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第十七話

 ラグナロク開始二日目。物語はまだ終わらない。


 夕食後にログインした俺、リアル時刻は19時25分。


「……流石にマリアはインしてないか。明日は無事ログイン出来ればいいがな」


 フレンドサーチでマリアの状況をチェックした俺は、ログアウトした場所、ダンダクール武具工房で見知らぬ親父に会釈をして工房を出る。


 俺は目の前に急に現れた不審者みたいに写るんだろうか?

 NPCだからまだいいが、ログアウトする場所は選ばないとな。


 そして、工房を出た俺は、ゴールドを貯める為にある場所へ移動する。


 そこの中はプレイヤーが溢れんばかりにいて、正直邪魔で仕方なかった。


「こんにちわ、冒険者ギルド、ミカール支部です」

「クラスFのシュールだ。クラスFの討伐系クエストをソートしてくれ」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」


 受付に自分のランクを伝えて、スキル上げが同時に出来るクエストを調べてもらう。


 ここは冒険者ギルド。一般的に、クエストの受注や依頼はここで行うらしい。


 珍しいのは、一般のプレイヤーも依頼が行えると言うこと。

 報酬はプレイヤーが決定し、クリア時の取得経験値ない。


 クエストの種類は三種類。NPCによるギルドに出された依頼・町や外でギルドを通さないで受ける依頼・一般のプレイヤーからの依頼だ。


 クラスはFから始まりSSまである。こなしたクエストの数やクエスト経験値でランクアップが決まる。


 俺やマリアはまだルーナルミナの依頼しか受けてないので当然Fである。


「お待たせしました。シュール様の現在受けられる討伐クエストはこちらになります」


 俺は出された依頼書を見る。


畑を荒らす不届き物を倒せ

クラスF

クリア報酬、50ゴールド……5体以上の場合は、1匹につき10ゴールド追加。

概要、ミカール外周に徘徊するラビット5体の討伐。




 これが一番優しい討伐クエストか。ラビットなんか、名も無き村でバンバン倒したっての。正に、初心者向けの以来だな。


「全然いけるな。じゃあ、これを頼む」

「はい、では保証金5ゴールドをお預かりになりますが宜しいですか?」

「保証金制度か。リアリティを出す意味で悪くないな。わかった、これでいいか?」

「確かに、5ゴールドお預かりしました。では無事お帰りになるのをお待ちしています」


 保証金の金額は一割程度か。高レベルになったら意外と馬鹿にならないな。

 金遣いは考えてやらないといけないな。


 カウンターで頭を下げる受付嬢と、実はずっといた沢山の色々騒ぐプレイヤー達。

 俺には関係無さそうな叫びだったので、全て無視して俺は冒険者ギルドを出た。









「クロウすらいらんな。メルクリウスが強すぎる」


 ラビットを一撃で斬り捨てながら、俺はルーナルミナに作ってもらったユニークの片手剣、メルクリウスを鞘に戻す。


 そもそも攻撃力が、メリケンサックの15倍の15だ。初級のモンスターのラビットなら1~2撃で倒せる。


 サモンクロウで三匹のカラスも呼び出している為、更に撃破速度は早くなる。


「敵が涸れちまったな。移動するか? いや、ここでのんびりしてるか? だが、別に疲れてないし、移動してもいいか」


 現在のラビット撃破数は既に8匹。報酬は80ゴールドだ。どこまでやれるかな。


 一応の目標のマリアの武器の鑑定資金5000ゴールドまではかなりあるな。


 適当に歩きながらクロウの自動サーチに頼って移動する。


「……ゴブリン? こんな町の近くに出るのか。俺よりレベル高いっぽいが……どうする?」


 そこにいた(サーチされた)のは、亜人の低レベル代表格であるゴブリンだった


 俺の現在のレベルは6、いけるか? 武器を持った人型は初めてだが。


 まあ、いけるも何もクロウは既に襲いかかってるから選択の余地はないのだが。


「ギギ? ギシャー!!」

「さて、俺も行くか。我が手に光は……」


 メルクリウスを抜いて、ライトボールをチャージする。


「まずは一撃。集まらん、ライトボール!」


 蠅たたきみたいに、クロウを手にした短剣で切りつけようとしてるゴブリンにメルクリウスで斬り込む。


「ギシャ!?」

「流石に一撃じゃ死なないか。こんなの初心者に倒せるのか?」


 俺の一撃はそのままゴブリンの右腕を落とした。同時にメルクリウスに設定されていた水属性ダメージと発動させたライトボールがゴブリンを襲う。


 俺の一連の攻撃は、ゴブリンのHPゲージを半分位減らす。


 やはりメルクリウスは強すぎるだろ?


 しかし、怒りの声を上げるゴブリンは、落ちた右腕と錆びた短剣をそのままに俺に殴りかかってくる。


「うお!? 殴りか? 痛たた……ダメージは……半分も減ったのか!? 痛すぎるだろ? この!」


 ダメージを受けながらもその場に留まり、メルクリウスを一閃させる。

 キレ味のよいメルクリウスは、ゴブリンの首を抵抗なく落とした。


 それで血が噴き出したりはしない。


 それをしてしまうと、犯罪に使われかねないため電脳犯罪法で処罰されるからだ。


「ふう、倒したか。流石に首を落としても死ななかったらどうしよかと思った……と、何かのレベルが上がったか」


 スキルレベルアップの表示を確認して、詳細をチェックする……と、サモンクロウとライトボール、両方上がったのか……サモンクロウは……また、召喚数が増えてるぞ。これで四匹目か。


 HPは6から4に。これは織り込み済みだからいい。問題は……攻撃力。1から……1!?


 よし、減ってない! 最低攻撃力が1で保証されるなら、我が軍はいくらでも戦える!


 で、ライトボールは……あん? 発動数2? ナニコレ? ドユコトデスカ?


「我が手に光は集まらん、ライトボール……って、ありか? これ?」


 打ち出したライトボールの数は2。説明文からもしやとは思っていたが、今までと同様のライトボールが二発同時発動した。


 しかも消費MPは変わらない。これはまた……。


 魔法系スキルは基本攻撃力と自身の知力でまた攻撃力が変わる。


 俺はまだ強くなる!


「ふふ、ふはははははははは!! いける、いけるぞ俺は!」


 新しいクロウを召喚して、次の敵を索敵する。


「また、ゴブリンか。HPはまだ回復してないが、全く持って負ける気がしないな」


 四匹のクロウを差し向けながら、俺はメルクリウスを手にゴブリンに突撃した。



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