結局
探索をしたはいいが、あまりにも情景の変化がなさすぎる。
もはやこの世界全てが森だと思う程本当に変化がない。
・・・やめようかな?
これ以上同じ景色を見続けるのは、精神的にきついし。
しかし、森を脱出することができる可能性も見逃せないんだよな・・・
ひとまず、中止するかどうかはもう少し考えよう。
探索していたはずの俺は、現在寝床を作っている所だった。
この世界すら知らないのに、探索をするのはかなりリスクがある。
まあ、その分リターンもあるが、俺はそこまで危険なことに挑戦する性格ではない。結局辞めることになった。
その結果、やることがなくなった俺は他の案を考えることになる。
そして、考えること数十分、次に移した行動は寝床作りだ。
理由は単純、疲れた。これだけ。
しかし、寝床というものの、今作っているのを見ても、とても寝心地がいいものとは言えない。
何せ、創造の力でハンモックを作ったはいいが、大型犬が飛び乗れるぐらいには地面と近すぎる。
この世界の動物に襲われたら・・・考えたくもないことになりそうだ。
そんなことに怯えながら寝れるわけがない。
何か安全策を考えなければ。
そういうことで、俺が考えた案は、堀&壁だ。小さい堀なら簡単に越されてしまうが、大人一人入ってしまうような深さの堀なら、ある程度は安心できるだろう。
それに、万が一飛び越されたりしても、壁を作っておけば、足の置き場がなくなるのだから、とんでもない跳躍力があるか、破壊するかしない限り、侵入されることはないと思う。
さて、堀を作るためには、地面を掘らなければいけないわけだが、俺にはそんな道具に時間もない。
ので、魔法を使うことにする。
魔法の全ての知識があるからこその力技だ。
まず最初に、堀の内側の部分にある、ハンモックをかけた木以外の木を根こそぎ魔法の力で強引にぶち抜く。そして、その木々達を、思いっきり外に、飛ばす。
ブォン!という感じで勢いよく飛び出していった木は、どこかの場所で大きな音を出して墜落した。
次に、俺は直径6メートルほどの円の形に合わせて、縦横2メートルの溝ができるように、地形を変形させる。
変形のさせ方は至ってシンプル。
ある地点を自分に向けて魔法の力で押す。
対抗する感じで、2メートルほど内側に間隔をあけたところに、魔法の力で、地面を固定させる。
これだけ。
こうすることで、無理やり地面を動かすことができ、溝ができるわけだ。
そして、盛り上がった土をこれまた魔法の力で、形を整え、熱を加え固める。
これで完成だ。
「おぉ・・・!」
聳え立つ壁の威圧感に満足する。
2メートル以上あるわけで、俺の身長なんかとっくに越している。
側から見るとこれが俺の力で作られたなんて思わないだろう。
俺は達成感に浸りながら、ハンモックの中に入った。