心配する人
本日2話目
主人公またしても不在
「戦争のために、ここに兵力を集中させるという命令か」
「負け戦のようだしねー」
辺境都市ザストの領主の館の執務室にて、領主のバンブルとギルドマスターのアーガレストは互に白から届いた命令書を見ていた。
「この都市で防衛して、あわよくば押し返す拠点としたいようだが・・・」
「そのために、ここに各戦場からの兵士や冒険者たちを集合させるようだよ」
命令書によると、そのための寝床や食事の提供をする様にとも書かれていた。
「ポーションとか国が集めていたけど、いざ戦争が始まってみれば、負け戦状態だよね」
「今指揮を執っているのは、第1王子・・・・経験が少ないのが裏目に出たな」
戦争の際には、裏切りなども視野に癒えておかねばならないが、どうやらそこまで見通すことができなかったようである。
「そういえば、帝国に買収された貴族の裏切りが多いみたいだけれども、バンブル君の方には何も来ていないの?」
「来たぞ、ご丁寧に「帝国側に着けば金をやる」と書かれた手紙がな」
「で、返事は?」
「『ばかめ』と書いて送り返した」
「バンブル君らしいね」
肩をすくめてやれやれみたいなポーズをアーガレストはした。
「金ごときで動かんよ。そもそも、この辺境都市はそれなりに豊かだしな」
長い年月をかけて、ここを治めてきたバンブル。その間に何とかこの辺境都市を発展させてきているのである。
「最近では、あの冒険者の従魔たちの人気もあってそれで人の出入りも多くなっているしね」
「ああ、ライとかいう冒険者が原因だろう?」
ライの従魔・・・ハクロやヤタ、ロウの人気があり、彼女たち目当てで訪れてくる人が増えた。
そのおかげで、宿泊や食事のために飲食店や宿屋などが儲かって、その税収なども入ってきているのである。
「まあ、知り合いの娘も原因だろうけど」
アーガレスといっているのは、ルミナスの事である。
ライと冒険者グループ「快進撃」として組んで、結構充実しているようである。
で、ハーフダークエルフなので、その見た目が妖艶に近いからそれはそれで人気が出ているのだ。
「あとは・・・ギルドの臨時職員となってくれているあれも人気かな?」
ライの魔道具のワゼ。見た目が人に近いし、先日ギルド内でけんかを取り押さえたりなどしているのでその様子から人気が出ている。
宿屋の食事も手伝っているようで、その食事を食べるために向かう者も少なくはない。
「その分、収入なども多く入ってくるし、金などには目もくれんのだよ」
「だけど、兵力が集まってくるのも問題があるんだよね」
現在の王国の兵力は、城で鍛えられている兵士と、募集をかけて集まってきた冒険者たちである。
人が集まると、問題も起きやすくなるので・・・・
「確実に問題が起きるだろうな」
「主にその関係の方でね・・・・」
と、ここで心配になるのが問題を起こすであろう人たち。
普通の人に対してなら特に問題はない。いや、それはそれで問題はあるけど・・・・
だがこの場合、問題を起こされると困るのは・・・・
「ハクロたちに対してのセクハラとかする人が出そうなんだよね」
忘れそうになるが、一応ハクロやヤタはモンスターである。ルミナスはハーフダークエルフで人だし、ワゼは魔道具だが。
「一応、モンスターだからねぇ・・・彼女たちの心配というよりも、セクハラとかしてくる人たちが被害者になりそうなのがねぇ」
「この辺境都市で、騒ぎを起こさないでほしいものだ・・・」
はあっ・・・と互いにバンブルと、アーガレストはため息をつくのであった。
人が増えると、こういった心配事がでてくるんだよな




