ゲソタッコンパニック1
珍しくシリアスっぽくしてみた
今日も僕らはギルドにて、依頼を探そうとしていた時であった。
「今日はどの依頼を受けようかな?」
「そうですね・・・この『ロックバー、」
「大変だ――――!!」
いきなり、そんな声が聞こえた。
何事かとその場にいた全員がその声の方を向くと、物凄く息を切らせた人が立っていた。確か、Cランク冒険者の人だったかな?なんとなくだけど、ギルドに通っているうちに度の冒険者がどんなのかが、わかるようになってきているんだよね。
「どうしたんだ一体!」
その汗まみれの様子から、ただ事ではないと思った冒険者の一人が声をかけた。
「げ、げ、げ・・・」
「げ?」
「『ゲソタッコン』の群れがこちらに向かってきているんだよ!!」
「「「「ゲソタッコン!?」」」」
そのモンスターの名前を聞いて、他の冒険者たちは驚いた。
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「ゲソタッコン」
足がイカで頭がタコ、もしくはその逆のモンスター。普段は海中に住んでいるモンスターだが、繁殖期になるとなぜか空を大群で飛ぶ。海中にいる時はのんびりと漂っているのだが、空中だと凶暴性が増し、その群れが通過した後は、何一つ残らない廃墟と化してしまう。別名「紅白の暴れ大河」。一匹一匹の強さは物凄く弱いはずなのだが、一度に何万体もの群れで来るのでかなりキケン。足の吸盤で武器や鎧、衣服などを奪ってしまう。
なお、一応食用可能で、様々な調理方法がある。
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ゲソタッコンの繁殖期とやらはいまいちわからないので、予測が不可能なのだ。
「どうするんだよ!!」
「あいつらが通った後って何も残らないんだろ!!」
ギルド内ではパニックが起きた。
「そもそも、どうやってゲソタッコンがここに来るとわかったんだ?」
「ゲソタッコンの進路は常に一直線。カーブとかしないで、問答無用で突き進んでくるからだ!!」
そして、その進路予測からここにまで来るのが分かったようである。
「ゲソタッコンなんて狩ってやる!!」
「奴らの突進力は城壁をも破壊するって噂だぞ!!」
「もうだめだぁ・・・」
城壁をも貫くて・・・・・あ。
「ハクロ、お前の糸で網を作ってそれでとらえるってことはできるか?」
「うーん・・・ゲソタッコンがどのようなものかはわかりませんし、第一、網を作ったところでその突進力を抑えきれませんよ」
「・・・・アラクネの糸は確かに頑丈だけど、過信できない」
「ウミュ?」
ロウだけは状況が分かっていないようである。首をかしげているけど・・・。
「一直線に来るなら、火魔法とかで焼き払えないかな?」
「・・・ドラゴンとかなら可能でしょうが、私たちには無理ですよ」
そうか・・・
「だったら都市から避難するしかないのかな?」
「えーっと、ただいま他のギルドから情報が入りました!!」
と、いきなりギルドの受付の人たちが何やら言い始めた。
「ゲソタッコンの群れ、現在ここ辺境都市ザストに向かって進行中。被害はすでに出ており、彼らがとぽりすぎた跡は更地となっております!幅は約5キロ、全長8キロの群れとなっており、ザスト到達予想はあと10分です!!」
「「「はあっ!?」」」
幅が5キロってことは・・・
「馬車でならぎりぎり大丈夫かもしれないですけど、人の速度だと・・・」
確実に無理。
「なんとかして退けられないか、もしくは進路を変更させられないか・・・・」
「冒険者用学校のヤマちゃんのあの嫌な声なら・・・」
「・・・全体に聞こえさせるのは無理」
そもそも、ここにいないし。
「どうしたらいいんだ・・・・」
その時であった。
「グォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
いきなり何かの声が聞こえた。
外に出てみると、何やら赤いものが一面覆ってこちらに向かってきている。
「あれがゲソタッコンの群れか・・・」
もうはっきりと見えるまでに奴らは接近していた・・・・・。
たとえで言うなら、夕暮れ時の赤い空みたいな感じ
はたして、どうなるのであろうか・・・・