指名以来初達成・・・・ん?
本日2話目
それから数日、早くも辺境都市ザストに戻ってきた僕らはさっさとギルドの受付に行って、二階の執務室に入った。
だってね、ハーフダークエルフのルミナスの容姿って、ちょっと目立つもん。
ハクロたちよりは目立たなかったからまあよかったけど、じろじろ見られるもの嫌だろうし、「魅了の瞳」を持っているから、下手に目を見られたら誰もが腰砕けのようになるかもしれないし。
「おおっ、無事に依頼を達成してくれたんだね・・・・それより助けてくれないかな?」
またギリギリと今度は違う女性に首を絞められている。
どうやら、仕事をさぼったらしい。
それだったら助けないほうが良いかな?
「で、この人が私を奴隷として買った人?」
と、ルミナスがギルドマスターを半目でみながら指さした。
うん、気持ち的にはわかるかもしれない。
部屋に入ったら首絞められている男性が、自分を買った人だと思うと不安感が半端なくなるだろうね。
「まあ、すぐに奴隷から解放して、ご家族に返すよ」
「私が奴隷になった理由は、貧しかったからですが・・・」
ギルドマスターの言葉に対し、ルミナスはちょっとしょぼんとした顔をした。
ちなみに、ギルドマスターも魅了耐性もちらしい。意外というか、納得というか。
「あははは、大丈夫だよ。君の家族の仕事を見つけたからね」
「え?」
目を丸くするルミナス。
話によると、ルミナスの父親の方は人間、母親の方がダークエルフで、ギルドマスターが昔世話になったのは父親の方らしい。
で、両親とも冒険者だったらしけど、あるモンスターの戦いで体を痛めて二人とも引退。
再就職先を探そうにも、どちらもうまいこと働けなくなっているからなかなか見つからない。
で、貧しくなっていったので、せめてもと思って、ルミナスは自身を奴隷として売って、両親に金を渡したらしい。
「だけどね、その後君を探そうとして必死になっていたときにいろいろやっていたら馬車に轢かれてね、重傷を負ったかと思ったら、そのショックで体が二人とも治ったそうだよ」
「なにそれ・・・?」
つまり、モンスターに襲われた際にがったがたになっていた部分が、轢かれたことによって正常に直っちゃったという事か?どれだけの偶然というか奇跡なんだろう・・・?
その話に、僕ら全員はぽかんとした。
訂正、ロウは顔真似をしているだけのようである。
「とにもかくにも、おかげで冒険者として復帰、金も稼げるようになったからね。奴隷になっている必要もなくなったのさ」
つまり、奴隷から解放して家に戻れるということである。さらに、もう自身を奴隷として売る必要もない。
「さて、どうする?」
「・・・奴隷から解放して、そのあとは私は自由にしていいんですよね?」
「そうだけど?」
「でしたら・・・」
と、ルミナスがくるっとこちらに向いた。
「私も冒険者になりますが、ライさんでしたよね。グループを組んでください‼︎」
「はい?」
いきなりだったから変な声がでちゃった。
ルミナスが頭を下げ、冒険者としてグループを組んでくださいと頼み込まれ、しばしあっけにとられたのであった。
ライは従魔を従えているけど、「魔物使い」としてソロ冒険者活動をしているんだよね。
だから、冒険者グループを作っても一応大丈夫である。