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第十八話

 討伐系クエストを受けて、ミカールの町外周でラビットと他の適当なモンスターを狩っている俺。


「我が手に光は集まらん、ライトボール! 二発でるようになってから、敵が連続ダメージのせいで身動き取りにくくなってるな。この隙に……」


 メルクリウスを振るってゴブリンの首を落とす。

 人型の弱点なんだろう。大した抵抗もなく光の粒子になって消えるゴブリン。


 離れた場所を見ると、四匹のクロウがラビット一体を袋叩きにし終わって戻ってきていた。


「これで、ラビット47匹か。こんなので470ゴールド。結構ウハウハだな」


 なんだかんだで二時間近くやってるから、そんなものだろうが。


「むしろ、ゴブリンからドロップする錆びた短剣って、売れるのか? 武具のドロップ率低いらしいから、これはこれでレアだろうか」


 対(亜)人戦が面白くて、見つける度にゴブリンに襲いかかっている俺。

 多分10体は倒したと思う。手に入るアイテムは殆どない。その錆びた短剣と薬草だけだった。


 短剣で斬られると八割、殴られると五割HPが削られるので、クロウとライトボールを使って不意を打ってのメルクリウスの一撃で大体のゴブリンをしとめている。


 それも、クロウの連続召喚に耐えられるようになってきたMPと、二発同時発動するようになってきたライトボールのおかげである。


 でなければ、一撃で倒しきるのは無理だろう。


「そう言えば、新しいサモン系スキルを手に入れる為に、サモニングを敵にかけていくか」


 実際、それで増えるのかはわからないが、わからないからこそ色々やってみないとな。


 自動サーチしてラビットに襲いかかる四匹のクロウ。

 放っておくとすぐに倒してしまうので、開幕でまずサモニングをかける。


「……効果がないな。瀕死じゃないと駄目か? ……サモニング! 違うか……あ、死んだ」


 ラビットの突撃なら一回なら受けても、クロウはやられない。

 そして、常時飛行のカラスであるクロウに対して、全く同じ対象のクロウに攻撃が出来る可能性も余り高くない。

 つまり、なかなかやられないのだ、うちのクロウ達は。


「MPにはまだ余裕がある。次のラビット行くか」


 様々な場所でサモニングを発動させてみるが、効果の程はわからない。

 そもそも、スキルサモニングで成功させたサモン系スキルがないので、正しいやり方も不明だ。


 そんなこんなで次のラビットも消滅する。


「次で50の大台に乗るな。流石にこれで終えるか」


 流石に一寸眠いのと、電脳空間に入り浸りで疲れた。

 検証を連続で行うには流石にまだMPが足りきらない。


 やはり、マリアと一緒の時がいいだろう。


 そして、ラストのラビットに向かってクロウ達が襲いかかる。


「スキル、サモニング! ……と、クロウが一匹やられた……が、まあいいや。こいつで最後だし。俺も参戦するぞ! 我が手に光は集まらん! ライトボール!!!」


 消滅したクロウ一匹は放っておいて、俺はラビットにライトボールを発動した。









「終わったか……とりあえず報酬もらってログアウトするか」


 町に戻ろうとメルクリウスをしまった俺。歩を進めようとしたその時俺はあることに気がついた。


「いつの間にか俺の目の前に何やら不思議な光が……アンデッドか!?」


 何故気がつかなかった、と言える位目の前に白く輝く何かがある。

 俺は距離を取って改めてメルクリウスを構える。


「………………動きがない? クロウも反応しない? 敵じゃないのか?」


 ゆらゆらと揺れるそれを初めて見たが、俺は一体どうすればいいんだろうか?


 面倒なことになるのなら気にしないという選択肢もありだな。


「クアア!」

「ん? ああ、ゴブリンか。これは置いて置いて……ゴブリンってサモニングで契約出来るのか?」


 目の前の不明を無視して、先行したクロウに続くように俺も戦闘モードに頭を切り替える。


「あ? 俺に向かってくるのか? 珍しいな。まあいい、ならここで迎え撃ってやるさ」


 左手にメルクリウス。右手にライトボールをチャージ。


「ギギギャー!!」

「一撃は強いが、当たらなければ意味がないだろ! ライトボール! そして、スキル、サモニング! で、お終い!」


 クロウにつつかれながら走り寄ってくるゴブリン。

 錆びた短剣を振りかぶったが、俺の二発のライトボールを受けて二発分後退する。

 メルクリウスを振るいながら、サモニングをかける。


 直後、その首は胴と泣き別れするがやはり何も起こらないようだ。


「お、また錆びた短剣だ。三個目か。意外と手に入るな……入手率が悪いのは初めだけなのかな?」


 戻ってくるクロウ達。


 観察が途中だったので、揺れる何かにまた視線を移す。


「赤くなってる……何でだ? 爆発するのか?」


 真っ赤に染まったその何かは、絞られるように少しづつ小さくなるとそのまま消滅した。


「何だったんだ、全く……」


 距離を取っていた俺は、マリアに離すネタが増えたな、と思いながら帰路に立とうとした。


「レベルが上がってたのか……まあ、ラビット50匹にゴブリン12~3体は倒したしな……と、何だ? スキル取得?」


 レベルアップとは別にスキル覧に表示あり!


 何々……サモンメルクリウスを取得しました。


 サモン? え? メルクリウスなら俺の腰に……って無い!?


「契約に基づき我は汝を召喚する、サモンメルクリウス! ……魔剣や聖剣とかの類だったって設定か?」


 サモンクロウと同じように、光の粒子から俺の剣メルクリウスが現れる。

 問題は……。


「飛んでるが?」


 空を漂うように浮かんでるメルクリウス。


 サモン系のスキルになったって事は、ひょっとしてサモンクロウみたいに敵に自動で襲いかかるんだろうか?


 作った奴なら何か知ってるだろうか?


 俺はサモン系の召喚獣をそのまま空に漂わせたまま、ミカールに戻る事にした。


 あ、ポイントふらなきゃ。

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