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学校問題

従魔2体になって・・・

「これより今年度初の緊急職員会議を行います」

「「「行います」」」


 マッスラン先生の宣言により、今年初となるらしい1年生担当の教師達による緊急職員会議が開かれた。


「今回の議題はこちら、『犬猿の仲の関係について』です」

「・・・今のままで問題はないんじゃねぇの?」

「ナインジャネェノ?」


 バッバンノ先生が疑問の声を上げる。おい、一応魔物使い科の先生でしょう。


「いえ、つい先日のサバイバル訓練により、生徒の一人に従魔が新たに追加されたのですが、その際に問題が少々・・・」



 先生たちの会議の横で、僕らはおとなしく隅の方で結論が出るのを待っていた。


 ハクロとヤタは互いにあちこちに絆創膏などを貼った状態で不機嫌そうにそっぽを向いていた。


 足と糸で僕を捕まえながら・・・・。


 そんな二人を見ながら、僕はなぜこんなことになったのか思い出すことにした・・・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ヤタが従魔となり、何とか学校の寮の自室へ戻れた翌日である。



「ふわぁあぁぁ・・・朝か」



 いつも通り目覚めると、なんかふわっとした。


 横を見ると、いつの間にかヤタがちゃっかり布団にもぐって寝ている。


 そして、その肩翼をこちらの上にのせていてまさに羽毛布団状態となっていた。


 うん、温かいけどね・・・・確か、ハクロがわざわざもう一つハンモック作って、そこで寝ていたよね?


 なんでベッドに入り込んでいるの?



 ツッコミを入れようとした時である。


 ヤタが目を覚ましてこちらをじっと見た。


「・・・・おはようございます、我が君」

「おはようだけど、なんでベッドにもぐりこんでいるの?」

「・・・寒かったからです」


 嘘だよね?思いっきり暖かい羽毛が生えているし、最近気温も上がってきているよね?


「おはようございます、ライ様・・・・そして、お休みなさいヤタ」


 と、ハクロがいつの間にか起きて、拳を思いっきりヤタにたたきつけた。


どごぉぉぉぉぉぉん!!


 だが、ヤタは当たる寸前に転がって回避。


 ベッドが真っ二つになったんだけど・・・。


「ハクロ・・・僕の寝床が壊れたんだけど」

「ライ様、やはりその鳥もどきは従魔にすべきではなかったと私の本能が叫んでいます」

「・・・・嫉妬」


 ヤタのつぶやきに、ハクロが顔を赤くした。


「な、な、な!!大体私たちの主であるライ様と同じベッドで寝るなんてずるいですよ!!」


 ハクロが殴り掛かるが、ヤタの方が素早いらしくひょいとかわす。


「あの、二人とも、朝っぱらから暴れるの止めて?」

「了解いたしましたライ様」

「・・・わかった」


 早っ!!一瞬で二人ともおとなしくなったんだけど!!





 その後、朝食時には寮の食堂に二人が付いてきた。


「おい、ライのや従魔が増えたってよ」

「本当だ・・・あのきれいなアラクネに続き、今度はクイーンハーピーか。超希少種のモンスターだぜ」

「ここは男子寮なのに、何であいつだけきれいなお姉さんたちに囲まれているんだよ!」

「上級生の俺達だって、従魔にはウルフやスライムだけなのに・・・」


 なんか、周りの男子たちの目線が居たい・・・・。


 ハクロとヤタは互いに睨み合っているし・・・・犬猿の仲みたい・・・。





 学校の方へ行き、教室にて授業を受けていたが・・・。


 ヤタの方はハクロほど教室内でじっとしているのは苦手らしい。


 校庭の方に飛んでいって、バッバンノ先生主導の従魔たちの特訓に出ていたよ。


 もともとハーピーは活発な活動をするモンスターらしい。


 あまり感情などを出さないように見えるけど、クイーンハーピーだからと言ってその部分は同じなようで飛び回っているようであった。


 よく見ると、バッバンノ先生のヤマちゃんと仲良く飛んでいるようだ。


 類は友を呼ぶ・・・・鳥系モンスター同士、気が合うのかな?





 午後の授業となり、今日は体育であった。


 冒険者たるもの、いかなる物でもある程度の体力は必要ということで校庭を走らされていた。


「結構きついよねこれ・・・」

「私はまだまだ平気ですが・・・」


 他の生徒の従魔たちも、ハクロもみんな一緒に走っていた。


 スライムの場合は跳ねると言った方が正しいのかな・・・?


「・・・・我が君、私が肩をつかんで飛んで回りましょうか?」


 と、先ほどまで上空を飛んでいたヤタが滑空しながら横を飛んできた。


 器用に翼を羽ばたかせてある程度浮かんだら、止めて滑空しての繰り返しである。


 翼と足以外は人間の女の人とあまり変わらないんだけど・・・どうやって揚力が発生しているんだろう。


「ヤタ、ライ様は今この体育の授業をまじめに受けているのですよ」

「・・・授業受けると疲れる、ならば体力を減らさないようにするのはその方法が適切」

「それじゃあ、意味がないようなものですよ」

「・・・意味があるかないかは、その人が決めること」


 バチバチバチっと火花を散らして睨むハクロとヤタ。明らかに険悪なムードである。


「あの、ハクロ、ヤタ、喧嘩は止めて、」

「ライ様は下がっていてください」

「・・・ここは互いに勝負するのがいいです」

「ちょっと二人とも!!」


 と、制止する間もなく、二人は取っ組み合いの喧嘩を始めた。


「空に逃げるなんて卑怯ですよ!!」

「・・そっちこそ糸を巻き付けてくるのは卑怯!!」


 互いに糸や羽や翼や拳が飛び合い、周りにも余波が・・・。



「はあっ、これじゃあ授業にならねぇな」

「ナラネェナー」

「バッバンノ先生!」


 みんながあっけに取られて喧嘩の様子を見ている中、バッバンノ先生が騒ぎを聞きつけてきた。


「あの二体か・・・・確実に犬猿の仲だなありゃ」

「アリャー」

「どうにかして止めれないですかね?あの二人完全に頭に血が上っているようですし・・・」

「こういうのはほっといた方が良いんだが・・・・まあ、他の迷惑だ」

「メイワクダー」


 さすがにこの状況はほかの迷惑になると判断したらしい。


「ヤマちゃん、最大音量で頼む!!他のやつらは耳をふさげ!!」


 バッバンノ先生の指示に従って僕らは耳をふさいだ。


 ヤマちゃんが先生の方から離れ、二人に近づいた。


「イクヨー!!」


 そういったように見えた後だった。


『キェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェッツ!!』


 物凄い音があたりに鳴り響いた。


 耳をふさいでいてもわかるぐらい物凄く不快な音である。校舎のガラスにひびが入り、地面が割れる。



「きゃぁぁぁぁぁぁっつ!?」

「・・・・・・・・・・っ!?」


 ハクロたちは喧嘩に夢中になっていたため反応に遅れ、まともに今のヤマちゃんから発せられた音を浴びた。手と翼で耳をふさいだようだけど、何やら物凄く苦しんでいた。


 少し時間がたって音が止み、様子を見るとハクロたちは倒れていた。


 互いに目を回して気絶しているようである。ハクロの方は、そのまま横にぶっ倒れており、ヤタの方は頭のアホ毛がしおれていた。


「バッバンノ先生、これは一体・・・?」

「ふふん、ヤマちゃんの十八番『音の衝撃(サウンド・インパクト)(カノン)(対モンスター用)』だ」


 バッバンノ先生は自慢するかのように言った。


「ヤマビコインコのヤマちゃんは様々な音を出せる。その音を調べたことがあって、モンスターが最も嫌がる音を出せるようになったのさ」

「ナッタノサー」


 人でも不快な音だったが、どうやらモンスターであるハクロたちには効果は抜群だったらしい。よっぽど効いたみたいだよ。


 他の生徒の従魔たちも倒れていたが・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 というわけで現在、ハクロたちのような犬猿の仲同士をどうすればよいのかという会議が開かれたのであった。


「毎回こうして止めるのはさすがにな。他の従魔たちにも影響があるし」

「いっそのこと、すっきりさせたらどうだね」



 などと議論が続いている。


「ライ様・・・飽きましたよ」

「・・・早く終わってほしい」

「ハクロ、ヤタ・・・・お前らの事なんだよ。また先生にいって聞かせようか?」

「それだけはご勘弁を!!」

「・・・鬼畜の所業!!」


 どうやら、ヤマちゃんの攻撃がよっぽど効いたらしい。


 この方法が一番いいのでは?






 この意見も出して、次大暴れして喧嘩したらヤマちゃん攻撃するぞという結論に達したのであった。


 ・・・・会議開く意味あったのかな?


「一応、学校側としてのメンツがあるからだぜ」

「ダゼー」

「なるほど・・・・」


 それ以降、喧嘩は収まったんだけど・・・・やっぱ不仲みたい。



ヤマちゃん最強説ここに爆誕。なお、同様の技を使えるヤマビコインコはいない模様。

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