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沈黙のエンジニア(サイレント・エンジニア)は、四大元素の回路に、さよならを告げる。  作者: 霧ノシキ


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【第1話】完璧主義者の私、最初のミッションで自爆コードを連打する(意図的に)②

Part 2:WONDERLANDへの突入

KAIは、ゲートが放つ眩い光の中へ飛び込んだ。

視界が一瞬で切り替わる。そこは、青とシアンの光に満ちた、崩壊したデジタル空間――WONDERLAND 2.0だ。彼女の身体を包むアリスの覚醒装備が、光を反射して輝いている。

「WONDERLAND 2.0。ダイブ、成功。環境、安定。……KAI、君の装備のエフェクトが強すぎて、私の視覚センサーのデータ損失率が**30%**だ。もう少し地味な色に調整しろ」

「リア。この輝きこそ、私の**『覚悟の光』**よ! さあ、行くわよ。データブリッジ!」

KAIは、周囲のポリゴンの揺らぎを完璧に演算し、安全なルートを選んだ。眼前に、青白いホログラムでできた橋が形成される。

(よし。今度こそ、崩壊予測モデル V3.1を起動! データブリッジの安定性、99.9%。完璧よ!)

彼女は、自信満々に橋を渡り始めた。一歩、二歩、三歩。完璧だ。

だが、五歩目を踏み出そうとした瞬間、KAIは橋の先のポリゴンが約10メートル先で不規則に蠢いているのに気づいた。

「リア! 前方にデータエラー発生! あれは、『データの液状化現象』! 橋が崩壊する!」

KAIは慌てて引き返そうとしたが、リアの声が即座に響いた。

「待て、KAI。それは液状化現象ではない。それは**『ポリゴンの水面反射エフェクト』だ。極めて安定した地形に起きる現象だ。君は『液状化』と『水面反射』のデジタル専門用語を誤用している。君の専門知識はエラーレベル**だ」

「ええっ!? じゃあ、安全なの!?」

「安全だ。ただし、君が現在起動している装備の**『視覚攪乱機能』が、その水面反射のエフェクトを増幅させ、君の眼に『液状化』**と誤認識させている。ミスは君の装備設定に由来する」

(私の覚悟の光が、私の視界を邪魔しているだと!? なんて皮肉な……!)

KAIは、今すぐこの派手すぎる装備をデチューンしたくなったが、クールなエリートはそんなことをしない。

KAIは意を決して、水面反射エフェクトの場所を踏み越えた。足元は完璧に安定していた。

50メートルほど進んだ、その時。

青とシアンで構成された空間に、不協和音が響いた。データが擦れるような、耳障りな電子音だ。

ザザザザザ……

KAIのアリス装備のセンサーが、警戒レベルを跳ね上げる。

前方の空間が、歪み始めた。崩壊したポリゴンが、まるで生き物のように蠢き出し、一つの不定形な塊を形成していく。

「KAI! 警告! ノイズだ。初期のデータエラーが具現化したモノだ。ターゲットのDATAPACKへの接触を阻止するため、君を捕捉した!」

リアの警告が響く。

KAIは、目の前の塊を見据えた。データとエラーの集合体。彼女の使命を阻む、最初の敵だ。

(フッ……来たわね。ノイズ。私は沈黙のエンジニア。このエラーデータを、私のハッキング機能でバグらせてやる!)

KAIは心の中でそう決め、右手を突き出した。その瞬間、ノイズがKAIめがけて、不定形の触手を伸ばした。


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