プロローグ
前作「適当に生きたいただの魔物使い(重要)ですがなにか?」の最終話に出てきた二人の物語です。
前作に比べるとややゆっくりした感じになっていますが、どうぞお楽しみください。
「来たな・・・・」
「来ましたね・・・」
木の上にて、獲物が来るのを待っていた二人がいた。
彼らが狙っているのは、一頭の大きな猪・・・いや、普通とはサイズが明らかに違う。
10mぐらいの巨大な猪だった。
「もう少し、もう少しだ・・」
「あともう数歩進めば・・・」
彼らは木の上から様子をうかがっていた。
その巨大な猪が進んで・・・・
「ぶもぉぉぉっぅ!?」
猪がいきなり宙づりになった。足に部分にロープのようなものが付けられて引っぱられたのだ。
「やった!!成功だ!!」
「制作時間30分、待つこと5時間!!ついに目的の『ビックボアー』の捕獲に成功いたしました!!」
木の上から飛び降り、彼らは捕らえた獲物を見て歓喜した。
互いにタッチしあい、喜び合う二人。
一見、獲物を罠にかけたのを喜ぶ人に見えるが、そうではない。
一人は普通の人間の少年。黒目黒髪の今年10歳になったばかりである。
だが、もう一人は人間ではなかった。
美しい女性の姿で、豊満な胸、整った美しい顔、銀髪のさらさらした美しい髪を持っているのだが、それはあくまでも上半身まで。
スカートをはいているのだが、太ももから先は巨大な蜘蛛の身体になっていた。
アラクネと言うモンスターである。だが、彼らは仲良さそうに手を合わせていた。
「にしても、ハクロ。あのロープ本当に大丈夫だよな?あいつの体重で切れないよな?」
「大丈夫ですよ!!何重にもまとめ上げ、さらにはそれらをさらにまとめ上げた超強化した私の糸です!!そう簡単に切れませ、」
ボキッツ
「え?」
どっすぅぅぅん!!
そうハクロとかいう名前のアラクネが、自信満々に威張ったときである。言い終わる前に縄をかけていた木の枝が重さに耐えきれずに折れて、ビックボアーとかいう名前の猪が地面に落ちた。
「ぶもおおぉぉぉぉぉ!!」
雄たけびを上げる巨大な猪。
「・・・・ハクロ?」
「あ、木の枝の強度を考えに入れていませんでした」
ハクロの方を少年が見ると、ついうっかりとかいう表情でハクロが答えた。
「ぶもおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ11」
「やっぱり怒ったー!!」
「ごめんなさーい!!」
猪が怒りながら突進してきたので、彼らは走って逃げた。
ハクロの方が足が速いので、少年はその背中に乗せてもらう。
「ハクロ!!木の上木の上!!そっちに糸で!!」
「はっ!?その手がありました!!」
少年の指示により、ハクロは素早く手に糸を出すと木の上に伸ばしてつけた。
それを素早く巻き取り、彼らは木の上に避難した。
「ぶもぉぉぉぉぉつ!!」
猪は怒りのあまりよく見えていなかったのか、彼らが木の上に隠れたにもかかわらず、気が付かないでそのまま森の奥の方へと走っていってしまった。
「た、助かった・・・・」
「死ぬかと思いましたよね・・・」
念のために、周りにもうあの猪がいないことを確認しつつ、彼らは下に降りた。
「あーあ、あとちょっとでこの森の主のあのビックボアーを捕れたのに」
「木の強度を考え損ねていましたからね・・・・あ、日が沈んできました」
「仕方がない、今日は帰ろうか」
「そうしましょうか」
彼らは、身長差が一応ありながらもハクロは少し屈んで、少年の背丈に合わせるかのように手をつないで、彼らの家へと帰るのであった・・・・。
やっぱこの二人書いているほうが落ち着くな・・・・