第二十一話
パーティーを組んだ際に、経験値が均等に振り分けられ無い事がある不具合を修正しました。
今後共、「ラグナロク」をよろしくお願いします。
今日、ログインしたらこんなシステムメッセージが入っていた。
こんな事起こっていたのか……全然気がつかなかった。
俺も損してた分があるのかな? まあ、訂正されてるし、気にしないでいいか。
今日も一人で俺はちまちまと散発的な討伐クエストを行う為、ミカールの街の外周を走り回っている。
今日の一発目は巨大蜂のビー5匹が目標だ。
「見てるだけが一番安全だなぁ。マリアも可哀想に。一週間も止められたら、俺なら発狂ものだな」
不具合修正のシステムメッセージと同時に届いたマリアからのショートメール。
内容は、ログイン一週間の禁止になった、という衝撃的なものであった。
しかも、会話の節々から残念な娘臭がしてたあの子のことだ。別の意味で廃人になっちゃうんじゃないのか?
ビーを俺の頼もしい召喚獣達がフルボッコにしてるのを眺めながら、そんな事を考えていた
「ふむ。ゴブリンを普通に狩ってる俺からすれば、全く物足りないものだな」
チクチク削るクロウ×4に、一撃を当てれば即ビーを仕留められるメルクリウス。
クロウはどちらかというと的を増やすというか、メルクリウスの被弾を減らすために出してる意味合いも大きい。
なんせ、MP消費がクロウの6倍だからな。堅いとはいえその方が俺は楽だ。
「と、クロウのレベルが上がったか。次は……やはり召喚数増加か。5匹目だな。もうこの子達HPが風前の灯火だぜ? …………ん? それだけじゃないのか?」
スキル、サモンクロウのレベルが上がりました。召喚可能数増加、スキル、サミングレベル1を取得しました。
と、ある。
つまり、サミングと言う名のスキルを覚えたってことだ。
「早速、説明を見てみるか……ええと、1%の確率で敵をレベル×1秒 盲目状態にする物理攻撃を行う……ね。つまり今の状態なら1%ね。じゃあ、このスキルもプレイヤーと同じ様に初期値から始まるって事か」
これなら、ダメージよりも付加効果狙いで沢山出すのもありだな。
「まあ、俺は基本常に全頭だしだけどな」
なんせデメリットがないし。強いて言うなら、自動索敵が邪魔な場合があるのと、全部召喚するとMPがちと痛い位かな。
自動索敵は一匹でも五匹でも変わらないだろうし、MPも5位ならそんなでもない。
与えられるダメージとメルクリウスのダメージ分散効果を思えば、そんなのデメリット足り得ないな。
先々の展望を考えると、思わずニヤリとしてしまう俺だった。
さて、次は待望のゴブリン討伐だ。今回は一匹につき80ゴールドだ。
個体数指定のクエストより安いが全然構わない。
俺(達、主にクロウ)は、餓えた鷲のようにゴブリンを探して徘徊する。
「悪り子はいねえがあ! ……ゴブリンは悪いよな、きっと。お、いた! 行け、皆! って、もう行ってるけど」
平野部で見つけたゴブリンに襲い掛かる六体。
「よし、我は真理を見通す偽を託さん、複製。偽メルクリウスも行け」
全開にして、俺もライトボールを詠唱しながら走り出す。
まとわりついてつついてくる五匹のクロウを、防御する様子もなく手にした錆びた短剣で斬りつけるゴブリン。
回避行動を取るわけではないクロウは、それを受けるとそのまま消滅する。
ダメージは大体な5~10位だろうか。
余りいない所を見ると、きっともう少し遠い場所がメインのモンスターなんだろうな。
ライトボールを詠唱中の為、即座に再召喚は出来ない。
四匹に数を減らすが、その隙に、とばかりにメルクリウスがその身でゴブリン斬りつける。
「ギギャ!?」
ガクンと減るHP。与ダメージが高い奴を一番のターゲットにするルーチンなのか、メルクリウスに向く。
続けて、呼び出した偽メルクリウスが、同じように斬りつけて追加の水属性ダメージを与える。
しかし、残四匹のクロウの攻撃を受けて、顔に黒いもやみたいなものがかかる。
あれが盲目状態か。手が止まったな、暴れ出すとおもったがそうではないのか?
「我が手に光は集まらん、ライトボール!」
「ギャギャー!!」
俺が接近して発動させた二発の光の玉は、時間差でゴブリンを僅かにノックバックさせながら直撃した。
続くように、メルクリウスが残りのHPを削りきった。
「終わったか、俺も加わると早いな。しかし、再召喚が出来ないのは問題だな。それに……また!?」
そして、倒れたゴブリンの経験値を受けて、サモンクロウのレベルアップの表示あり。
って、クロウのレベルが上がった? なんで? 前に上がってから殆ど戦闘してないのに。
サモンクロウ、レベル6。
召喚可能数増加。
オートスキル、サミング、レベル2。スキル発動率1%up。
なんでだろ?
上がったものは嬉しいからいいんだけど……理由がわからないな。
なんかよくわからなすぎて気持ち悪い。ビー五匹とゴブリン一匹しか倒してないぞ?
釈然としないものを覚えながら、とりあえずレベルが上がってから増えた分と、やられた分のクロウを補充して次のゴブリンを討伐することにした。
因みについにクロウのHPが1になりました。
俺は今、明らかに不具合といえる自体に直面している。
困ってはいない。むしろ、このままずっと続けばいいんじゃないか? 等と思うような素敵な事態だが。
あれから俺は、ゴブリンを狩り続けて早6匹。なんと、二体に1回の割合でクロウのレベルが上がっているのだ。
スキル、サミングなんて100%の確率でレベルが上がっている。
サモンクロウはレベル9で、オートスキル、サミングはレベル8だ。
なんだかわからないが、このチャンスは異常事態だ。すぐに運営から修正を受けるだろう。
ならば……今の内に可能な限り利用するしかないだろう。
9匹になったクロウを連れて、召喚獣達は次のゴブリンに襲いかかる。
増えれば増えるだけ楽になるから、適当に複製でも使ってサポート。
複製する対象はクロウだ。強さはないが、複製もこの恩恵を受けれればいいな、と思ったからだ。
レベルアップに必要な経験は召喚獣毎に違うみたいで、サモンメルクリウスはまだレベル3だ。
そういえばこいつは、今まであれだけのモンスターを倒してたのにレベル上がらなかったな。
これが運営の言ってた不具合だったのか?
ま、今は急いでクロウのレベル上げに専念しないとな。
9匹と一体+1匹に見る見るHPを減らされて、消滅するゴブリン。そして上がるクロウのスキルレベル。後、複製のレベル。
「複製も上がった……予想通りクロウが原因か? もう一回試してみよう」
オートスキル、サミング、レベル9。
スキル、複製、レベル、2。増えたのは効果時間が1秒と複製率が1%増加。
半ば確信に満ちたものだったが、走り回ってゴブリンを見つけると総勢11対1の戦闘を開始する。
俺は複製を使ったり、クロウを補充したりしながら見てるだけ。
そんなのでも殆ど時間はかからない。
消えるゴブリン、そして上がるサモンクロウとサモンメルクリウス、スキル、サミングと複製のレベル。
更にサモンクロウに新しいスキル取得。
「は、はは、はははははははははははは! いける、いけるぞ! 俺はこのまま恩恵を受け抜いてみせる!」
複製もサモンクロウの効果を受ける。何だかわからないが、レベルが上がる。ならば、やらない手はない。
連続してレベル上げに入る為に、俺は一旦ミカールの街に戻る事にした。
勿論駆け足で、目に付いたモンスターは全て滅したが。
サモンクロウの追加スキルは……フラッシュ。防御力低下効果を与えるものだった。




