軍地スタバで交流する夢
夢で見た内容かドキュメンタリー番組か混同してる。今まで夢と現実の区別はついていたのに。内容の突飛さからしてたぶん夢。
とある独裁国家の離島の軍事施設。条約で定められた以上の軍備はしていないという主張のため、その一部が観光できるようになっていた。一部じゃ主張になってない。
その観光ツアーに単身参加。軍事施設を「見せてやってる」のスタンスで、移動はテント付き軽トラの荷台に30人近くすし詰め。観光というより囚人体験に近い。
一般人は撮影禁止だが、世界のごく一部のメディアに厳しい制限付きで報道権が与えられる。カメラの持ち込み1人分だけで、同伴の取材スタッフはなし。
今回の参加者の日本人は左翼局のテレビカメラマンと私だけだった。撮影に協力してほしいと頼まれた。面白い話をしてくれそうな兵士とか、撮れ高を探して教えてほしいとのこと。タスクがあれば私の観光の充実度も上がるなと承諾。
船から降り例の軽トラで数十分、そこから林を十分歩く。ジャングルらしく野生の小動物もいちいち目つきが鋭く殺意が高そう。フェンスの壁が見えた。荷物検査を受ける。私は最初から飲み物と小銭くらいしか持ってなくて、一瞬で通過した。報道マンの最新プロ仕様カメラは「撮れすぎる」とのことで没収、予備の予備の20年前のデジカメだけ許可された。マイクロじゃないSDカードのやつ。取材後にメモリーカードを検閲しNGな内容は即刻削除、編集した番組も放送前に検閲が入るそう。
やばーいそんなもん見て私は帰国していいの?脳みその当該部位切り落とされる?
フェンス沿い真っ直ぐの一本道を抜け、見学できる区画に着いた。射撃体験ゾーンや下級兵士の筋トレ見せゾーン、機密度の低い資料や物品をやり取りする受入口など。
筋トレ見せ兵士にカタコトの日系人がいた。祖父をはじめ日本人が多い集落の出らしい。その出自故に彼は出世から程遠そうな見世物枠にされているのだろう。見せ兵士の表向きの1日の過ごし方と、ウワサ話と、口を滑らせて上への文句を少し語っていた。
見学区画の外からの爆風や轟音で普通に話すだけでもとても疲れた。
検閲されるとなっても、ここまで取材したならカメラマン氏の仕事は上出来だろう。
「いやー日本の菓子でも持ってくればよかったな」
仕事が一段落したカメラマンが、オフモードで軍人に接する。
「没収サレル」
「そりゃそうか」
「お金アル スタバ」
観光客用にスタバが区画の隅にある。あくまで観光客向けなので、現地通貨でなくドルしか使えないと。独裁国家の兵士である彼は両替の手段がなく目の前にあるのに飲めないらしい。ドルで小遣いが欲しいと。
私は現地通貨しか持っていなかった。カメラマンもドルの手持ちはないとクレカでギフト券を買った。ムキムキの兵士にスタバギフトを贈る日が来るとは。
通常MacBook広げて長居する客を衆人環視に晒す大きい窓がなく、入口がガラスなだけ。採光がなく暗い。ソファ席は観光客や上級兵が優先という暗黙のルールで、少ないカウンター席に中〜下の兵が居心地悪そうにかける。パーソナルスペースの概念のない嫌なサードプレイス。いや、寮生活かつ職場の人間関係が延長されているならどこまでもファーストプレイスでしかない。
そんなギスギスタバの奥のソファー席を占領する白衣の青年。観光エリアにいるし彼も話しかけていい相手なのだろうか。
「ハ、ハロー…?」
一瞬顔を顰め、資料を見せてくれた。邪険にすると怒られるのかな。カメラはダメだというジェスチャー。狭い農地により沢山実らせる品種改良の話…の一節のようだ。バリバリの軍事基地に見せかけてそういう研究施設もあるのか。ドカドカバンバンうるさくて全然集中できなそう。
ちょっとだけ見せてくれた資料も飲みかけのコーヒーも回収して足早に見学エリア外に戻ってしまった。邪魔して申し訳ない。
通用門の前に書類をハラリと1枚、落としていった。
「おーー
”生物兵器の研究”
読めてしまった。研究員を呼び止める声が弱まる。
い、、、」
カメラマンと目を見合わせた。
とっさに両手を上げて投降の意を訴える。怖い。観光に来たはずなのに直視できない。
泳ぐ視線が、スタバの裏口から運ばれる禍々しいクーラーボックスを捉えた。
輪をかけて…。なんてもんばっか視界に入るんだ。バイオ兵器用の試薬にしか見えないよ。
決定的証拠な現物をガッツリ見れたなら、口封じを受け入れられた。そこらへんの何も知らないお花畑とは違うって優越感に浸って死ねた。
こんなしょもい状況証拠でもそうか、ダメだよな。「あの白衣の農学者がマッドサイエンティストごっこしてた」で済ませてくれないかな。出会って半日の成人が向かい合って膝立ちで運命を共にベソベソ泣く。
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「2人トモ 何ヤッテルンダ」
日系人君が来た。ヤバそうなモノ見たことバレてないの?
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SDカードの確認を受ける。これまた旧世代のパソコンで読み込みが遅い。間違って変なものが写っていて強制収監されるんじゃないだろうか。無限に滲んでくる手汗をズボンにすり付ける。言い訳のシュミレーションもままならないほど とっ散らかる思考。
起きた




