表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
沈黙のエンジニア(サイレント・エンジニア)は、四大元素の回路に、さよならを告げる。  作者: 霧ノシキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/32

第9話:Looking Glass(ルッキング・グラス)の導き

一方、現実世界。カイは自室のワークデスクの前で、半泣きになりながら空中モニタと格闘していた。

「あわわわ! 何これ、このコード……めちゃくちゃじゃない! こんなの、いつ回路が爆発してもおかしくないわよ!」

黒髪ボブを振り乱し、カイはパニック状態でキーを叩く。解析しているのは、戦場で回収したリサのデータの欠片だ。 解析が進むにつれ、Mode: ALICEモード・アリスの演算が残酷な真実を映し出していく。

「……リサ。あなた、人造の劣化パッチで、無理やり命を演算に変換してたのね」

カイの瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。 ドジでパニックになりやすい「アワワ顔」の彼女だが、その本質はエヴァハーネルの血を引くエンジニアだ。彼女には理解できてしまう。リサが抱える痛みの総量と、彼女に残された時間の短さが。

「……待ってなさい。私が、今すぐデバッグしてあげる。エリートの私の計算に、不可能なルートなんてないんだから!」

カイは涙を拭い、緋色の瞳を輝かせた。Mode: ALICE を起動し、演算負荷を最大まで引き上げる。 彼女はデスクの引き出しから、古びた、しかし精緻な細工が施された手鏡――**『Looking Glassルッキング・グラス』**を取り出した。

「Looking Glass、起動アクティベート。空間位相、同期シンクロナイズ!」

カイが鏡面に指を滑らせると、鏡が液体のように波打ち、周囲の現実が歪み始めた。 鏡の中に、かつての両親が管理していた1.0時代の遺構――エヴァハーネル家の遺産が映り込む。現実の部屋の風景が、再構築レンダリングによってデジタルコードの奔流へと変わっていく。

しかし、そのゲートが完全に開く直前。 鏡の奥、光の届かないデータの深淵から、**「何か」**がこちらを覗き込んだ感覚があった。

(――見つけたぞ。維持者システム・アドミンの、末裔……)

不気味なノイズが耳鳴りのように脳を刺す。それは1.0を崩壊させた「真の悪」の視線。カイの背筋に氷のような寒気が走ったが、彼女は Looking Glass を握りしめ、前を見据えた。

「……バグは、全部私が消してやるわ! 行くわよ、リア!」

カイは光輝く鏡面の中へと、自ら飛び込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ