見た目は幼女 中身はおっさん
本日3話目
このモッサンさん、この話だけに出演させるのはもったいないかな?
「のうのう、いい加減解放してくれないかな?」
「ダメです」
「・・・まだ締め上げる」
「あだだだだだだだだだ!!」
ハクロの糸によってミノムシ状態にされている少女。今回の護衛依頼の依頼主のモッサンさんである。
この見た目で90代だというから驚きだが、エルフという種族から考えればおかしくないのかな?
「ハクロ、ヤタ、その人一応今回の依頼人だから・・・・」
「よくわかっているな!!だからもう解放して、」
「解放したらまた揉む気ですよね?」
「もちろ、いや、その・・」
ハクロがキッとにらむと、モッサンさんはたじろいだ。
ハクロ・・・珍しく本気で怒っている感じである。ヤタも同様に無表情な顔からちょっと目が怒っている状態である。
「私も気おつけないといけないわね」
ルミナスが胸を隠す。
このモッサンさん、胸が大きい女性を狙って揉む癖がついているようで・・・中身がおっさんではないかと疑いたくなる。
「しょうがないだろ!!目の前にきれいな女の人がいて、胸が大きければ!!少年よ!!その男心が分からんのか!!」
「あなたは女の子でしょうが!!」
見た目が幼女で、中身がおっさんってどんな最悪の組み合わせなんだよ。
というか、この人もしかして・・・・
「もしかしてですが、他のエルフの女性にも」
「ああ、それでぼっこぼこにされて追い出された」
きりっと言い切った。予想的中というか・・・・。
「だが、それでもこの体は幼い女の子の見た目!!銭湯などで襲撃し、『絡めてのエルフババァ』とまでいただく始末よ!!」
「・・・変態ロリババァエルフ」
これって、エルフの女の子の身体に、おっさんが入った最悪の組み合わせじゃないだろうか?
神様がいたとしたら、なんでこんなのにしたのか問い詰めたくなる。
「まあ、これまで数々の胸を見てきたからこんなこともわかる!!ハクロとかいったそのアラクネは上からきゅ、」
「何でわかるんですか!!」
言い切る前に、ハクロがものすごい連打で殴りまくる。いままでにないぐらい物凄い連打だ。
サンドバックとしてもうぼっこぼこに。ハクロって、糸で罠を作る以外にも、格闘家としてやっていけそう・・・・あ、足技が無理か。蜘蛛の足だと・・・できるか。
だが、ソレでもさすがエルフとでもいうのか、まだ生きていた。
「ひゅへーへっへへっへ、ほひゅほへふほふゆへい(はーっはっはっはそのぐらいではかゆいわ!!)」
「すんごい顔腫れていますけど・・・・」
ぼっこぼこにされて、モッサンさんの顔がものすごく腫れた。
とにもかくにも、当初の予定である護衛依頼を遂行することになった。
「この荷馬車に、あの遺跡の発掘品が入っているわけか」
「そうだ!!大変貴重なもので、この荷馬車1台分しかないがな」
モッサンさんはつるし上げられたまま、説明した。現在、僕らは荷馬車のあいていたスペースに乗りながら進んでいる。
「これを、東の方のアーランデルドという都市にまで護衛するのが今回の依頼なんだ!!」
「ここからこの馬車のスピードで4日ほどですね・・・・」
つまり、4日間はこの変態のエルフと共に・・・
「寝る時とかには、もう少しきつく縛りましょう」
ハクロが念入りに縛り上げる。
「精霊魔法は使えるんですか?」
ルミナスがモッサンさんに尋ねた。エルフもダークエルフも精霊魔法が使えるので、それを使って逃げ出さないようにしたいらしい。
「いや、実は精霊にもなぜか嫌われてな。それで精霊魔法が使えなくなって追い出されたってのもあるんだ」
「・・・精霊は、心が住んだ人に好意を示すと本で読んだことがある」
「その通りですが・・・まあ確かにこの人の周囲に精霊が近寄りませんからね」
煩悩むき出しのモッサン・・・・精霊に嫌われているようである。
「なんでだろうか?以前、精霊の中の精霊、大精霊様の胸を揉んだのが原因か?」
「「「「「原因それしかないじゃん!」」」」
「ウミュッ!!」
原因は物凄く明らかであった。というか、精霊って触れられるものなのか?
「いや、普通の精霊は無理だな。精霊の中の精霊と呼ばれる大精霊様以上から触れられるのだ」
「なるほど・・・というか、よくそんなことをしようとしましたよね」
「そこにむ、」
「わかりましたから」
この人・・・ほおっておくとものすごい面倒なタイプだ。間違いない。
「しかし・・・ライといったな?」
「ああ、そうですが?」
「君の周りにいる精霊たちはみな安定している。不思議だと思うのだが・・・」
と、エルフであるモッサンさんは言った。
ルミナスの方も前に言っていたしな・・・・
「そんなに精霊とかが僕の周囲にいるのですか?」
見えないからわからない。
精霊とかが見えるのは、エルフとかそういった限られた種族だけらしいからね。
「ああ、うじゃうじゃと」
「うじゃうじゃ!?」
「違うわよ。こう安定した感じでゆったりしているようにうじゃうじゃ」
「どちらにしろ同じだった!?」
ちょっと驚愕しました。
「うーむ、精霊魔法を使えてもおかしくはないが、その才能はないようだし・・・・」
「それってちょっと心に来るからやめてほしいのですが」
才能ないって・・・・
「何か、力とかそういう者に惹かれておるのかもしれんな。『英雄色を好む』というし」
「英雄ではないんですけど・・・」
というか、そんないい加減なものでもないし。
とにもかくにも、護衛をこなすのは大変そうだなと思えたのであった。
「4日もチャンスがあるのか・・・」
「油断したくありませんね」
「・・・縛り上げて置かないと」
「この際手を縫って差し上げたら?」
キランとモッサンさんが目を光らせたので、ハクロ、ヤタ、ルミナスが身構えた。
ちなみにロウは僕の膝で眠り中。すやすや寝ているね。
ちなみに、ハクロのスリーサイズとかは冒険者用学校での従魔の健康診断時に出されている。
人型のモンスターは計られる運命にある。
そして、ハクロとヤタのスリーサイズ結果が、健康診断のために測定しに来たギルドの女性職員たちをへこませていたのは言うまでもない。