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学校へ向けて

本日2回目の投稿

「着替えなどは学校で支給されるものがあるけど、お小遣いは毎月きちんと送ってあげるからね?」

「たまに手紙も出すように。辛くなったら戻って来いよ」

「わかったよー」

「ライ様が無事に卒業できるように、私も頑張りますからねー」


 冒険者用学校へ行くと決めた僕らは、首都行きの馬車に乗ることにした。


この国の首都にある冒険者学校までは馬車で1週間ほどの旅路となり、入学手続きなどをするには今から行かないといけないらしい。


 お父さんの仕事している都市とは全くの別の場所だけど、楽しみである。



 ハクロはモンスターだが、従魔なので一緒の馬車に乗れた。


「でも、結構スペースをとるよね」

「アラクネですからね・・・」


 首都行きの馬車は今のところ僕らだけだけど、この先乗るお客さんとかどうするんだろう・・・。



 気になったので、馬車の運転をしている御者に聞いてみた。アーネルさんとかいうやや中年の男性である。


「それは心配無用ネ」

「大丈夫なんですか?」


 ちょっと語尾がおかしいような気がするけど、アーネルさんはこの国とは違う国出身らしく、ややなまっているからだそうだ。


「首都行きなこの馬車、今年はほとんど人が乗ることがないのネ」


 なんでも、冒険者用学校へ通える時期になるので、そこの生徒志望な人が毎回大量に乗り込んでくるらしいのだが、アーネルさんはそこまで行く馬車競争で敗れたそうだ。


「乗り心地、この馬車いたって普通ネ。でも、護衛が付いていないのネ」


 ライの家は物凄い裕福なわけではないので安い馬車に乗っているのだが、これより少し高めの護衛とかが乗っているような馬車の方に客が集まってしまうという。


「護衛を雇いたくても、そこまで金がないのネ」

「護衛って必要になったりするんですか?」

「そこまで危険そうな道のりではなさそうですが・・・?」


 盗賊とかも出ることは出る。しかし、あまり出ないのだが、それでも万が一と言うことがあるので、護衛が付いている馬車の方に客が行ってしまうそうだ。


「なので、私負け組ネ。お客さんたち、乗ってくれたことがうれしいのネ」


 涙ぐむアーネルさん。


 実は、この馬車を選んだのは安いというだけでなく、ハクロをのせられるだけのサイズってのもあったんだが・・・黙っておくか。


「まあ、早く冒険者学校がある首都まで行きましょうよ」

「そうですよ」



 ハクロと二人で涙ぐんでしまったアーネルさんをなだめて、先へ進むことにした。






 しばらく進んで・・・・



「・・・それにしてもお客さん、質問してもよいかネ?」


 アーネルさんが馬の手綱を持ちながら聞いてきた。


「何ですか?」

「そのお客さんの従魔アラクネだよネ?なんで見た目が普通の人間女性、いやそれ以上に美しいのネ?」

「セクハラですか!?」

「セクハラ違う、ちょっと気になっただけネ!!」


 一瞬ハクロをナンパしているのかと思ったよ。家族みたいなハクロにナンパされるのはちょっとムカつく。


「って、普通のアラクネとは違うんですか?」

「そういえば、普通のアラクネってどんなのですか?私、ライ様の従魔になる前から見たことがないのですが?」


 ちょっと気になった。アラクネってモンスターは上半身が人、下半身が蜘蛛のモンスターだということは知っているけど・・・それは聞いただけで、本来の姿なんて見たことがなかったな。


「お客さん、これあげるから読んでみるのネ」


 そういって渡されたのは、一冊の分厚い本だった。


「『モンスター写真集』?」

「古い本だけど、それなりにはあるのネ」


 なんでも、写真とかいうもんが取れる魔道具があるらしく、それで作られたモンスターの姿をとらえて集めた本らしい。


「たくさんあるな・・・」

「あ、『アラクネ』ってこれですよね?」


目次のモンスターの名前一覧からハクロと同じアラクネの項目を見つけ出した。


「13ページ・・・・・・うわっ!?」

「これが同族ですか・・・・!?」


 そこにあったアラクネの写真はハクロとは似ても似つかぬものだった。


 確かに、下半身が蜘蛛なのは同じだ。だが、そこから上が違う。


 ハクロのようにきれいに整った顔とかではなく、崩れ落ちたかのような不気味なものだった。


「あ、説明載っていますよ」


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「アラクネ」

上半身が女性、下半身が蜘蛛のモンスター。たまに男性もいる。

下半身の蜘蛛の種類はその場所によって違い、攻撃力や防御力もそれぞれ違う。

しかし、上の女性の部分は顔などがケロイドになったとか言えるほど醜悪なものが多く、また、腕が細いのに以上に怪力なのが知られている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・・顔以外はさ、あっているよね」

「怪力って・・・・」


 どうやら、ハクロは同族の顔よりも怪力と言う説明部分にショックを受けたようである。


・・・・微妙に着眼点が違っているような。



「お客さんのそのアラクネ、見た目がきれいネ。その写真とは雲泥の差ネ」


 うん、ハクロがハクロで本当によかったと今物凄く感謝したよ。


「しかし・・・男版アラクネの写真はないですね」


 説明だとあるらしい。他のモンスターでもオスとメスで姿が違う種類のは載っているんだけど・・・


「その説明もう少し読んでみるネ」


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・・・なお、男版アラクネを写真に収めることはかなわず。どうやら奇跡の確率でしか見つけられないらしい。

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「・・・・ハクロも充分奇跡なことは奇跡だよね」

「私はメスですからね」


 ハクロが何を疑っているんですかみたいな顔をした。


 奇跡ならオスだったのかもと思って・・・なんかごめん。




 空気が何やら重くなったので、せっかくなので他の写真も見て見ることに。


「ドラゴンとかかっこいいなぁ」

「ライ様は男の子ですよね。私としてはこちらのが可愛いと思うんですけど」



・・・・なお、この写真集に載っているモンスターの大半は人を襲うモンスターばかりである。


 新しいものは襲わないような種類のが多いそうな。


 とにもかくにも、冒険者用学校がある首都まで、僕らはその写真集を見たりして過ごすのであった。




体格が大きいモンスターって移動するときに不便なこともある。

今作では従魔用空間は廃止されていてないのですよ。

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