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忘鳥は鳴く(1)

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人々が寝静まった夜。

緩やかな沈黙が支配する街に少年の足音だけが響き渡った。


コツリ コツリ コツリ


機械のように、ただ当てもなく前進していた少年は突然視界に飛び込んできた小さな鳥の形をしたソレに足を止める。

透明のような、赤色のような、青色のような、緑色のような。

世界に存在する色が溶け合って混ざり合ったような複雑な色をした鳥は彼の周りを飛び回った。

その愛らしい姿に目を細める。そっと差し伸ばした右手で鳥を撫でようと試みるが、鳥は逃げるかのように少年の目の前から飛び去って行った。

空の彼方へ消えていく鳥を見つめ、手持ち無沙汰になった右手をポケットに押し込む。

目を閉じれば闇の中で幻想的に飛んでいた鳥の残像が蘇った。


視覚を封じたせいか、聴覚がいつもよりも敏感だ。そう遠くはない何処かで油の切れた自転車のようなキーキーという音がする。


少年は呟いた。


忘鳥(ワスレドリ)が鳴いてる」


こんな夜はきっと。

想影(オモカゲ)が現れる。

僕たちの記憶を奪いにやってくる。



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