2度目
調べ物が終わった、スマホの電源を落とし、目を瞑る。
今日は色々あったな。
今思うと、あんなことがあって誰一人にも言いふらしていない俺は凄い気がする。
そんなことを思う。
さて、この疲労しきった体力を回復しておかなければ、明日の学校生活に支障が出てしまう。さっさと寝よう。
・・・この世界の明日が、俺に来るかはわからないが。
白と青。ただそれだけの、色で埋め尽くされた空間に、俺は3度目の召喚をされた。
生まれた世界の明日に少しだけ期待していた気持ちが、その期待と同じぐらいに小さく落ち込む。
「さて・・・状況整理は終わったか?神もどき」
「終わったよ。君の処遇もね」
「そうか。で、俺みたいな世界の異変をどうするんだ?流石に殺すのは勘弁してくれよ?」
「君を殺しはしないよ。君はもう一度転移するんだ」
「どんな場所だ?」
「それは、行ってからの秘密さ」
「・・・何を隠しているんだ?」
「うるさいな。答えられないから言っているのわからないの?」
「はあ?こっちは、そんな所に転移させられる可哀想なやつなんだぞ?」
「自分で言ってるの?・・・」
「本当のことだろ」
「とにかく、話をさっさと、済ませたいから、この会話を戻そう」
「それで、君が転移時に持っているものは、能力と、身につけているもの。この二つだ」
「装備はいいとして、今のままだと、能力が役に立ちにくいんだが、なんとかしてくれないのか?」
「それは、何回もやって、使い物になるようにするようにしているから、別に変化を加えなくても、使えるでしょ?」
「まあそうだが・・・」
「だから、変えないよ。わかった?それと、転移するときは、使える範囲全部の知識を与えるから、安心していいよ」
「そうなのか?」
「そうだよ。じゃあ、もうそろそろ、転移させるよ」
俺を追い出す可能ように、話を済ます神に、少し違和感を覚えながらも、覚悟を決めた。
すると、前にと同じような形をした、歪んだ空間が出てきた。
俺は、その歪んだ空間に、一歩、また一歩と入る。
空間は、永遠に続いているような、行き止まりになっているような不思議な空間だ。
だんだんと空間認識能力が低下してくる。
落ちているような感覚と、歩いている感覚が混ざり合っていく・・・
次いで、意識もなくなってくる・・・・・
意識が・・・・
「さて・・・」
俺は今、森の中にいる
あの神変なところに飛ばしやがった・・・
ここが何処なのかすらわからないのに、よりによって森だと?
愚痴を言っても仕方がない!状況確認だ!状況確認をしよう!
俺は、どうにか暴れる思考を押さえつけ、状況の把握を進めた。
ここは森。森なだけあって、周りの視界がとても悪い。
そして、先ほどの、静寂の真反対の、混じった騒音が全方向から聞こえる。
空には、太陽のような存在が一つある。
地面は、触り慣れていない、不思議な感触の物質が当たり一面に地面として、存在している。
それだけが、今確認できることだ。
この状況から確実に、分かることは、ここは異世界ということだけだ。
うん。当たり前だな・・・
どうする?少なくとも、ここから動かないのはいい作戦ではないだろう。
おそらく、次にするべきことは、探索だな。
森に遭難したと言ってもいいこの状況で、探索は危険かもしれないが、ここは日本ではないのだから、助けなどは来ないだろう。つまり、俺は今、助けが一つしかない状況だ。しかも、してはいけないと言われているものだ。だが、何もせずにしたところで、死ぬだけだ。ここは、運に任せるしかないか!
覚悟を決めたし、探索を開始するとしよう。