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第三十三話

「流石に持たんとちゃうか!?」

「黒騎士さん~頑張って~」


 先程まではネクロマンサーネモと互角の戦い。


  しかし、ある程度まとまってサモン系のスキルを使われると、その均衡はもろくも崩れ去る。


 俺達は通常の前衛並みの攻防を持つ召喚獣二体に、中後衛レベルの攻防したないプレイヤーが三人。

 数を増やされると、撃破前に次のサモン系スキルを使われる為際限なくア ンデッドが呼び出される結果になる。


 それならネモを直接狙うと言う手段にでようにも、近接時に使ってくるダークボールでの理不尽なスタンがある為、それも困難。


 しかし、掲示板ではその手段に勝機を見いだすのが、プレイヤーに取れる唯一の手段と言う意見が定説だったらしいのだが……。


「グールの攻撃力が高すぎるで! 後、二匹もおる! シュール後ろや!」

「ああ~お兄さん~黒騎士さんが~」


 俺達は連続のサモンスキルで呼び出さたグールに一気に形勢がひっくり返された。


 唱え続けられるネモのサモンスキル。


 どんどん数を増やしていくスケルトンやゾンビにグール 。


「おっと、サンクス、スガタ。全く見えてなかった。アンデッドの癖に不意打ちとは生意気な。それにしても……黒騎士も落ちたか……しかし道は出来た。サモンスキル、黒騎士、メルクリウス! テイト、一度合流するぞ」


 撃破された召喚獣を時間を置かず再召喚する。あまりの数の多さで分断されていた俺達は、黒騎士が最期に作ってくれた道を使って合流する。


 ただ、当然連続召喚にはMPが足りないため、必要分を回復薬を使いまくって確保する。


 回復量が俺のMPに見合わない為、全回復には程遠い。既に回復薬も在庫はない。

 この残りのMPで何とかしなくてはいけない訳だ。


「しかし、暴走召喚ね……そんなものされなくてもこんな状態だ。既にひっくり返せないだろ」


 アンデッドを無視して直接ネモを狙った場合、暴走召喚と言うよりスキルを使用する。


 有志による検証された条件は、アンデッドが残っている状態で、優先的に40%までHPを減らされる事。


 効果は20体以上のアンデッドを一斉に召喚する。

 当然その中には、グールも複数入っている訳で……そうすると手の打ちようがなくなって押し切られる。


 で、倒せない、となっているのだ。


 逆にアンデッドを全滅させてネモに挑むと言う一般的な正攻法で挑んでも、グール率いるアンデッド軍団に押し切られる為対応不可能と言う事。


 因みに今はスケルトン6体にゾンビ4体、グール2体の計12体に 襲われ中。


 正攻法で戦っている為、その暴走召喚は使われてないが、黒騎士とメルクリウスが落とされた事で敵のターゲットがリセットされてしまった。

 つまり俺達が狙いになっているって事だ。


 この数では流石に回避しきれない。


「どうするか? こっちも数で対応しようにも、全然MPが足りん」


 今の連続召喚で俺の残MPは28。


 どうする、どうする、どうする?


 決めきれない俺のせいで、ダメージを抑える事が優先になり、徐々に端に追い詰められる俺達。


 今は黒騎士とメルクリウスも奮闘してるため俺達に大したダメージはないが、このままじゃジリ貧……無駄に落とされる事になる。


「どうする、どうすれば……」

「どないする? ここまで来て……わいももう獣化も出来んし……」

「私達には~何も出来ません~お兄さん~?」


 今、俺に出来るのは……サモンクロウ、複製のどちらかだ。

 しかし、残MPの関係で出来る事は限られてる。


 対局を変える為には……MPの自然回復も期待出来ない。

 俺は二人に使えるスキル、残MPを話して緊急作戦会議を開始させる。


「カラスをめい一杯呼べば数の上で追いつけるんやないか?」

「しかし安全重視なら複製に重きをおくべきでは?」

「なんだ~そうなんですね~」


 テイトは何か納得してるが、俺には全くわからん。


「なら、決まりやんか。出来るだけ複製して、残ったMPをカラスに回せばいいやん?」

「しかし……それでいいのか?」

「私達は~もう何~も出来ません~全部~お兄さんに~任せます~」


 何か違うような気がするが……時間もない。それで行くか。 


「では、お前達の命、俺が預かる! スキル複製……黒騎士! サモンクロウ!」


 複製で黒騎士を二体複製、それに残ったMPで一匹クロウを呼び出す。


「おう、任せたで! わい等とシュールは一蓮托生や!」

「はい~お兄さんに~ついて~行きます~」


 調子に乗って言ってしまったが、テンションがあがってたのか心強い返事が帰ってくる。


 バグ? を利用して、一気にレベルを上げた事で、複製した対象は時間制限こそあるが対象の半分以上の力をコピー出来る。


 これで、盾でも矛役でもいける戦士が出来上がった。


 数もそうだが、質を増した召喚獣達は、辺り構わず攻勢に出て戦況を覆さんと獅子奮迅の働きを開始する。


「スキル複製って、まさか複製した相手と同じルーチンなんか? ……それは反則過ぎやろ」

「空気が~変わった~これなら~行けるかも~」 「MPが尽きた。流石にもう打つ手はないぞ、後やれる事は一つ」


 スケルトンやゾンビはガンガン倒していくが、グールは流石に苦戦している。

 ネモもただ見てはいないだろうし、このままでは再召喚が行われて、再度押しつぶされるか ?


「テイト、ネモを狙え! スガタ、時間がない俺達も加わるぞ! 一気に決めるぞ」

「よっしゃ、これで決めや!」

「わかった~」


 子鬼の木の杖で、倒したりノックバックさせたりと、より攻撃回数を減らす方向で動き回る。


 暫くするとアンデッドを全て殲滅する事に成功する。

 勿論召喚獣達に被害は出た。ガンガンやった結果、残ったのは複製した黒騎士二体とクロウ一匹のみ。

 しかし、お陰でネモからのサモンスキルの妨害もなく短時間で12体のアンデッド全てを倒しきった。


 しかも、仲間が倒れる前にアンサモンで帰還させているので、自然回復も含めてサモンクロウ一回分のMPが回復した。


 よって、黒騎士二体(複製)とクロウ二匹が我先にとネモに襲いかかる。


 どんどん減っていくネモのHP。


 遅れて俺達も当然戦闘に加わる。


 そして……。


「ぐ、この……貴様等……ぬ……これは盲目……この……ぐぐ…… ぐねああああああああああ!!」


 叫び声共に、召喚獣がその場を離れ俺の所に戻ってくる。

 同時にネクロマンサーネモは地に膝をつく。


 ……これは……まさか。


「勝った……のか?」

「え~本当~に~?」

「どないや、マジなんか?」


 俺の元に戻ってきた複製の黒騎士達が、制限時間 で消えた頃、経験値が振り込まれたのか一斉にレベルがあがった。


 そこで初めて俺達は歓声を上げた。

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