冒険者登録道中記その2
突然モンスターが助けに入ってきたらそりゃビビるよな・・・
「ふうっ」
一通り怪しいおっさんたちを捕縛して、僕らは息をついた。
駆けつけてみたら、あの煙は馬とかが燃えていた煙で、明らかに悪そうなおっさんたちが鎧をまとった人たちを襲っていたし。
みた感じ、どこかの騎士の人達のようだけど、劣勢そうなので手助けしたんだけど・・・・ヤタの最初の羽ばたきで大半が吹っ飛んじゃった。
騎士の人たちがぽかんとした顔で見ているけど・・・・まあ、気持ちはわかるような気がする。
ハクロたちの動きが本当にすごいと自分で改めて思ったよ。
とにもかくにも、怪しいおっさんどもを厳重に縛り上げたのち、僕はまだ固まっている騎士の人たちの中で一番立派そうな鎧と傷を持っている人に話しかけた。
「あのー、大丈夫ですか?」
「はっ・・・・・すまない、少々驚いてしまっていたんであります」
話しかけると、はっと気が付いたようであった。
「あの盗賊どもにやられるところだった。君たちのおかげで助かったよ」
「いえいえ、これも手助けですから」
礼儀正しい人のようだけど・・・結構でかい人だな。
「私たちは今あの場所に乗っておられるお方の護衛をしていた騎士団だ。私の名前は、この騎士団団長ラリゴであります」
「僕の名前はライです。魔物使いで、まだ冒険者用学校を卒業したばかりで登録をしていませんが。あちらの従魔たちは僕の従魔たちです」
「ほお、魔物使い・・・あのようなモンスターたちを使役するとは」
ラリゴさんたちはあの馬車に乗っている人を守るための護衛の騎士たちで、ちょうど今は帰還しようとしてこの道を通っている途中であの盗賊たちとかに襲われたそうである。
「冒険者崩れが混じっていたようで、かなりの手練れが多く危なかった。本当に助かったであります」
「冒険者崩れが混じっていたんですか・・・」
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「冒険者崩れ」
冒険者になったものの、中々ランクが上がらないことにいら立ったり落ち込んだりして冒険者を止めた人たちの総称である。犯罪者となるケースが多く、そこそこ強い人が多い。実力はあるのだが、性格などの点ではじかれたものに多く見られる。中には賞金首となっている者がおり、ギルドに引き渡すことで賞金を受け取れる。ギルドに引き渡された後は、死刑か鉱山送り、もしくは社会更生される。
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授業で習っていたけど、まさか実際に見ることになるとは・・・・。
「でも、結構弱かったような・・・」
「・・・弱い」
ハクロとヤタがそう感想を述べる。
「いや、アラクネとかも相当なモンスターでありますよ」
ラリゴさんが苦笑する。
忘れがちだが、ハクロたちも強いモンスターにあたるんだっけ。ヤマちゃんとかの方が強いイメージがあったからな・・・。
話を少々して、どうやら今この人たちが護衛しているのは相当身分が高い人でお忍び中の旅行らしく、誰かは明かせないようだった。
「とにもかくにも、僕らはこれで先に行きます。冒険者登録をするためにです」
「ああ、君らなら確実に冒険者になれることはわかっているからな」
というわけで、騎士の人たちと別れて僕らはギルドを目指すのであった。
盗賊の人たち?騎士の人たちに連行してもらうことにしたよ。僕らだと運ぶのはきついし、ハクロの糸でしっかりと縛り上げているから逃げだすことができないでしょう。
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ライたちが去った後、ラリゴは自分の職務に戻ることにした。
「おい、お前ら、いつまで固まっているんだ?」
「「「「はっ」」」」
どうやら、ラリゴとライたちが話している間ずっとあっけに取られていたようであった。
「団長、あの者は一体・・・」
「魔物使いだそうだ。冒険者用学校を卒業して、これから登録しに行くんだとさ」
「ふむ・・・・あの魔物使いの名前は覚えていますか?」
と、いきなり場所の中から声が聞こえた。
「どうしたんですかロズ第1王女様?」
「いえ、何か気になりましたので・・・」
護衛対象のこのお方が気になるとは・・・・。
ラリゴ団長はちょっと不思議に思った。
「ライとかいう魔物使いだそうで、あのアラクネなどのモンスターは彼の従魔だそうです」
ハーピーと思えるような従魔もいたが、あれは多分見た目からして超希少種のクイーンハーピーだし、あのアラクネにしても通常種の元比べて綺麗な見た目をしていたが・・・・。
「ライですか・・・覚えておきましょう。また彼らと会うような気がしますから」
「そうですか」
まあ、印象強かったし忘れないだろうなとラリゴはそう思ったのであった。
この第1王女・・・いったい何者?




