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3 母レジェンド

今回は私の母上、咲良恵美(仮)の話をしようと思う。

母は御歳48歳。群馬県は太田市の生まれである。

幼いころから活発で、小学生2年生の時に6年生(男子)が大切に家に持って帰ろうと思った給食のパンを公園で待ち伏せし、奪い取ったことが語り継がれている。

そんな、おてんばでお茶目な(本人談)恵美は大きくなって保育士の資格を取る。なぜ保育士になったかと言うと、本人いわく将来を決めかねていた時、友人のアドバイスで進路を決めたらしい。そのアドバイスというのがこれだ。


「恵美ちゃんはなんでもできそうだけど、保育士には向いてないと思うよ。」


この一言で「保育士になってやらぁ!」

と思ったのだそう。負けず嫌いど真ん中。しかも、試験の論述問題は人の良い幼馴染に考えてもらったものを丸暗記して挑むという暴挙。


そんなこんなで晴れて保育士になるが、3年後運命の出会いが恵美を待ち受ける。

ちょうど彼女は失恋の痛みと戦っていたという。学生時代から好きだった人がカナダに転勤することに。

今しかない!!と思いのたけを伝えるが、撃沈。もう25歳になるし、そろそろ結婚したい。丁度その時に出会ったカモ…失礼。出会った男性が私の父上である。

知り合いの紹介で二人は出会った。

父がスキー場に遊びに行くと、何食わぬ顔をして逆送リフトに乗る女性を発見。(彼女は怖くてリフトから降りられずに乗ったまま下山。)そしてフォーリンラブ。いわゆる一目ぼれ。

えっ!?それで一目ぼれかよ!!と突っ込みたくなると思うが、それが私の父なのである。この人もかなりの不思議キャラ。後日紹介いたそう。

話は戻り、父は

「あの子かわいくない?(照)」

みたいなかんじで友人に言ったらしい。するとその友人は逆送中の母を見るなり


「恵美ちゃん!!」


と叫んだ。なんと知り合いだったのだ。

運命とは奇妙なものよのう。


そして3カ月の交際を経て母の方から逆プロポーズ。いわゆるスピード婚。これを逃したら後がない!!と思ったそうだ。

父は東京の人だったので、母は憧れの東京にやってきたのだ。


1年後、母26歳の時に私を産む。

この時、分娩時間は30分。

もう一度言う。分娩時間は30分。

超安産である。この時の様子を父はこう振り返る。

「ママが産気づいたって連絡が来て、急いで仕事を終わらせて病院に向かったんだ。16時頃病院に着いたら、お義父さんが10分前に分娩室に入ったって教えてくれたから、まだ生まれないだろうなぁと思ったんだよ。それから、椅子に座って緊張しながら待ってたんだよ。そうしたらポンっっ!!!!ってすごい音がしたと思ったら、先生が出てきて、女の子が生まれました!!って。もうそんな時間がたったんだ!!あっという間に時間は経つなぁと思って時計を見たら16時30分。前からママはタダものじゃぁないと思っていたけど、さすがにびっくりした。」

と当時を振り返っている。しかし、ポンっ!!て本当に言ったのだろうか。


私もすくすくと育ち、2年後には妹も生れ(妹の分娩時間も40分。)私高校3年生。妹高校1年生になったある日、咲良家に一本の電話がかかってきた。


母「はい。もしもし。」

相手「お久しぶりですぅ。○○ですぅ。元気ぃ???」

母「(横浜にいるおばさんだったかしら。まぁ。いいか。)ほんと、お久しぶりでぇ。元気にしています。そちらさまはお変わりなく?」

相手「えぇえぇ。おかげさまで病気もすっかりよくなって。」

母「(あぁ。やっぱり横浜のおばさんだ。腰痛が激しいって言ってたからな)あら。良かったですね。」

相手「そういえば、お宅のお子さんはもう2人とも高校生になったわよねぇ。いろいろ大変よねぇ」


など普通の会話をしていた。小1時間。そして


母「うちは2人ともバレエをやっているから、家計が崩壊しそうなんです。いい加減やめろって言ってるんですけどねぇ、やめなくて困っているんですよ。」

相手「あれ?お宅の‘息子さん’バレーじゃなくてバスケットじゃなかったかしら?」

母「はい?うちは女の子ですけれども…」

相手「はい?高橋さんのお宅ではないのですか?」

母「うちは咲良ですが…」


なんとまぁ。母が‘横浜のおばさん’なる人と勘違いしていた人は、見たことも会ったこともない人だったのである。そんな人に我が家の家計が崩壊しそうな話をしていたなんて…恥ずかしすぎる。


「だって、2人とも高校生になったなんてタイムリーなこと言うし、病気してたとか言うし、わかんないわよ!!!!そんなの!!」

うーむ。なんなんだろう、この適当さ。


そしてさらに時は経ち、私大学3年生。母と一緒に買い物に行く機会があった。

私も年頃のおなごである。(たまたま)化粧もしっかりとし、(たまたま)流行りの服に身を包んでいた。

すると、私の目の前にはキャバクラのティッシュを配るいかついお兄さんの手がにゅっと現れる。

(ちょっと得意になりながら)華麗にスルー。

しつこいが、興味ありません。という顔でスルー。

「私はそんなに軽い女じゃなくってよ!!」

(全国のキャバクラ嬢様すみません。)

と思いながらやり過ごそうとするとおもいきり頭をはたかれた。母上に。

「あんたねぇ!!今の態度はなんなの!!!感じ悪いったらありゃしない!!あんたねぇ。いつもそうやって歩いているの!?ティッシュのひとつやふたつもらって、体験に行ったっていいじゃぁなの!!お兄さんだって仕事なんだから、にこにこして話でも聞かないでどうすんのよ。全く。薄情な子だねぇ。この子は。」

と町のど真ん中で怒鳴られたのだ。そしてお兄さんに深々と頭を下げるのである。

お兄さんも私もビックリである。


さらに、母の感性は計り知れない謎を秘めている。

ある日の昼ごはん。いなりずしを食べようとセブン●レブンで買ってきた母。

そしていなりずしを見て一言。

「わぁ。このいなりずし、男子高校生みたい。うふふ。」

その場にいた家族(父・妹・私)全員ポカンである。

恐る恐る父が

「どのへんが??」

と聞くと、

「ほら、ここ。(油揚げから少しはみ出しているごはんを指さし)腰パンしてるみたいでしょ?」

という。妹が

「意味、わかんないし。」

と言うと

「あんたは、本当に想像力がない子だねぇ。しょうがないよ、全くこれが理解できないなんてアホだよ。」

と本気でキレ出した。私と父は「妹がアホなら、母以外の全員がアホだよ。そしてアホの方が普通だ」と内心思っていたが、これ以上キレられても嫌なので黙っていた。


この母の血が半分入っていると思うと自分が少々恐ろしくなる。時々、私の中で渦巻くすさまじい想像力は、いなりずし=男子高校生の図式が出来上がっている母の血が騒いでいるんじゃないかと思う時がある。血は争えない…のか?

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