従魔VS従魔
ちょっと授業風景のんびりとな。
本日3話目
「今日はちょいっと変わった授業をするぞ!!」
「スルゾ!!」
バッバンノ先生がそう言い、その肩に乗っているヤマビコインコのヤマちゃんも真似して言った。
「変わった授業?」
全員疑問を持つ。
「冒険者とは、モンスターを相手に戦うことがある。だが、お前ら魔物使いとなる者たちは自分の従魔と共に戦う。それはわかっているな?」
「ワカッテイルナ?」
それは当たり前だろうと全員思った。
魔物使いは、従魔を戦わせたり、自分と連携して敵を倒すこともあるのだ。
ライの場合は、ハクロに罠を仕掛けてもらってから、引っかかった相手をぼっこぼこにする方法をとっている。
「だが、従魔たちがいくらモンスターとはいえ、常に万全の状態でいるとは限らない。そのため、今回はその万全ではない状態での従魔同士での戦いを行うものとする!!」
「スル!!」
どういう事かな?
体育館に、従魔を引き連れて僕らは集まった。
どうやら説明によると、従魔の得意なことを制限し、従魔同士戦わせるらしい。
スライムだったら吸収、ウルフ系だったら噛みつきなどである。
「だったらハクロの場合は『糸』かな?」
「そういう事でいいと思いますけど・・・」
糸を使えない状態での戦闘・・・・あれ?ハクロ怖ろしく不利になるような。
「それでは、トトVSハクロの試合はじめ!!」
何はともあれ、タルサの従魔との戦闘になった。
あちらはトレントなので、薬とかそういうのが使用できない条件だが・・・。
「えい!」
ドスゥッツ!
ハクロが蜘蛛の部分の前足を振り下ろしてトトの脳天に当てた。
ちょっと刺さっているんだけど・・・
トトはじたばた動くが、ハクロの足に抑えられて動けない。
「ハクロの勝ち!」
あっさり勝った。
「・・・・そういえば、ハクロの足のこと忘れていたよね」
蜘蛛の足って獲物をしとめたときに、掴んだりするのに慣れているからな・・・・。
それに、糸を封じた状態でも手が使えるので、他の生徒の従魔をかわして持ち上げたり、むしろのしかかって動けなくしたりなど多彩な攻撃をハクロはして見せたが・・・・。
バッバンノ先生のヤマちゃんと戦闘した時、ハクロは負けた。
「あははっはは!!あはははっはっはっはあっはっは!!」
「コチョコチョー」
「や、やめひっつ!!あはっはっはっはっはははははっは!!」
「モットー」
「こ、降参ですって!!あはっはっはっははははっはっは!!」
一応上半身が人とほぼ同じなため、わき腹などをくすぐられまくってハクロが悶えて、降参したけどさらに5分ほどくすぐられて、終わったときにはハクロはぐったりしていた。
「ハクロ、大丈夫?」
「む・・・無理です・・・・」
恐るべしヤマちゃん。普段バッバンノ先生の方に泊まっているマスコット的存在だけど、ハクロをここまで疲弊させるなんて・・・。
「ふむ、ヤマちゃんよくやったぞ」
「ヨクヤッタゾー」
バッバンノ先生が褒めると嬉しそうに羽を広げて言ったが、ハクロがびくっと肩を震わせた。
どうやらトラウマになったようである。
その夜、ハクロの寝つきが悪かったらしく、次の日にはクマができていた。
原因は笑い過ぎによるものらしいけど・・・。
その日以来、ハクロはバッバンノ先生のヤマちゃんを見るたびに、僕の後ろのほうに隠れるようになった。
くすぐりに弱かったハクロ。
ヤマちゃん、ヤマビコインコというモンスターだけど、モンスターでの本来の強さで言えばハクロの方が強いんだよね・・・・。糸が使えない状況というだけで、こうも負けるのか。




