば地獄だっただろうな」

「ハクロたちに夢中でバーサーカーみたいに狂気じみて攻撃している人たちや、ライの従魔たちにぼっこぼこにされていたもんね」


 今回の戦闘だが、ライの従魔たちとその仲間の功績が大きい。


 まず、戦闘する兵士や冒険者たちの気力をアップさせて狂気じみさせたこと。


 次に、まさかするとは思っていなかったけど、参戦して敵兵を蹴散らしたことである。


「参戦はギルドからの臨時以来として受理して、別に次の戦闘に参加する必要はないのにしたよ」


 というか、ある意味指名依頼のようなものである。


 ワゼがアーガレストに説明して、今回限りのライたちの参戦になるように言ったからである。


 ワゼの能力もあるので、まあ指名依頼の形で参戦してもらったというわけだ。


「にしても、吹き飛ばされる兵士や捕らえられる兵士とか面白かったよ」

「あのメイドも別方面から攻めてきた部隊を蹴散らしたからな・・・」


 ワゼのひそかな活躍をして散るのはこの二人だけであった。


 正面からでは無理と判断して敵部隊の一部が、別方面から攻めてきた。


 だが、そこにはすでにワゼがおり、内蔵していた武器などで蹴散らしたのである。


 たまたまその現場を目撃したアーガレストは驚いた。


「メイドなのに、何処にそんな武装を仕掛けていたのかって言いたいぐらいだったよ」

「遺跡からできたし・・・性能はまだ未知数だろうな」


 何はともあれ、今後の課題が残る。


「今回勝利したのはいいけど、このまま攻めるには問題がある」

彼ら(ライたち)が次も参戦するかわからないからだろ?」


 まあ、参戦してもらわなくても結構攻め込めたようだが。


「ただねぇ・・・今回の件で、帝国側がその存在に気が付いただろうし・・・」

「王国は王国で、城から何かあるかもしれないか・・」


 問題になってくるのがライたちの存在である。


 戦闘能力、士気向上などかなりの活躍を見せている。


 しかも、美人ぞろいだから・・・・ほおっておくわけがない。


「どこぞやのバカが彼らにちょっかいをかけて、この国が嫌になって出ていった先で帝国にスカウトされて敵になる・・・・というような未来もあるよね」

「可能性は大きいな」


 今は、その対策を練ったほうが良いと話し合うのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふむ・・・・辺境都市での戦は敗戦になったか」

「申し訳ありません皇帝陛下!!」

「いや、こういう事もあるさ。次頑張ればよい」


 アラモス帝国、帝都アラモスのアラモス城にて、現皇帝ゼノウ=アラモスは今回の結果を聞いていた。



「しかし、そのモンスターたちの参戦がきになるな」


 パチンと指を鳴らすと、すぐそばに黒づくめの人が立っていた。


 この人物は、皇帝独占諜報部隊『ニンビ』で、知りたい情報を素早く集めてくるのである。


 すでに今回皇帝が知りたい件について、彼らは調べ終えていた。

 

「出てきて目立っていたのが、最近学会で噂の『ヒューマンスライム』、同じく見た目が美しいという珍しい『アラクネ』、超希少種『クイーンハーピー』です」

「珍しいのばかりだな」

「諜報員を潜り込ませたところ、どれも同じ魔物使いの従魔の様です。また、この魔物使いは遺跡から出たとされる魔道具(マジックアイテム)であるメイドを所有しており、このメイドもまた部隊を全滅させるほどの戦闘能力があったそうです」


 遺跡・・・異世界からとか、古代のものとか言われているものがある場所だが、ほとんどがロックされている状態で使えないってのが現状である。


 その中にあったものを所有しており、更に今のような強力なモンスターたちを従えているとなると・・・。


「相当な実力者か?」

「冒険者ランクはまだDのようですが、従えている従魔たちの実力から考えるとAでもおかしくありません。ただ、辺境都市内と冒険者用学校があった都市のみで有名であり、他ではまだあまり名前が知られていなったようです。魔物使いのなので、従魔の方が知名度があったようですが・・」

「その者の名は?」

「ライ・・・というようです。出身地はニア村。家族構成は父と母、幼い時からすでにアラクネを従えていたようです」


 諜報部隊の調べの速さには驚くが、皇帝は聞き逃さなかった。


「幼い時から?」

「4歳ごろで、近くの森にて従魔契約を・・・・」

「なるほど、其の時点ですでに才能があったというわけか」


 にやりと口角をあげる皇帝。


「今回は負けたが、代わりに得られるものが多かったな」

「この少年を帝国へ引き込めればいいのですが・・・」

「冒険者だから、金で引き込むという手段が取れるが・・・それは無理だな。そういうやつは、確実に断る」

「ではどういたしましょう?」

「今は様子見だ。この先、帝国側に来るようなことがあったら見に行ってみるのもいいかもしれん」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


一方、ルーナス王国のルーナス城の玉座前にて、『ルーナス王国』と『アラモス帝国』の現在の戦況報告を聞いていた第1王子のプラント=ルーナスは、今回の防衛戦が無事に勝利ですんだという報告を受けた。


「なるほど、無事勝利できたというわけか」

「報告によるとそのようです」


 無事に勝利できたのはいい。だが・・・


「報告によると『物凄い士気が上昇していた』とあるが、これはどういうことだ?」

「どうやら、辺境都市で大人気の娘たちがいるようですが・・・人外4名亜人1名のようです」

「モンスターに、ハーフダークエルフ、遺跡からの魔道具(マジックアイテム)のメイド・・・・なんだこの構成は」


 疑問を持ちたくなる構成である。


「美しい『アラクネ』の娘、超希少種の『クイーンハーピー』、それと最近モンスター学会、略して『モン学』で議題に上っている『ヒューマンスライム』・・・さらに、遺跡からの魔道具(マジックアイテム)であるメイド・・・これ等を所持している魔物使いの存在が今回の防衛戦での功労者の様です」

「冒険者か・・・・Dランクでこの構成。ハーフダークエルフの娘はこの魔物使いとの冒険者グループの構成員か」


 帝国側とあまり変わらない報告である。


「このようなモンスターたちを従えている時点で、実力はあるか・・・。そういえば、冒険者用学校卒業者ともあるな」

「この時からすでにアラクネ、クイーンハーピーを従魔にしています。ただ、アラクネのほうは4歳ぐらいの時に従魔契約を結んでいるらしく、その時から才能がうかがえます」

「・・・・どこかのバカ貴族が明らかに絡んできそうだな。戦争に勝利しそうな雰囲気に持ち込めるのに、ここでちょっかいをこいつらに出す奴が出て、この冒険者魔物使いがこの国から出ていくかもしれん。最悪なのは、帝国側につかれることだ」

「では、どうすれば?」

「貴族たちに警告をしておけ。『この魔物使いたちに手を出せば痛い目を見るぞ』とな」

「はっ」


 命令をした後、プラントは報告書に改めて目を通していた。


「冒険者用府学校からのか・・・ついでにそこでの様子も探らせるか」


 有能な人材ならば、引き抜きたい。


 そう思うプラントであった。






 


陰謀の渦・・・・だけど、主人公は平常運転です。

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