48 北京旅行~2日目 茶芸店~
~前回までのあらすじ~
中国は北京に卒業旅行でやってきた私とミッキー。
中国人の自由さ、奔放さ、パワフルさ、全てに驚きを隠せない。
そして、中国人どうしの喧嘩の多さは日本人を圧倒。
そして私たちが次に向かったのは…?
バスは北京市内を走る。
その間も私は窓の外の景色から目を離せないでいる。
まず、日本と大きく違うところ。それは看板文字の色。
ほぼ、全てにおいて赤と黄色で書かれている。
しかも、板に文字が書かれているのではなく、建物に文字が直接ついている場合が多い。
日本では看板ひとつにおいてもいろいろと趣向があって、アルファベットの飾り文字でかいてあったり、絵文字のようなものがあったり…
でも、中国の看板はほぼ確実に漢字で赤と黄色。中国人にとって赤は魂の色らしい。
そして、更に日本とちがうところ。
それは車道を使う乗り物の多様さである。
日本の道路を走るのは大きくわけて、自動車とバイクだろう。
だが中国の場合、そこに人力車もどきと自転車と立ち乗り自動車とでも言おうか、なんとも形容しがたい乗り物…などなど実に様々なものが自動車と肩を並べて走っている。
その上、信号でちょっと止まっている間にふと窓の外を見ると、歩行者が一緒に車用の信号を待っていたりするから驚きである。私たちが乗る大型バスと、隣の車線の市営バスに挟まれる格好なのに、平然と立っているのである。
中国人に交通事故が怖いという気持ちはないのだろうか。
もしかして、自分は自動車よりも強いと思っているのだろうか。
そうだな、日本人が運転する自動車よりは強いかもしれぬ…
などと考えを巡らせていると、バスは停車した。
目の前には、なんと日本のスーパー「イトー●ーカドー」と「マクドナル●」が。
私達は歓声をあげて店の中に入ろうとすると
「違いますヨー。こちらです」
とつばめさん。
なんだよ
と若干思いつつも、どこに入るのか興味がないわけではない。
つばめさんが向かう方向には
「茶博士家」
という店。
中へ入ると、お茶の良い香りで満ちている。
「お土産タイムかね」
とミッキーと言い合い、棚に陳列されているお茶っ葉を手にとろうとしたのだが
「こちらですヨ」
と再びつばめさんにさえぎられ、私たち一向は店の一番奥の個室に案内された。
その個室に向かうまでの間、ほかの部屋には中国人男性4人が何やら秘密めいた話をしており、覗きこんだ男の子(ツアー客)を何やら激しく罵倒していた。
と、とんでもないとこに来てしまったのか!?
私たちが案内された個室には大きな机が真ん中にあり、それを囲むように椅子が並べてあった。
机の上にはお茶を入れるための道具が置かれており、今から「茶芸」を見せてくれることが推測できた。
私たち一行がつばめさんに促され椅子に座ると、どこからともなくピンクのチャイナドレスを着たお姉さんが現れた。
お姉さんは「今から、伝統的な中国茶を飲みます。私が実演します。見ていてください」と言った。
お姉さんは、私たちの目の前でお茶を淹れる。
私は、映画「レッドクリフ」で小喬が淹れていたお茶の淹れ方を想像していたため、ポットが出てきた瞬間、萎えてしまった。
お姉さんが淹れてくれたお茶は全部で4種類
ウーロン茶
プアール茶
杏茶
果実茶
ウーロン茶は、中華料理店で良く出てくるような味がした。
プアール茶は私の口にはあわず、薬のような味がした。
杏茶は甘くておいしい。
果実茶はドライフルーツのようなものが入っており、これもおいしく飲めた。
果実茶は今北京で大流行らしい。
中国茶を淹れる容器は2種類ある。
ひとつは細長い容器。もうひとつは浅い容器だ。
大きさはどちらも小さく、日本人がお茶を飲む際に用いる容器とは形も大きさも違う。
まずは、細長い方にお茶を淹れ、その上に浅い容器をかぶせる。
そうすると、丁度きのこのような形になる。
そのまま、両方の容器を手で押さえてひっくり返す。そうすることで細長い方に入っていたお茶が浅い方へと移る。空になった細長い方の容器で香りを楽しむ。
う~ん。良い香り。といったぐあいだ。実際には「うわ!牧草の匂い!」と思ったのだが。
つづいて浅い方で実際にお茶を味わうのだが、この時に気をつけるべきことは3口で飲みほすということだ。
日本でも茶道では3口でお茶を飲むと聞いたことがある人も少なくないだろう。
日本の茶道と中国の茶芸で共通しているのかはわからないが、この3口というのは「品」という字からきたものらしい。
「品」という字は口が3つで構成されていることから、3口で飲むと品があるというわけだ。
一通り全てのお茶の試飲が終わると、なぜか、出入り口が締め切られた。
何事か!?
と思うと、私達の部屋にはいつの間にかピンクのチャイナドレスを着たお姉さんが4人に増えていた。
何がこれから始まるのか、ドキドキしていると、リーダーらしきピンクチャイナが
「今からお茶の販売をはじめます。この果実茶ひとつで、200元。この杏茶とセットだと400元のところ380元。3つ買うと500元。お買い得ネ。」
と言いだした。
なんとー!!これが話に聞く中国人の商売テクか!!
更に、
「このプアール茶は20年ものネ。これは1000元でいいネ。これ、大変、おっ買い得ネ」
ちなみに、1元14円で計算すると、
200元=2800円
380元=5320円
500元=7000円
1000元=14000円
である。
決してお買い得な値段ではない。
だが、ここは旅の初心者。元で換算すると安く思えてしまうのだ。
私は杏茶と果実茶のセットを買うことにした。
しめて5320円。今考えると恐ろしく高い。
しかも、お金を払ったはいいものの、なかなか商品が手元に届かない。
「私、さっき2つ分の料金払ったのですが…」
と言っても
「ちょっと待っててネ」
と言われるだけ…
不安だーーーー!!
更に恐ろしいことがミッキーの身に降りかかる。
ミッキーは、そんなにお金を使うことはないだろうと、バスの中に両替した中国元を置いたままだったのだ。手持ちにあるのは日本円でしめて1000円。
だから、ここではお茶をひとつも買えない。おとなしくしていようと、私の買い物を見守っていてくれたのだが、ピンクチャイナ達は財布を取り出そうとしないミッキーにむらがりはじめたのだ。
ピンク1「これとこれ、二つで380元。このプアール茶。1000元。安いネ」
ミッキー「はぁ。私、お金持ってないんです」
ピンク2「私、えー日本語、あんまり、わからない。2つで380元。安いネ」
ミッキー「日本語…え?喋ってるじゃん!えー…アイハブノーマネーオーケー?(I have no money OK?)」
ピンク2「えー安い…ネ」
なんちゅう会話してんの!!
私はまだ来ぬお茶の心配を一度忘れ、ミッキーに助け船を出すことにした。
私「ミッキー。お財布の中身みせてみれば?本当にないところを見せればわかってくれるかもよ?」
ミッキー「そ、そうだね」
おもむろに財布を取り出し、「本当に、お金ないんです」と財布を見せるミッキー。
するとピンクチャイナ達は「…ッチ」と舌打ちし、どこかへ行った。
と思ったら
「日本円でもいいよ。」と言いだす。いや、日本円でも1000円しかないんだよ?無理でしょう?
と諭してみるも、痛いところをつかれると「私日本語ワカラナイネ」になってしまう。
お主、本当はわかっているんだろう?
そんなやり取りをしている間に、そろそろ時間になる。
もう、ミッキーは精神的に相当疲弊し最後の手段、「カード払いOK?」で私と同じセットを買うはめになっていた。
そうして、ミッキーが買うことになってようやく私のお茶セットも手元に届く。
どうやら私たち2人は連帯責任だったようだ。
さらに悪夢は続く。
トイレに行った観光客を待つ間、店内の土産を見なければならなくなった。
もう、できればここでお金を使いたくない。
少しずつだが、今どれだけのお金をお茶っ葉に使ったかの現実が見えてきていた。
だが、ピンクチャイナ達は店内を徘徊し、「このお茶安い、3つで50元」と言いながら寄ってくる。しかも、そのお茶というのが、紅茶のティーパックのようなかんじで、3つで100円ならわかるものの、3つで700円(50元=700円)もする品物とは到底思えない。
「いらない」
と断っても無駄である。なにせ、自称「日本語ワカラナイ」なのだから。
ミッキーは「これなら、あなたでも、買える。1000円、あれば、買えるネ。3つで50元」
と先ほどのピンクチャイナに言われていた。
ほら。やっぱり日本語わかってるんじゃーん!!
店内を逃げ回ること10分。
全員トイレから帰ってきたところで私たちはつばめさんのもとへと駆け寄った。
つばめさんは、「お茶、おいしかったですかー?私も、おいしいお茶飲めて幸せだったよ」と優しい笑みを浮かべていて、とても安心したのだ。
つばめさんよ。早く次の場所へと案内しておくれ。
お茶を飲んで、押し売りと戦った私たちはおなかがペコペコなんだよ。
次はお昼ごはん。食べまくってやる!!!!
続く




