めずらしい依頼?
こういう依頼もやってみたい
季節は春となり、過ごしやすい気候になってきた。
気温が温暖となって、ぽかぽかと心地よい陽気で眠りこけそうになる人が出る。
・・・ギルドでは、職員の居眠りが見つかりしだいたたき起こされていたが。
冒険者たちも例外ではなく、活発化してきたり、睡魔に襲われたりといろいろ忙しい時期でもあった。
そんな中で・・・
「指名依頼・・・か」
「結構久々のものですよね」
ライたちはギルドの執務室にて、ギルドマスターであるアーガレストから久々の指名依頼の事を聞いていた。
ライ個人宛とかではなく、グループ「快進撃」宛なのでルミナスも同席している。
「そうだけど、この指名依頼はちょっとしたもので・・・ようは講演会のお願いみたいなものだね」
ギルドマスターが見せてくれたのは、ライにとって久々に見たところからのモノであった。
「冒険者用学校での、講演会のお願いか」
内容としては、冒険者とはどういう職業であるかを生徒たちに教えてほしいという物のようである。
とはいえ、ライの年齢は現在約17歳。若いし、冒険者暦としても2年ほどで浅い。
こういた講演会は普通引退した冒険者とかがやっていたりするけど・・・・
「ライ君の場合、はっきり言って冒険者暦が短くても滅茶苦茶濃いことを1年にやっているからね」
15の卒業時にハクロ、ヤタがいた。
ザストに来てからその年でロウ、ルミナス、ワゼ、リーゼ、アルテミス、ミアンが仲間になる。
去年の16歳の時点でエリー、スルト、ツバキが仲間に。
今年で今のところ紅桜が仲間になって、物凄い濃い1年を過ごしているのである。
また、ザストの防衛戦や、ゴブリン同盟騒ぎなどでもいろいろとやっており、従魔たちの質から見ても、もうSランクに認定されてもおかしくはない状態なのであった。
「・・・そう考えると、おかしくはないのかな?」
うすうす自覚はしているけど、そう考えたら確かに講演会をしてくれときても可笑しくはないかもしれない。
ただ・・・ね。
「話すことがないからな・・・・いつもギルドの依頼を受けているとかそういう位だし」
講演会って・・・何を話せばいいんだよ。
「普通に考えてこれまでの履歴・・・とか?」
「でも、説明するのが怖ろしいほどめんどくさいこといなりかねませんかね?」
「私も難しいわよ」
ルミナスもわからないようなかんじである。
メンバーである彼女も話すことになるのだが、こちらはこちらで事情が特殊だからな。
「従魔たちをどのようにして従魔契約を結べたのかみたいな話でもいいと思うがのぅ」
「・・・私達、全員似たようなものだからいまいちだと思う」
アルテミスの提案を、ヤタが切り捨てる。
そりゃまあ、全員従魔になるのに似たようなところがあったからね。
自分からきて、従魔契約をしたようなものが多いからな・・・・ミアンの場合は戦っているけどね。あれは死ぬかと思ったからな・・・・こうして今仲間になっているのもある意味奇跡のようだし。
そもそも、神獣種、幻獣種と上位種、超希少種、進化種といった者たちが勢ぞろいしているという時点で奇跡のようなものだけどね。
「これを受けるとなると、卒業以来の物凄く久し振りの冒険者用学校に向かうということになるな」
「最初に来た時は、間違えて3日前に来てしまい、野宿する羽目になりましたもんね」
ハクロが思い出したかのように苦笑いをする。
とにもかくにも、せっかくのこの機会なので、講演会をしてもいいかなと思ってライたちはこの依頼を引き受けることにしたのであった。
「大体どのぐらいで着くかな?」
「リーゼの飛行能力も向上していることから、1日の野宿程度で着くでしょう」
・・・ここに来るまでの道のりが、リーゼ一体でずいぶん楽になったなぁ。
生徒から質問が来た時に、ライはどう答えることができるのだろうか。