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第二話

 俺は開始すぐにいた始まりの村……名も無き村を出た所にある街道で、初心者用と思われるモンスター、ストーンイーターと対峙している。


 自由にやるのも苦労するな。


 素手で大ミミズにを殴りながら心底思っていた。






 名も無き村。


 ここは初心者用の村らしく、レベル3までしか滞在できない。

 レベル4からは村に入ることは出来ず、別の村や町を拠点にしなくてはならないらしい。


 何故初心者用と言えるかというと、まず村の周りのモンスターが弱い……らしい。

 次に、所持数が3個までだが、薬草が格安で購入出来る。

 宿が無料で使用できる……最も、これは村に宿が無いため、馬小屋を借りると言う設定なので居心地は悪いとの事。


 後は、初心者しかいない場所なので、仲間が作りやすいのと、いきなりフレンドになったマリアのように、初心者救済用のクエストをしようとしてるプレイヤーがいることか。(相手もレベル3以下のプレイヤーだが)


 逆に悪い点も当然ある。


 先程の宿泊施設(馬小屋)の件もそうだが、一番はプレイヤーは何も装備を持ってない状態で始まるのに、この村には武器や防具を手に入れる手段がない事だ。


 武器屋や防具屋は当然なく、初心者用のモンスターと言うことで修正を受けてるのか、敵からのドロップも倒したモンスターの体の一部以外は殆ど手に入らない。


 マリアも現在でも素手の防具なしだそうだ。


 この名も無き村にいる間は、装備品を手に入れられる可能性は絶望的だろうな。


 合成スキルでもあれば別なんだろうが、そんな便利なの持ってる初心者はいないだろう。

 むしろ、どうやってスキルを手に入れるのかもわからないし。レベルをあげればいいのか?


 武器に関しては、このラグナロクは何でも使える為、村のクワや鎌、棍棒等の、NPCの村人の所持品も当然使える。

 しかし、必ず見つかるようになっており、その際に襲ってくる村人がとんでもなく強いとの事。


 しかも、成功しても失敗しても犯罪者となり、プレイヤーネームは赤になる。

 そうなるとどうなるかと言えば、王都の衛兵が飛んできて瞬殺されるらしい。

 更に、それだけでは終わらず、村でも宿泊と買い物は出来なくなり、村人からは常に襲いかかられるデッドオアアライブ……いや、デットオアデット状態になる、と言うことだ。


 赤ネームが成否に関係なく、と、言うのが凄いな。

 よくある他のMMOでは、バレずに成功すればネームは変わらない……もしくはグレーネームですむことが多いのに。

 因みに、これは何らかの手段でPKを行った場合も適応される。

 MPK(大量のモンスターを引き連れて逃げて他のプレイヤーに押しつける事)の場合も問答無用で赤ネームになるので、もしもの時は諦めて死ね、という事だ。


 ラグナロクがどれだけPK防止策に力をいれてるかわかるな。


 つまり、どうするかと言うと……皆、素手でレベルをあげる訳だ。


 ん? 知りすぎだって? 仕方ないのさ。


(マリア、戦闘中だ。少し黙れ)

(女の子にそんな言い方したら駄目だよ。僕だって傷つくんだよ)


 まあ、こんな訳だった。







「無事、初戦闘は勝てたみたいだね。僕のアドバイスのお陰だね」

「バカ言うな。素手で戦闘しながら、フレンドチャットを同時に行ったんだぞ。勝利した俺のリアルスキルを褒め称えろ」


 聞けば、初心者用のアドバイスクエストは、レベル3以上で一回しか出来ないらしくマリアも初めての挑戦らしい。(失敗はカウントされない)


「でも、僕の説明適切だったでしょ?」

「そもそも俺は要らんと言ったろう? それに、これはキーボードを使って行う従来型のネットゲームじゃないんだぞ。自らの体を動かすヴァーチャルリアリティーなんだ。普通の奴にそんな聖徳太子みたいな真似が出切るか」


 気付いてなかったのか? 普通にショックを受けてる……まあ、知識は参考になったし敵は倒せたから別に気にしてないが。


「ごめんね、僕、全然そんな事考えてなかったよ……」

「気にするな。そういった場合もある、とだけ覚えておけば、同じようなクエストの時にマリアが楽になるだろうと思っただけだ」


 これなら、いい人っぽいだろ。実際は、目の前でへこまれると辛気くさくて面倒だと思っただけだが。


「ありがと、シュール」

「ああ。所で、俺への救済クエストは、後、何をすれば終わりなんだ?」


 大体の説明は聞いた感じだし、もう無いんじゃないのか?


「え、後はね……パーティー経験……僕とパーティーを組むのと、レベルアップとスキルについての説明だよ」

「そうか、まだ、俺が知らない事があるみたいだな。乗り掛かった船だ。マリア、このまま、お前のクエストを完了させてくれ」

「……え? いいの?」

「一から別の奴に講習するより早いだろう? 俺としてもマリアの説明はわかりやすかった」


 これも、もし、必要になった時に、俺が同じ説明をされる愚を無くしたかっただけだが。


「有り難う。じゃあ、改めて……宜しくね、シュール」


 握手か……俺は俺の打算の為に言っただけなので、感謝されるいわれはないんだが……。


「ああ、宜しく。便りにしてる」

「うん! 僕に全部任せといてよ!」


 熱いな。ま、たまにはこんなのもいいかな。


 次はどうやらパーティーか。早く初心者を脱出したいものだ。


 マリアに言われるままに、俺は彼女とパーティーを組んだ。

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