第一話 混乱、それは不注意と共に
頑張ります!
Side Mikai
「付き合って下さい!」
「ゴメン」
今俺の目の前では、頭を深く下げる美少女とそれを横目で眺めながら素っ気無く断る美男子が居る。
「……理由は…?」
美少女が掠れた声で理由を求める。
「ん~…面倒、信用出来ない、好みじゃない、外見しか見てない、お前の事余り知らない、つか名前なんだっけ?」
美男子は次々と不満を連ねる。美少女は絶句し、泣きながら走り去る。
…またか…この男は他の男共の理想の彼女になる子を振りまくりやがって…
そう、この主人公のお供、こと俺、こと神崎御界は拓海(主人公)の斜め後ろから今の光景を見て居る。
「なあ、拓海、さっきのは相当なダメージだぞ…」
帰宅路にて美少女に同情しながら拓海に言う。
「だってどうせあいつ等、外見で俺を求めてるだけだもん。三次の嫁とかマジ勘弁。」
…殴って良いですか?
「オイオイ、そんな目で見るなよ…照れるじゃねぇか…」
拓海が顔をわざとらしく抑えて顔を逸らす。
「お前…ゲイなのか?」
冗談半分で聞いてるが、こいつは時々本当にゲイだと思う時がある。俺以外は信用出来ない、今日遊園地行こうぜ、何処行きたい、まるで彼女に対する接し方だ。
「ちげぇよ!?」
全力で否定する。ん?何か前に不良(?)共が4人程集まって来てる。
「おm…」
「そう言えば[クリセビア]でのお前、ホント最強だよな…アサシンって普通のジョブより経験値必要なんだろ?」
このバカ(拓海)はこんな時に前も見ずに俺に話しかける。前の不良(?)共は話しかけようとするがバカ(拓海)のゲーム話に遮られる。
「クリセビア」とは4年前に出て、俺達が現在ハマって居る3DのMMORPGだ。迷宮あり、魔術あり、剣あり、ギルドあり、のファンタジーの王道だ。その中でも一番必要経験値が多いアサシンで俺はカンストレベルになった。しかも一年で、だ。これは「クリセビア」では史上初で、色々なギルドから勧誘を受けた。しかし俺にはソレまでの相棒、ことこのバカ(拓海)と一緒に続ける事にしていたのだ。
休話閉題。
「まあな。ソレより前の不良(?)共がお前に用が在るらしいぞ」
適当に受け流して前に注意を促す。
「てめえ等…俺達をコケにしやがって…」
わお、青筋♬
じゃなくって!やばくね?この状況?
「んで、あんた等は俺達に何のようだ?」
…まあ、いつもこう言うヤツ等が来るからもう慣れたがな。
「あ?兄貴がてめえに女取られたから復讐に来たんだよぉクソチビぃ」
相手は180cm位はある。だがこっちの強さを侮っちゃいけないんですよ~
「御界、左3頼んだ。」
何時もの指示、何時もの方向。俺はバカ(拓海)に言われた瞬間にアスファルトを蹴り、相手の目の前に躍り出る。刹那、足刀。足刀を顔面に食らった…不良Aで良いや。不良Aは歯を撒き散らして悶絶する。次に上段逆回し蹴りを放ち不良Bのこめかみをしたたか打つ。そしてラストオーダー、不良Cに裏拳を鳩尾に叩き込み、ゲームセット。拓海は既に頭と不良Dを打ちのめしたらしく、服をパンパンと払って居る。
「慣れたな、この作業も」
そう、この主人公補正の付いたバカ(拓海)と一緒に居るとKA☆NA☆RA☆ZU面倒事に巻き込まれるのだ。
「ああ、全くこの主人公補正とやらにも困ったモンだよ…」
苦笑しながら軽く言うバカ(拓海)。
「もう帰って[クリセビア]に潜るぞ~」
不良共の財布を抜き取りながらバカ(拓海)に言う。
「ああ!今日は[ベズ・デグラ]の連続討伐、頼んだ!」
…ったくこのバカ(拓海)は…ベズ・デグラなんて悪魔系SS級だぞ?普通タッグじゃなくてパーティだろうが!
「おいおい、睨むなよ…そう言えばそのクエな、サーバーから届いたクエなんだぜ?しかも制限人数2人。お前以外、誰と行けと?」
自宅に向かいながらバカ(拓海)がバカ…じゃなくて爆弾発言。
「ま…マジか!!!」
飛び上がって踊らなかった俺を誰か褒めて欲しい。なんてったってサーバーからのクエなんて4年もプレイして居るプレイヤーすらなかなか届かない。ソレが始めて4ヶ月のAクラスプレイヤーがゲットだぜ!?主人公補正BA☆N☆ZA☆I
「ああ、マジマジ大マジ!それとバカ(拓海)は止めろ」
チッ…気付いて居やがったか…まあ良い。すぐに家に帰って[クリセビア]に潜るか!
「解った!詳細は後だ!18:30で広場で落ち合うぞ!」
俺は拓海の返事も聞かずに走り始める。
多分コレが俺の最初のミスだったのかも知れないーー
ーーTo be continuedーー
何か本題に入れなくてすみません…