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最初の投稿


 時間は深夜12時をまわった頃、真淵佳苗はいつもの様にベットに入るとスマホでおすすめに上がってくるSNSの投稿を見る。人差し指で上に画面をスクロールしながら眺めていると、どこか気味の悪い投稿が目に留まる。薄暗い夜道を撮った写真に、小さく人影が写っている。ハッシュタグには『#彼女を探して』とタグが付けられていた。誰かを探しているのだろうか。投稿したのが男性なのか女性なのかも良く解らない。どこか物悲しい雰囲気を醸し出した写真だった。


 佳苗は少し気になって、『#彼女を探して』のハッシュタグをタップする。同じタグをつけた投稿に画面が切り替わる。数件の同じタグがヒットしてくる。画面をスクロールすると、場所は違うようだが、街の片隅に佇む人影やどこかの公園らしき無人のベンチ、開け放たれた窓が室内から撮られた投稿などが写し出される。何故かぞっとするような不気味さが漂ってくる。佳苗は気味悪さから目を逸らし、メッセージをやり取りするアプリを起動すると、ネット友達のユーリーにメッセージを送信した。


『ねぇ、ユーリーまだ起き

 てる?今すごく変なタグ

 見つけたんだけど』


          『やあ、まだ起きてたん

           だ。どんなの?』


『#彼女を探して・・・っ

 ていうんだけど、夜道と

 か、誰もいない公園の写

 真が何枚も投稿されてて、

 不気味な雰囲気なの。

 『次はここで』とか『彼

 女を見つけるまで』とか

 意味深なコメントもつい

 てて気味悪い』


          『なんだそれ、誰かのい

           たずら?都市伝説の一

           種かな』

                   

『どうなんだろ』


          『今検索したけど、投稿

           が消えてるっぽくて、

           出てこないよ』

                  

          『佳苗、あんまり深入り

           しない方がいいよ。

           ネットにはいろんな人

           がいるから』


『わかってるけど、ちょっ

 と気になるのよね。

 ただのいたずらかもしれ

 ないけど、妙にリアルっ

 ていうか。SNS上だけど、

 誰かに見られてるような

 感じ』


          『怖いね。僕の知ってる

           ところでそれと似た

           タグの話は聞いたこと

           ないけど、もしかして

           誰かのメッセージかも

           よ?もし本当に気にな

           るなら、それ以上探ら

           ないで。深みにハマる

           と抜け出せなくなるか

           ら』


『ありがとう、ユーリー。

 まぁ、もう少し見てみて

 それで大丈夫そうだった

 らやめる』


          『うん、気をつけてね。

           なんかあったらすぐ

           に教えて』


 佳苗はユーリーとの遣り取りで少し安心した。ユーリーとは、会ったことは無いが、ある投稿がきっかけで意気投合して以来ことある毎にメッセージのやり取りをしている。多分佳苗より幾らか上で男性だが、佳苗のいろいろな相談事を聞いてくれる。だが、こと恋愛の話には発展しない。

  

 今日のところは、タグのことはそのまま忘れることにした。


 その夜から彼女のSNSには奇妙な通知が届くようになった。彼女のフォロワーの投稿にも、いつの間にか「#彼女を探して」というタグが付き始めた。


お読み下さりありがとうございました。

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