閑話 開戦
短めシリアス。
時系列的にはライが冒険者用学校を卒業したあたりかな?
「・・では、帝国との開戦は避けられぬか」
「その通りでございます父上」
『ルーナス王国』と、『アラモス帝国』との開戦・・・国王ライド=ルーナスはできれば避けたかった。
そのために、帝国からの使者との会談をしたりして、出来るだけ開戦を避けようとしたのだが、ついに開戦が決定されたのである。
「ご心配なく父上、推測兵力はこちらの方が上。無能な指揮官もおらず、勝算はあります。それに、今すぐにではなく、もう少ししたらですよ」
ニヤリと笑みを浮かべる第1王子のプラント=ルーナス。
高齢のため、自室にこもるようになったライド。その彼の息子、第1王子のプラント=ルーナスに今は政治の大半を任せているのである。
今回の開戦決定も、彼が最終的に決めたものであった。
だが、ライド国王はどことなく不安を覚えた。プラントの目に野心が宿っているように見えたのである。
しかし、自分は今は政治から離れ、隠居をしようとしているので強くは言えなかった。
「開戦か・・・プラントよ」
「はっ」
「戦を引き起こすなら、その分それなりの覚悟をしておるか?」
「覚悟はしています。大体、勝算がなければ引き起こしません。開戦までに、各地から治療用ポーションも集め始めています」
「・・・ならば、わしから言うことはあるまい」
国王の自室からプラントが出た後、ライド国王はため息をついた。
覚悟をしていると言っていたが・・・あの様子だと浅い覚悟であろうと思えたのである。
戦場に出ず引きこもり、いざとなったらさっさと逃げる。そんな者の目だとしか思えなかったのだ。
開戦し、もし負ければ帝国軍がここまで攻めてくる。万が一その事態が起きたら・・・
ライド国王の背すじは寒くなった。
だが、もはや止めることができない。ならばせめて・・・。
高齢だが、動けないわけではないのでライド国王は自室から出て、城内のある部屋に向かった。
もし、自国が負けても王家の血筋を残すために・・・
準備は念入りにするのが第1王子のモットーである。準備不足で負けたくはないからね。
ライたちが卒業したあたりと言うことは・・・