気が重い
本日2話目
やや短め
指名依頼を正式に受けた翌日、僕らは馬車に乗って目的地へと移動していた。
「あー、やっぱ気が重いかな」
「奴隷の売買現場に行くことになりますからね」
「・・・モンスター視点でも嫌」
「イヤー」
全員不満げ。
ロウにきちんとわかるように説明をしたので、こちらもしっかり不満を言った。
奴隷都市と言われるスイブ。様々な種族の奴隷がいて、中には人と交われるモンスターまでいるっていうからな・・・。
ハクロやヤタもアラクネとクイーンハーピーだから当てはまるので、嫌悪感があるんだろう。
ロウは・・・少女のような見た目だし、成長すれば多分当てはまる。スライムはよくわかっていないことが多いからな。
まあ、僕だって行くのは嫌だといえば嫌だ。人が売り買いされる光景ってのは嫌だからね。
今回は、ギルドマスターが知り合いの娘を助けたいようだから受けたけど、普段なら絶対拒否したよ。
一応、移動費などは払わなくてもいいようだし、その辺りはまあ、いいかな。
「大体、奴隷とかは犯罪者だけで充分ですよね?」
「それはそうだけど、やっぱり貧しいところとかそういうところはねぇ」
「・・・ある程度の年月だけ奴隷扱いして、期限が来たら奴隷じゃなくなる感じのもありますよ」
社員みたいな扱いになるってことである。ただ、奴隷として働かされるので通常の何倍もの過酷な業務をやらされるらしいけど。
「こういう人手を解決するようなものがあればいいんだろうけど・・・」
「逆に働いている人たちが困るようなことになりますよね・・・」
ゴーレムとか、魔道具などで実はそう言ったものを代わりに行える。
ただ、それだと今度は奴隷でもない普通に働いている人たちの職に影響を与えてしまうのだ。
「7大世界の終わりなき問題」としてあると聞いたからな・・・・。他のは「腐る貴族」、「災害」などと言ったものがある。「狂い踊る酔っ払い」ってのは果たしてこれに数えて良いものだろうか?
4日たち、海が見えてきた。」
「あそこに見える建物多いところが『スイブ』か」
「なんかものすごくにぎわっていますよね」
近くまで馬車でいき、そこから下車して都市の中に入った。
「・・・人が多い」
ヤタがつぶやいたのは、全員の意見である。
人口過密というか、とにかくザストよりは多い。
「ウルトラビッグサーモンがついに釣れたぞぉぉぉお!!」
「キングカニ3匹追加!!」
海に面した港町でもあるせいか、あちらこちらで漁業関係者の方々の声が。
「奴隷とかを売っている都市って聞いたけど・・・・」
「魚売ってますね」
「・・・あ、奴隷販売はあっちの方見たい」
「サカナ―」
ヤタが地図をあらためてみると、僕等がいたのは漁業市場と呼ばれる区画で、あっちの区画が奴隷を販売しているのだとか。
漁業と奴隷販売、この二つでこの都市は成り立っているんだな・・・・。
「で、ここがその予約奴隷がいるという奴隷商館か」
「地図と商館名から・・・・あっていますね」
「・・・我が君、ここ奴隷商館ですよね」
「そうだけど・・」
「・・・『へっぽこ』という店名はどうなんでしょうか」
「さあ?」
ここに来るまでに、他の奴隷商館の前を通ったけど、誰もがハクロたちをなんか欲深そうな嫌な目で見たので気が重くなっていたけど・・・・この店名のおかげで少し軽くなった。
へっぽこってなんでそんなのにしたんだろう・・・・。
とにもかくにも、中に入ることにしたのであった。
へっぽこ・・・・なんかゾ〇リの歌みたいなのを思い出した。