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ちょっとした休日

本日3話目

ルミナス、ロウ中心かな?

 今日は冒険者業をお休みということにして、ライたちはのんびりそれぞれ過ごすことにした。


「本屋に行きますね」

「あ、わかったよ」

「ツイテクー」



 ライたちと離れて、ルミナスとロウは都市にある本屋へ向かった。


 宿屋は借りている部屋なので、本棚などがない。


 近々、都市内のアパートなどに部屋を借り、そこで生活する予定である。


 と、ライが言っていたのをルミナスは思い出した。



 とにかく、そこまで多くは買えないし、2,3冊ほどでいいかなと思った。





「オッデカケ♪オッデカケ♪」

「機嫌いいですね、ロウさん」

「ウミュ♪」


 はぐれないように手をつないで歩くルミナスとロウ。ロウによって服を溶かされてライの目の前でポロリしてしまったことがあったから苦手意識があったが、だいぶ治ったので今は平気である。


 なんとなく、娘のようなそんな感じにしか思えなくなっていた。


 見た目からして、年若い親子にしか見えないと道行く人々は全員思っていたのだが。


 ハーフダークエルフとヒューマンスライム。種族は違えど、大人っぽくなってきている少女と、幼い少女の組み合わせでは見た目的にそうとしか思えない。



 

 辺境都市ザストの人々の中には、ライたちのグループ構成を家族のように見えるという人々もいる。


 ライが長男、ヤタが長女、ルミナスかハクロが次女か3女、ロウが末娘って具合にだ。


 一部の人々の間では、夫婦だとか、母親だとか、様々な関係的なものが作られて、想像による二次作品も裏で流れているのだが、ライたちに知られないようにされている。

 

 というか、知られたらまずいのも理解している。


 ある意味殺伐とした冒険者たちの癒しの人物なので、ここから出ていかれるの非常にまずいからだ。


 美しい見た目の彼女たちが出ていかれたら・・・・それはそれできついものがある。


 なので、水面下では一致団結しているのだ。


 なお、女性冒険者たちはたまに銭湯で彼女たちと交流して肌の保ち方など話し合ったりする。


 最近人気なのは、ロウによるつやつやスライムエステ。


 その効果がよかったので、美容のためにロウと似たようなスライムを探そうとスライムの森をさまよう女性冒険者も出てきており、また、同じような人型のスライムがい何かと探す人も増えている。


 ほとんどが見つけられなくて落胆するが、たまに新種を見つけたりするのでギルドとしては情報が増えるから良しとしている。





 そんなこんなで、二人は本屋に着いた。


 何気に二人とも本は好きなので、ここに本屋があるのはうれしい。


 ロウが本を好きなのは、より多くの言葉を学べるのがいいらしい。スライムだからか、勉強での吸収性もすごい。


 まだ片言だが、いつかは漢字も話せるようになるであろう。



 ルミナスは、精霊魔法を扱っているのだが、精霊に関しての本が好きなのである。


 奴隷となっていた過去はあるが、そんな過去を忘れて楽しめる時間でもあった。


「本は何があるかしら?」

「カシラ?」




・・・・ちなみに、この世界では文学作品は発達している。なぜなら、毎日冒険に出ているような冒険者たちが引退した際に、伝記を書いたりしていて結構豊富なのだ。また、活版印刷技術なども発達しており、魔道具による印刷技術もある。そのため、小説作品が数多い。


 漫画などはまだないが・・・・そう遠くないうちに出るであろう。なぜなら、すでに一部ザストの裏市場では18禁止風の絵で描かれたハクロたちの絵などが描かれて売られているのだから。


 のちに、これが原因で想像が起きるのだが・・・・・またの話である。



「『土下座衛門の物語』、『星空のモンスター』、『鬼神転生騒動記』、『三倍の彗星』、『適当に生きたい・・・・・・面白そうな小説が多いわね」

「ウミュ、ウミュユユ、ウミュゥン」

「なにを読んでいるの・・・・・『スライム語三段活用』?そんな本もあるのね」


 誰が書いたのだろうか?というかこれは読めているのだろうか?


 少し見て見ると、確かにそのように書いてあった。


「キューッ」、「キュキュー」、「キュキュット」・・・これも同じようなものらしい。




「『魔物使いと異郷の姫』・・・・これもいいわね」


 この本のタイトルを見て、ルミナスはふと思う。ある意味今の自分の状況に近いなと。


 どことなく、昔あった人にライが似ているような感じがするが・・・・まあ、一目ぼれに近い感じだし良いだろう。



 ルミナスは心の中で思う。自分の魔眼・・・「魅惑の瞳」で腰砕けになるような人が多い中、ライは数少ない耐性持ちだった。そこは別にいいのだが、あの時向けられた笑顔・・・・・それに惚れたのである。


 だけど、今はまだその心を伝える気はない。時期が来たら、告白しよう。そう思っているのだ。


 というか、ハクロやヤタも似たような感じなのは全員乙女心からわかっている。


 きちんと、ライの気持ちが出てくるまで、彼女たちは待つのだ。


 ロウは今のところどう思っているかはわからないけど・・・。




 とりあえず、『魔物使いと異郷の姫』、『スライムハザード』、『隣の昆布』の3冊を選んだ。


 面白そうだからであり、費用は普段の依頼達成によって稼げるルミナスの取り分から支払っているので問題はない。


 


 ホクホク顔で宿に戻って読むことに決め、街中を歩く。


 道行く人々から挨拶され、返す。


 ロウは道行く人から飴などをもらっている。完全に孫扱いされているようである。


「アメハ、アメ~」

「ふふふ、なんでダジャレ言っているのよ」


 素直さゆえの自然な言葉か。スライムに味覚があるのかはわからないけど、飴の甘さに喜んでいるようである。


 飴を体内で溶かして味わっている幸せそうな顔しているロウに、ルミナスは思わず苦笑した。


 その顔は、道行く人々から見れば美しいというか、可愛い感じであった。


 まあ、中にはその目を直視して、自然と「魅了の瞳」の効果で腰砕けになる人が出てしまったが。


 一応、ザスト内ではその辺は注意しておくようにされているのであった。




 宿に戻ると、ライとハクロが互いににらみ合っており、ヤタがその間でお茶を飲んでいた。


 どうやら互いにオセロで勝負をしているらしい。


 座高の関係で机の上でライが椅子に座っているが。


「ぬぬぬ・・・ハクロ腕を上げたよね」

「ええ、私だってちゃんと学んできているんですよ!!」


 ライが白色、ハクロが黒色でやっている。


「だけどね」


 と、ライがにやりと笑みを浮かべた。


「ここに置けば・・・・」

「な!!まさか逆転された!?」


 どうやら盛り上がっているようなので、おとなしく買ってきた本を読むことにした。


 部屋の壁に寄りかかって呼んでいると、ロウが寄ってきた。


「どうしたの?」

「コレヨンデ―」


 ロウが手渡してきたのは、絵本。どうやらこの宿の女将さんから借りたようである。


 ロウは文字を覚えてきているので読めないことはないのだが、完全ではないようだった。


「ふふふ、いいわよ」

「ヤッター!」

「昔、昔、ある所に・・・・」





 そのまま絵本を読んでいると、ロウが眠くなったのか寄りかかってきて、そのまま寝てしまった。


「あらあら」


 そのまま寝かせ、ルミナスは自分の本を読み始めた。


「・・・これ読んでいい?」


 ヤタが買ってきた「隣の昆布」の本を指もとい翼でさししめした。


「いいですよ」

「・・・ありがとう」


 翼の先を起用に指のように曲げて、ヤタも読み始めた。


 部屋の奥では、ライとハクロは今度は将棋をしているようである。どちらも昔からの付き合いと聞いているけど、互いの癖などを熟知しているようであった。





 そのまま夕食を宿でとり、風呂に入る。


 そのあとは布団に入り、いつも通り眠るのであった・・・・・。



こうして今日も日常が過ぎてゆく。なお、一部冒険者の間では、休日に出歩くハクロやヤタ、ロウ、ルミナスの姿を見かけると幸せが訪れるなどの謎のジンクスが流行っているそうな。

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