発掘品2
ヤタがこういったロマンが好きなのは、本とか読んだりするからである。
手が翼なのにどうやって読んでいるかわからないかたは、とりあえず青いネコ型ロボットの手を考えてください。
「ほんむげらっちょ!」
奇声を上げて、最後の一人が倒れた。
「・・・真夜中に襲撃してきたけど、やっぱり弱かった」
「そりゃ、ヤタの翼を受けたらやられるでしょ」
羽ばたく羽って結構強いからね。鳥目とかって言葉あるけど、ヤタの場合平気みたいだし。
現在時刻は、遺跡から出発して2日目の夜中である。
荷馬車を停車させて止まっていると、ハクロが何やら怪しい動きを確認できるといったので確かめてみると盗賊たちであった。
近くまで引き寄せてから、ハクロの糸の罠で縛り上げたり、ヤタの翼で叩いたり、ロウが体を大きくして飲みこんで溺れさせたりした。
ロウの攻撃方法って、体当たり、ふくらむ、溶かす、飲み込むみたいだな。
ルミナスは精霊魔法であたりを一気に明るくして目をくらませたりしたし、とりあえずこれで片付いたようである。
「盗賊たちはギルドに引き渡すとお金がもらえたりするけど・・・」
「護衛依頼を受けている今だと、難しいですよね」
そこまで行くのに時間がかかるし、めんどくさいからな。
「まあ、頭だけ出して地面に埋めるというのでいいだろ」
盗賊を運べなかった場合はこうするか、他の方法で置いておくか、殺すかの選択肢があるって冒険者用学校で習ったからね。
しっかり手足も縛って、ロウが地面を侵食してちょうどいい穴を作り、そこに頭だけ出して後はルミナスの精霊魔法で土の精霊とやらの力で埋めた。
うむ、2,3日ほどで干からびるかも。まあその前に誰かが捕まった盗賊だとわかって連行していくだろうけどいいか。
「にしても、この光の精霊での精霊魔法で当たりが明るくなっているけど、どのくらいついたままなのかな?」
「あー・・・だいたいあと数分ほどで切れるわよ。そこまで長期的にはつけられないのよね」
「精霊魔法・・・エルフの実でありながら使えぬのは悔しいが、こうしてみるとやはりいいなぁ」
「モッサンさんは使えないですもんね」
過去の精霊に対するセクハラが原因かもしれないけど。というか確定だと思う。
「ま、これでしばらくは大丈夫だろう」
ふっ
「あ、消えましたね」
「・・・・真っ暗」
とりあえず、今晩はもう襲撃はないかなとおもい、全員荷馬車内へと戻る。
ハクロはハンモックを作ってそこに寝そべり、モッサンさんはミノムシみたいに縛られて寝る。
で、僕らは普通に寝そべるんだけど・・・・。
ヤタとルミナスは座禅を組んで寝る体制に。
臨海態勢をとって、万が一モッサンさんが解き放たれた時に備えるのだとか。
ロウはそのまま布団をかぶって眠る。
僕は同様にそのまま横になって眠るのであった・・・・・。
ゴソガソ・・
「・・・ん?」
真夜中、何かの物音で僕は目が覚めた。
暗いけど、全員寝息を立てているのがわかる。
何か物音が荷馬車内に小さいながらもしていた。
「コソ泥か、小動物かな・・・?」
とりあえず、音を確かめるためにその音がするところを見ると・・・
「発掘品のあれか?」
何やらでかくて四角い箱の様なものから音がする。
確か、これも発掘品の一つだっけ。
そして、先ほどからの物音もその中からするのだ。
「なにか入り込んだのかな・・・?」
頑丈そうだけど、かなりの年月が経っているようだし、どこかに穴が開いてそこから小さな動物とか入ってもおかしくないからね。
「って、これ開くかな?」
確か、開かないんじゃ・・・・
と思って、箱みたいなものに触れた時であった。
『ピッ・・・・・魔力認証システム作動』
「うわぉっ!?」
いきなり何か聞こえたので、慌てて手を離した。
『魔力波紋確認・・・・・・・・所持者「ゼロ」ノ魔力類似確認。同一人物、モシクハソノ関係者ト判断。ロック解除』
「え?え?」
ゼロって誰なんだ?というか、ロック解除って・・・・・。
困惑していると、ギギギとその箱が開いた。
がしっつ!!
「ひいっ!?」
その中からいきなり手が飛び出てきてビビった。なんかものすごく怖いんですけど!!
そのまま誰かがはいずり出てきて、その場に立った。
「認証システム確認・・・・類似魔力確認・・・・」
よくわからないけど、なんか出てきたんですが。
ちょっと暗いから見えにくいけど、人のような容姿をしているのはわかる。
スカートみたいなものとか、なんかフリルみたいなものとか・・・・メイドってやつかな?
「魔力一致・・・・」
と、眼のあたりがいきなりカッと光った。
「うわぁお!?」
「生命反応確認・・・類似反応確認・・・システムオールグリーン」
うん、もう何を言っているのかわからないんだけど。
がしっつ!!
「ひっつ!!」
いきなり、こちらに体を向き直したかと思うと、手をつかんできた。
「・・・・魔力確認・・・認証システム作動」
「へ?・・むっつ!?」
いきなり、口を何かでふさがれた。
「むーっつ!!むーっつ!!」
「認証完了。マスター登録完了イタシマシタ」
そう聞こえた後、僕は体から力がなぜか抜けて、そのまま気絶したのであった。
前作では影が薄かったものを再登場。濃い目かも。
徐々にそろってきている感じがする