久々のビックボアーの森へ
こういうふうにのんびりとしたい時もある
SIDEライたち
「あまり変わってないよな・・・」
昼前、ライたちは村の近くにあるビックボアーの森を訪れていた。
一応この村までロズ王女を護衛する依頼は終わっているのだが、せっかくに久し振りの帰郷なので数日ほどここで泊まることにしたのである。
まあ、リーゼに乗って帰ればすぐにザストに戻れるけどね。
でも、そんなに故郷に戻るなんてことはしない。なんとなくもう居場所がザストにある感じになっているのだ。
「あー・・・トラップ49号と56号がまだありましたよライ様」
「どんだけ仕掛けているんじゃよ・・・」
ハクロが昔、ライと一緒に仕掛けた罠がまだ生き残っているようなので、ついでに回収しておこうという目的もあったが。
「村の皆に聞く限り、結構な数が残っているみたいなんだよね」
「でも、人がかからずに鹿やウサギ、熊がかかっていたそうで肉には困らなかったようですよ」
「クマー?」
「大型生物もかかるのでありますか」
「それはそれであぶないのぅ」
「「あははは・・・」」
皆のツッコミに僕とハクロはごまかしの笑いをする。
だってね、もともと罠を設置した目的はこの森の名前にもあるビックボアーの捕獲のためだもの。
余裕を持たせた罠にしようとしたからね、そりゃ熊もかかるよな。
とにもかくにも、罠の回収をしなければ。一応番号が小さく記されているのであとどれだけかわかるようにはなっているしね。
「ここに39号と、41号ですね」
「・・・12号、30号発見」
「8号、5号とこれは古いのぅ」
かちっ
「ん?」
しゅばしゅ!!
「のわぁぁぁぁぁっつ!?」
「あ、ハクロがかかったのは98号のやつだよね」
罠をかけた本人がかかるとはこれいかに。
網が飛び出て吊るす奴だっけ。足の部分が網の外に出るように小細工もされているという。
まあ、わかりにくいように隠していたりするから気を付けないとね。
「ライ様・・・助けてくださいよ」
「あ、ごめん」
「というか、いったい後いくつあるんじゃよ・・・・・」
アルテミスのその言葉に、一旦思い出してみると・・・・
「確か134号まであったかな?その一番最後のでビックボアーを捕まえていたから・・・・」
・・・わぁお、まだまだあるのかよ。
その事実に、全員顔を引きつらせるのであった。作りすぎてごめん・・・・。
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SIDEロズ王女一行
「では、その暗殺者たちは私を狙っての物だったと」
村長の家の一室で、ロズ王女はこの村に隠居していた元騎士団長三人組に事情を聴いていた。
昨夜、暗殺者たちが狙って来たそうだが、ライの従魔であるミアンが押しつぶして捕らえたという事である。
「背後にいた貴族はすでに特定はしています。王城にも連絡し、証拠もすぐに集まるかと」
「そう・・ご苦労だったわね」
「しかし、先輩たちは朝までライ殿の従魔のミアン殿に説教を受けておったとはいったい・・・」
話を聞いて、ラリゴがふと疑問を口に出す。彼にとってしてみれば、三人とも先輩の立場である。
「いや、それはこちらの不手際とかを責められてな」
「神獣種である彼女からしてみれば、我々の行動が甘かったようだと」
「美女なのは良いのだが、朝まで説教されるとはのぅ・・・・」
ミアンの説教を思い出し、三人組は思い出して疲れた溜息を出した。
「まあ、捕らえる手間が省けたのは良かったのでは?」
「プラスマイナスでマイナスって感じです・・・」
とりあえず、当面は安全そうである。
「この村は良い村なようなので、出来るだけそういった争いごとの様なものは来てほしくないですね」
「まあ、歓迎会など開いてくれましたし、良い村なのは間違いないでしょうな。モンスターの襲撃などもあまりないようですし」
「まあ、ロズ王女もここなら安心していることができると国王陛下も考えましたからな」
「・・・しかし、久し振りにそういえばあの小僧を見たな」
「小僧・・・というと、ライさんの事ですか?」
三人組から見れば、昔からこの村の方にいたためライの事はよく知っていた。
「ええ、その通りです。彼はこの村出身ということはもう知っているでしょう。あの彼の連れている従魔に関して村では人気でな、彼女にしたいランキングなどをふざけて掲示してみたところトップだったんですよ」
「ハクロさんがですか。・・・というか、引退してなにふざけたことしているんですかね」
その話を聞き、感心するとともに、ロズ王女は昔は名をはせた元騎士団長たちがそのようなことをしていたことに呆れたのであった。
元騎士団長三人組
before:名が知られた物凄く強い人たち
after:村での生活にどっぷりつかって腑抜け気味




