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確保

 

 ハンナは裏路地を中心に回っていた。

 もし、誘拐するならば路地に連れ込んでいる可能性が高く、うらぶれた宿屋や怪しい空き家で暗くなるのを待っていたりするのだ。

 ほんの二十分前までは後ろにいたのだ。そう遠くに行っていないと望みをかけた。


 そして、旅人たちの多くが利用する宿屋街の路地で蜂蜜色の髪の子供をつれる男達の後ろ姿を見つけた。銃を構える。


「待ちな!」 


 右端にいたメガネの男が子供から手を離しながら振り返る。


「動くなよ、変なことをするようなら、容赦なく撃つからな」

「はいはい、全くそんな物騒な物持っては可愛い顔が台無しだよ」


 馬鹿にしたようにハンジが鼻を鳴らす。

 ハンナはふわふわのスカートに淡いグリーンのカーディガン、買い物でパンパンのバックを肩に下げているのだ。手にしている銃はあまりにも不釣合いだった。

 挑発するような言葉にハンナの眉が跳ね上がる。


「ハンナ! ハンジお兄さんわるいひとじゃない」


 ユージーンが左にいた男の手から離れて駆け寄ってくる。計算のように胸に飛び込まれて銃の標準が上手く定まらない。


「・・・」


 ハンナはため息をついて銃を下ろすとユージーンを確認した。目立った怪我も無く薄っすらと泣いた後なのか目元が赤いだけだった。


「一人で歩くなって言わなかったか?」

「ごめんなさい」


 ユージーンの後ろまで来ていたメガネの男ハンジが肩をすくめる。


「こいつの落し物拾って追いかけてきたんです。心配かけてすいませんね」


 ハンジは俯き加減の奏を指差す。


「ハンナ、この人がハンジさんであっちのひとが奏さんだって」


 ユージーンはにっこり笑って紹介する。

 あまりの屈託の無さに怒る気も削げた。


 俯き加減だった奏が一度頭を下げて顔を上げる。

 ハンナが息を呑むのをユージーンが不思議そうに見る。


「ロゼッタ」


 奏が静かに発した名前にハンナは眉根を寄せた。

 知らずユージーンを抱いていた手に力を込めていた。


「ハンナ、痛い」


 ユージーンの声に慌てて手を離す。


「ごめん、そろそろ帰ってご飯作ろう」

「うん」


 急かされるようにハンナは言いユージーンの背を押した。


「待てよ、ロゼッタ・ボーイだろ?」


 奏が立ちふさがりハンナは目線を逸らす。


「私はハンナという名だ人違いだ。どいてくれ」

「名前なんてどうでもいい。ハンナならそれでいい。俺が知ってる人であれば」

「私はあなたの事を見たこともない。知らない」


 奏が急にハンナの顎を捉える。あまりの素早さに抵抗しようとして出した手が空を切る。


「おい! 奏やめろよ! あの男みたいなロゼッタがこんな風になってるはずねえだろ!」


 がら空きの奏の背後からハンジが取り押さえる。


「何いってんだ、見ろよ。見た目は変わっても顔も雰囲気も変わってないだろ」

「子供が見てるんだ」


 押し殺した声でハンジに言われて奏はユージーンを見る。涙が浮かぶ瞳で奏を睨みながらハンナにしがみついている。

 急に顎を捉えていた手から力が抜ける。

 ハンナが今にも泣き出しそうなユージーンに抱きつく。


「ハンナ。こっちの都合で悪いけど、拾ってもらったお礼になんか奢らせてくれないか?」


 ハンジが何を言っているのか分からずにハンナは首を傾げる。


「多分、君がハンナで、ロゼッタじゃないというのが証明されないとこいつ付きまといそうで怖いからさ」


 キッと奏を一度睨みハンナはしぶしぶ頷いた。


すみませんがあと少しありそうです(笑)

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