閑話 衣服問題
本日2話目
従魔たちの衣服ってね・・・
「うーん・・・・」
ハクロが珍しく、何やら悩んでいるようだった。
「どうしたのハクロ?」
ここまで悩んでいる様子の彼女が珍しいので、気になったので聞いてみた。
「あ、ライ様。実は・・・・」
「なるほど、服を新たに作らなきゃいけないのか」
「そうですよ。ですが、材料の布が無くなったので新たに買いに行きたいのですが、何色を買おうか迷っていて・・・」
現在、僕らの衣服はほとんどがハクロお手製のものである。
とはいっても、アラクネの糸100%品ばかりではなく、糸その物を縫い込んだりしているものが多い。
で、アルテミスやヤタ、ハクロ自身の身体はほとんど人に近いところはあるのだが、翼や下半身などが愚人とは違うためその都度調整して作らなければいけなかったのである。
そして先日、ミアンが従魔になったので彼女にも服を・・・と思っていたら布の在庫がなくなっていたそうな。
その使用する布はハクロが服屋で譲り受けたものを利用していたり、たまの休日の際に渡したお小遣いで買ったものがほとんどだそうな。
好きなものを買えばいいのに、服作りが趣味みたいなものだから買っているようだが・・・。
「で、問題はその色なんですよね・・・」
結構こだわりがあるらしく、その人に会った服を作りたいらしい。職人根性とでもいうべきなのだろうか・・・。
あ、野生の時にアルテミスとリーゼはちゃんと服を着ていたようで、リーゼの場合は人化した際に自然と出るらしいが、アルテミスは市販されていたものを無理やり来ていたらしい。
道理で物凄くぱっつんぱっつんになっているよな・・・・どこがとは言わないけど。今はハクロのおかげでゆったりとした服が着れるのがうれしいそうな。
なお、ミアンの場合はいつの間にか着ていた服のままだったらしい。
鎧を着てみたいと本人は言っているけど、その場合オーダーメイドしないとな・・・・高いよね。
「好きな色を買えたらいいと思うけど・・・・糸に色を付けて出すことはできないのか?」
「その場合、染色すればいいんですけど結局その色で悩むんですよ」
唸りながら考えこむハクロ。
数日後、無事新しく衣服を作製し終えた。その色は確かにミアンに似合う色になっていたけど・・・・こういった服を作っている立場って大変なんだなと改めて僕はそう思えたのであった。
どんなものにも、こうした製作者側の努力があるんですよ。
ちなみに、ハクロの糸の強度はとんでもないので、編み込むだけでもその辺の鎧よりも強度と耐久性が上である。