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防衛戦1

防衛戦・・・・っていうのかなこれ?

・・・・・・その日、辺境都市ザスト正面に帝国軍が侵攻してきた。


 この辺境都市に王国中の兵力が集まっているのはすでにわかっている。


 集まっているすきに、別のところから一気に攻めようという案もあったのだが、むしろ今集中しているならば徹底的に攻め、今後の心配の元になるものを潰した方が良いとでて、それに決定したのである。



「ぐひゅひゅひゅひゅひゅ、この軍勢ならば押し切れるであろう」

「そうでございますな。我々の勝利は確実であろう」


 その後方の陣地にて、今回のこの戦闘の総大将であるグッヒュリーヨは笑いを抑えきれてなく、その場にいる他の指揮官たちも余裕の表情を浮かべていた。


 別に気持ち悪い笑いをするから無能というわけではなく、彼らは実力で今の地位まで勝ち抜いてきたのである。


 ・・・・いささか性格面では問題があったが。



「わが軍での総攻撃・・・あの辺境都市の守りが固いとはいえ、所詮は烏合の衆の集まり。ある程度混乱を引き起こしてやればばらけるだろう」


 こういった集団戦闘の際に、いかにしてその集団の統率を崩せるのかもカギになる。


 彼らは王国側の兵士や冒険者たちの連携がうまくいかないであろうと思っていた。


「とはいえ、全力でつぶすのに限る。あとに残されても面倒だからな」

「まずは、投石器を使用して適当に命中させましょう」


 彼らの作戦はこうだ。


 全軍で出撃する直前に、敵に向かって投石器で岩を投げつけまくる。


 最近作られた兵器なのだが、これがなかなか高い効果を発揮するのだ。


 特に、こういった柵や堀がある辺境都市を攻める際には、安全な位置から攻撃が可能である。


 そして、降り注ぐ岩などで混乱している隙に、一気に全軍突撃で攻め落とすのだ。



「王国の兵士は殺すが・・・冒険者はある程度生かせ。それなりに強い者も混じっているだろうし、何より金でいざとなったら引き込めるからな」

「辺境都市を攻め落としたら、そこを拠点としてさらに進んでいく。あの辺境都市に今は兵力が集中しているようだし、入手できれば後は楽だぞぐひゅひゅひゅひゅひゅ」


 ちなみにこの兵力が集中しているらしいというのは買収した貴族達からの情報でもある。


「そういえば、辺境都市とは言え女もいるはず。そいつらの何人かは兵士たちの慰めものにしておけ。上玉は奴隷にしてあとで売ろう」

「でも、ああいうところっているんですかね?」

「いるだろうな。ああいった辺境ほど、美人が隠れていると言われている」


 特にグッヒュリーヨが得た情報では、本当に美しい女とかがいるようなので楽しみであった。


・・・女と言っているだけで、人とは言っていないのだが。







 進軍して、辺境都市が見えてくる。


「投石開始!!」


 まずは予定通りに投石器が使用され、辺境都市に岩の雨が降り注ぐはず・・・・・であった。


 が、ここで彼が計算していなかったことが起きた。


「なにつ!?」




 投石機によって飛んでいった岩の雨だが、都市に降り注ぐ前に空中で止まったのである。


「な、なんだ!?」


 さすがに空中で岩が止まるなんてありえない。


「もう一度やれ!!手を休めるな!!」


 諦めずに2度目、3度目と繰り返すが、なぜか空中で岩がぴたりと止まっていた。


「な・・・・なにが?」


 グッヒュリーヨはその目の前で起きていることが信じられなかった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ワゼ、そういったことができたんだな」

「はい、一応念のために飛び道具対策をしていましたカラ」


 辺境都市内で、ライたちは宿屋の中にいて窓から外の様子を見ていた。


 岩が飛んできたのだが、ワゼが何やら右腕が変形してパラボラアンテナとかいうものにして、何かバリアーとかいう物を張ったらしい。


 そのため、岩は空中で止められたのである。


「『空中吸着式防御壁』デス。飛び道具をああやって固定できマス。解除すれば、その真下に落とせマス」

「参戦するつもりはないけど・・・都市を守るだけだしいいか」

「ワゼってこういう事が出来たんですね」

「・・・なんか無茶苦茶なような気もする」

「ウミュ」

「ある意味ワゼさんってとんでもない魔道具(マジックアイテム)よね」


 飛び道具をこうして空中に止めて無効化できるというのは、かなり強力である。


 まあ、ワゼだからという一言でこの場はまとまった。


 なお、宿の周りには万が一、都市内に帝国軍が攻め込んできてハクロたちに危害を犯す者が出ないように自称「親衛隊」の皆さんが守っていた。



「ある意味これはこれで居心地が悪いんですけどね」

「まあ、僕らは参戦しないと決めてここにいるからまだいいかな」

「・・・参戦したほうが楽だったかも」

「護衛のようなものだけど・・・・確かに参戦したほうが楽かもね」


 とはいえ、わざわざ守ってくれている方々の好意をむげにはできない。


「だったらこの際・・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ええい!!投石器がダメなら、数で押せ!!」


 グッヒュリーヨは投石器での作戦がダメだとわかり、子Bの細網正面突破をしようということになったのだが・・・。


「「「「「やるぞお前らァァァァァァ!!」」」」」

「な、なんだあの異様なやる気は!?」


 都市から出てきた冒険者たちは、物凄いやる気で帝国軍とぶつかり合った。


 その凄まじいやる気に、帝国軍側はひるんだ。


「手めぇらがいるから危うく都市のアイドルが消えるところだったじゃねぇか!!」

「癒しの集団をとどめるためにも!!」

「お前らふっとばす!!」

「ぶっつぶす!!」

「殴り倒す!!」

「「「「「我らが癒しの者たちのために!!」」」」」


 それは一種の狂気をはらんでいると言っていいほど恐ろしいやる気だった。


 実は開戦直前、ライたちが参戦しないかわりにある物を全員に渡したのである。


「彼女たちからもらったお菓子でやる気がMAXだぜごらぁぁぁぁぁ!!」


 参戦しない代わりに、ハクロたち全員で宿の厨房を借り、お菓子を作製して、ふるまったのである。


 その結果、女子の手造りお菓子という物で全員のやる気が急上昇したのであった。


 なお、ついでに王国の兵士の方々にも挙げたので、こちらは独身男性が多かったのでより向上した。


 女性冒険者の方たちは、むしろ自分たちの魅力に気が付いてくれない男共への鬱憤を晴らすかのように攻撃してはいたが。


「ひぃぃぃっつ!?」

「何だこのこいつらの尋常じゃない気はぁぁぁぁっつ!!」


 そのすさまじさに、帝国軍は圧倒され始めたのであった・・・。







なにげにワゼがチートなような気がする。

というか、こういった狂気じみた集団とあなたは戦いたいですか?

次回に続くよ!!

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