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銭湯

本日3話目

ほのぼのお風呂

「へ?宿の風呂が壊れた?」

「昨日の今日でですか?」


 冒険者になって数日が経過し、今日も依頼を達成した僕らは宿に戻って今宿の風呂が使えないことを聞いた。


 現在、泊まっている宿は「快晴亭」。格安かつ、従魔も滞在できる宿だったんだけど・・・・。


「すいません、風呂を温める魔道具がどうも調子が悪くて・・・」


 宿の女将さんが謝る。


 どうやら、宿のお風呂を温める魔道具が故障したらしい。修理業者が来るのに3日ほどかかるそうな。


「まいったな・・・汗をかいたから風呂に入りたかったのに」

「この宿のお風呂は意外と広かったですもんね・・・」

「・・・サイズ的にも合う」


 部屋とかは狭めだけど、この宿は風呂がでかいからね。体格の大きなハクロが入りやすかったんだけど。



「この辺境都市には銭湯がありますから、修理ができる間でのしばらくはそちらで入ってくれませんか?」

「銭湯?」


 


 割引になる券をもらって、僕らは教えてもらった都市の端っこの方にあるところに来た。


「ここがこの都市の銭湯か・・」


 なんでも、宿にお風呂がないところもあり、そうしたところではここを使用するのが一般的だそうだ。


 一応従魔も入れる。


「中は意外と広いな」


 人も多いが・・・まあいいか。


 女湯と男湯のところで別れて別々に入る。


「おー、以外といい感じじゃん」


 脱衣所で脱いで、中に入るとなかなかいい感じの銭湯である。


 なんでも、100年ほど前から続く老舗店で、創業者がとことんこだわったらしい。


 風呂の壁に描かれている大きな山とかそういうのは全てその創業者が描いたものだという。


 どこのかは知らないけど、とにかくいい雰囲気を醸し出しているように感じられた。


「あ~~~~~~~」


 湯船につかるとついそんな声が出る。日頃の冒険者としての活動とかの疲れって、こうして風呂に入ると安らぐわ~~。


 風呂とはいい文化である。そう思った。



「意外と広いですねーー」

「・・・なかなか」


 向こう側からハクロたちの声が聞こえてきた。彼女たちも服を脱いで入ってきたようである。



 と、他に入っていた男性の何人かが壁に耳を当てた。


 聞こうとしているのかな・・?ハクロたち声が大きいから結構聞こえるんだけど。


 ただし、覗き見はNG。


 ハクロたちの心配というよりも、覗く人を心配して言っているのである。


 見た目は綺麗だけど、二人ともモンスターだからね?知らないよ?


 冒険者用学校の寮にあった風呂場にて、被害に遭ったメンツを思い出してライは苦笑を浮かべた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はふぅぅ・・・やっぱりこうやってゆったり入れるのもいいですよねぇ」

「・・・同感」


 ハクロとヤタは仲が悪めだが、こういったお風呂の時は完全休戦である。


 見た目が女性のため女湯にも入れるのだが、全身入りきれてはいなかった。


 まあ、タオルとかを湯で濡らして巻き付けているのだが。



こうした風呂に入る時、普通に人とは違って従魔たちには悩みもある。


 ヤタの場合、両手が翼なのでこうして風呂に入った後は乾かさないと水分を吸って飛べない。


 雨とかただの水ならば、普段の手入れのおかげではじくので問題はないのだが、お湯だとどうしても吸ってしまうのである。


 ハクロの場合、蜘蛛の体の部分にも息をする器官があるのでやや息苦しくはなるの。



 まあ、特に問題もなく、普通に人に交じって風呂に入っているのであった。


 他にも同じように入りに来ている人たちはいるが、ライたちがここ最近この都市にて依頼を受けているのでだいたい知れ渡り、むしろ世間話とかも交わすようになっているのである。



「今日は何の依頼を受けたんだい?」


 同じように風呂に入っている人からの質問が出てきた。


「今日はコボルトの討伐でしたよ~」

「・・・まあ、あっという間に終わらせられたけど」


 こうして討伐とかでお金を稼ぎ、ランクアップを目指す。


 そして、最終的には何処かに一軒家でも買ってそこを拠点にして活動したいのである。


 それがライたちの目的でもあった。


「それにしても、二人とも胸が大きいよね~」

「そうですかね?」


 女性客の一人がつかりながら、ハクロたちの身体を見る。


「なんでモンスターが大きくて、私は小さいんだろうか・・」


 落ち込む人も出ていた。


「・・・飛ぶときには邪魔。重いし」


 ハクロは別にいいのだが、飛ぶヤタにとっては邪魔な部分である。


「サイズとか測ったことがあるの?」

「従魔用健康診断の時からは測っていませんよね」

「・・・ハクロの方が2センチ大きかった」


 わいわいと話し合う感じになってきたのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 一方、男湯の方では壁に耳を当てる男性客が増えていた。


「なんか、入ってきた時より増えていない?」


 確実にハクロたち目当てだろうけど・・・・情報速いね。


 ハクロたちの見た目は綺麗な女性。


 そのため、こうして集まってくる野郎どもも多いのである。


 しかし、覗き見をしようとしたやつらが、一人、また一人と撃墜されていく様はちょっと滑稽であった。


 ハクロが糸で小さな塊を作って投げたり、ヤタが羽を飛ばして眉間に刺したりしているよね。



 そのうち死人が出そうなので、さっさとライたちは銭湯から退散することにしたのであった。











のんびりのんびり

なお、宿の風呂が直った後も銭湯に入りにいくようになったけど、そのたびに眉間に羽が刺さったりする人が出るので今日は何人が羽に当てられて、何人が糸のたまに充てられるかのかけ事まで出るようになった。

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