ギルマス締め上げ
偉い人だろうと関係ない
「うん、確かに依頼達成を確認したよ」
ギルドに戻り、ギルドマスターに僕らは報告していたが・・・・。
「だけど・・・何で縛り上げられているのかな・・・」
現在、ギルドマスターはハクロによって天井からミノムシのようにつりさげられていた。
「まったく・・・あんな変態な人が依頼人だったとは聞いていませんでしたよ」
「・・・痴漢、わいせつ、などひどい」
「流石にこれは怒りたくなったわよね」
ハクロたち、微笑んでいるけど心の中では全く笑っていないよね・・・・ちょっと怖い。
「いやー、言うのを忘れちゃって、ごめんってあだだだだだだだっだだだ!!」
ギルドマスターの言い方が気に障ったのか、ハクロが締め上げを強くした。
そりゃ、あの変態ロリババァにいきなり会ったら嫌だしね。この先会う機会がないことを祈るよ・・・。
なお、一応ギルドマスターはこのギルドで偉い人であるのだが、わけを他のギルド職員の方に話したら、女性職員の全員が「問題なし」と言ってくれた。男性職員は、誰も何も言うまいという表情になっていたが・・・・。
「で、この依頼で手に入れたというか、臨時報酬みたいになったのがこのワゼです」
「ふむ・・・遺跡からの発掘品か」
ミノムシ状態から、何とか放してもらったギルドマスターは、ワゼを見た。
「耳とか、手足の関節とかを見れば、人ではないとわかるけど・・・・むしろ疑問があるんだよね」
「疑問?」
ギルドマスターが首をひねってつぶやいた言葉に、僕らは何かなと思った。
「いや、顔とかそういったところも人らしく作れているのに、目につく部分でかつ、そこまで目立つわけでもない部分が人でないとわかるようになっている・・・・もしかすると、完全に人間とまったく変わらない見た目にもできたのではないか?」
言われてみればそうだよね。結構精巧にできているみたいだし・・・人間と変わらない見た目に完全にできそうだよね。
「そのあたりの質問ですが、理由としては一つ上げられマス」
「何かあるのか?」
「はい、先代『ワゼ』の面影を残すように作られているようだとメモリに記憶されていマス。耳とか、そのあたりがそのようデス」
つまり、今のワゼの前のワゼの姿を残すためか・・・・。
「先代も同じような姿だったとか?」
「いえ、この姿よりもう少し幼い・・・ハクロとロウの中間ほどですネ」
成長したらこんな感じかなと思って作られたのだろうか。
「まあ、とにもかくにもただでメイドが手にはいったようだしいいんじゃないの?」
「それはそうですが・・・・今僕らが拠点にしているのは宿ですので、メイドが・・・」
宿にメイドを置いても意味がないからね。
「だったら、依頼を受けている間はここで働いてくれればいいんだけど」
「え?」
「ギルドも職員不足になるからね・・・」
なんでも、いま王国と帝国での戦争中は冒険者たちの大半が行って、ちょっとギルド内がスカスカになって楽になるのだけれども、書類とかそういう作業が・・・・
「王国の上層部とかが、ギルドに帝国との戦争で忙しいから回してきたりしてね、結構大変なんだよね」
「で、ギルドで働いてもらいたいと」
「そういうこと。魔道具をギルドが借りる形になるからワゼの収入は君たちに来るのさ」
なるほどね・・・ん?でも、
「ワゼってメイドだけど書類仕事とかできるの?」
「できますヨ。言語関連はメモリーとは少々異なる点が多いですが、すぐに更新できますし問題ないデス」
問題はないようである。
「なら、僕らが依頼を受けている間、ワゼをここで働かさせてもらいます」
「決まりだね」
というわけで、ワゼがギルドに臨時就職したのであった。
後に、このことに関しての騒動が起きるのだが・・・・まあ、今は考えるまい。
次回から、戦争に関して入っていくかな