第四話
「まさか、私が負けるとは……。」
桜がすごくしょんぼりしてる。
まぁ、初心者の俺に負けたもんな。
「殿! 誠に申し訳ございません!」
「はい!?」
「私は、強いのだと過信していていました。しかし、殿に負けて、私はまだまだだと感じました!」
「いや、桜さんも強かったけど――」
「私のことは呼び捨てで構いません! 貴方は私たちの主なのですから!」
まさかの展開になってきたな。
殿とは認めてもらえたけど、何だか恥ずかしいな。
「すげぇじゃねぇか! あの桜に勝つとはな!」
「うぉ。」
突如、風雅が肩を組んで褒めてきた。
他の二人もうんうんと頷いている。
「俺も、あんたを殿だと認めるぜ! よろしくな! 殿!」
「風雅! 貴様、殿に馴れ馴れしいぞ!」
「いいじぇねぇか、かっ苦しいのは無しだろ。」
「うん、俺もそのほうがやりやすいし。」
俺の言葉に、桜はぬぅ……と唸る。
「俺っちたちも、殿を持てて嬉しいぜ!」
「うん、私たちを存分に使ってほしい。」
流ノ介と水無月も、俺を殿と認めてくれたらしい。
よかった、これで住む場所は確保できたな。
「さてさて、それでは宴の準備をしましょうか。」
瑠莉奈が手を叩くと、お城の人たちが慌ただしく動き始める。
「いや、まだお昼だよ!?」
「いいのです、それに、私たちは結婚するのですから!」
……うん?
いま、何て言った? 結婚!?
「ちょっと待て、今結婚って言ったか!?」
「そうですよ? どうしたんですか?」
「『そうですよ?』じゃない! 何でそうなったんだ!?」
「殿になったということは、姫である私と共に生活するということです!」
いやいやいや! そんなの聞いていない!
というか、四人は止めるでもなく、祝福してるし!
「さぁさぁ! 祝福を上げましょう!」
「いや、ちょっと、待ってくれー!」
俺の叫びは、場内に響いたのだった。
一方のアリネス
「うはははは! 飲め! 飲んでしまえ!」
何やら、大騒ぎで王が叫んでいる。
どうやら、お酒を飲んでいるようだ。
「うひゃひゃひゃ! うめーなこれ!」
悪田久美男も、お酒を飲んで大騒ぎしている。
転移してきたクラスメイトも、便乗して騒いでいる。
その中で、一人俯いている人がいた。
「……。」
日南恵理子だった、見捨ててしまった誠を思っているのだろうか。
「如月君、大丈夫かな……。」
「どーしたのさ、日南さん!」
誠を心配しているところに、悪田が話しかけてくる。
どうやら、相当飲んでいるようだ。
「悪田くん、今、如月君どうしてるかなって……。」
「んな奴、どうでもいいでしょー! どうせ死んでるって!」
「そんな言い方……!」
「あいつらも、そう思ってるぜ! なぁ!?」
悪田の言葉に、皆頷いている。
恵理子は、絶望した顔になっていた。
まさか、此処までみんなクズだとは思っていなかったからだ。
「如月君、いつか、助けに行くからね……!」
そう思いなら、飲み物を飲んだのだった。
そして、ヒビキの国では、宴が行われていた。
皆、飲めや歌えやの大騒ぎ!
俺は、初めて飲むお酒をちょびちょび飲みながら、ご飯を食べていた。
「何か、すごいことになってきたな」
「久々の宴ですからね、皆、嬉しいのでしょう。」
魚の刺身を食べながら、瑠莉奈は言う。
しばらくは、宴もしていなかったという。
「殿さまがいないと、動くに動けないんだな。」
「そうですね、そこに誠様が現れたのです。」
「成程ね。」
こうして、宴は続き、夜は更けていった。
次の日、部屋にいた俺は、なんとなくステータスを見る。
名前:如月誠
力:20
防御:19
知力:18
速力:29
スキル『見切り』
『一刀抜刀術』
『一刀居合術』
ジョブ:殿様侍
となっていた。
「能力が上がってる……、スキルも増えてるし。」
桜に勝ったからだろうか、能力が上がり、スキルも増えていた。
しかし、抜刀術と居合術か、試してみたいな。
そう考えると、俺は服を着替えて訓練所に向かっていった。
「ふっ! はっ! やっ!」
そこは先客がいた、桜が槍を振るっていた。
訓練をしているのだろう、俺は桜に声をかける。
「おはよう、桜。」
「殿! おはようございます!」
「桜は訓練してるのか?」
「えぇ、昨日ははふがいない所をお見せしてしまったので……。」
昨日のことを思い出して、桜は燃えていた。
「殿も訓練ですか?」
「うん、ちょっと試したいことがあって。」
そういうと俺は、木の的に向かい立つ。
権を鞘にしまうと、居合の構えをとる。
「一刀居合術『閃』!」
すごいスピードで木の的に近づいて、一閃放つ。
気の的は真っ二つに、奇麗に切れていた。
「おぉ、こんなことができるようになったのか。」
「さ、さすが殿です! こんな剣術を習得しているとは!」
新しいスキルを覚えた俺は、殿様として生きていくことになったのだ。




