転移失敗
ゴン!
俺の頭が何かにぶつかる音がした。
「いてっ!」
その瞬間、歪んだ扉が、消えてなくなった。
「あれぇ?」
「おい!変な冗談はやめろ!」
「違うよ!・・・ちょっと、向こうの神に聞いてくる」
その瞬間、光を放っていた球体は逃げるかのように消えていった。
「おい!」
まじかよ・・・何が起こっているんだ?
「戻ってきたよ!」
その一言とともに、光の玉が出現する。
「おせーな!もっと早く帰ってこいよ!」
「仕方ないじゃん・・・こっちも色々あったんだから・・・」
「神ぐらいなら、それぐらい出来るだろ。で、何で俺は転移できなかったんだ?」
「向こうの神に、転移を拒否されたんだよ・・・」
「はぁ?」
「いや・・・何というか、こっちも混乱してて・・・」
「神なのに?」
「神っていうか、役割が似ているからそういったんだよ!別に失敗も混乱もするさ!」
「ふーん。じゃあ、神もどきだったのか」
「言い方よ言い方」
「本当じゃないか」
「はぁー・・・まあいいや、ちょっと状況整理したいから一回、現実世界に戻すよ!後でもう一回呼ぶからまたね!」
「え?」
急に視界が暗くなる。
それと同時に、ガヤガヤと音が聞こえる。
「なんだ?」
いつの間にか閉じていた目を開けると、そこには見慣れた景色が映っていた。
「夢?・・・ではないよな」
「はぁ・・・めんどくさいな・・・」
ややこしくなってきた・・・
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなる。授業の始まりのようだ。
「起立、気をつけ。これから1時間目の授業を始めます。礼」
「「「「「「お願いします」」」」」」
授業が始まる。
教科は英語だ。
・・・はっきりいって、退屈な教科だ。ひたすらに覚えるだけの作業を誰が楽しむっていうんだよ。
しかも、さっきの事で頭に入らなさそうだし・・・
もういいや、授業は諦めよう!
そういえば、神もどきから、能力とかいうやつ貰ったよな・・・
バレないように使ってみるか。
最初は物を作れる能を使ってみよう。魔法は後で業間に試そう。
とりあえず机の下に、手を突っ込んで、手のところに、消しゴムを作る想像をしてみた。
すると、消しゴムとも取れる形の物体が手に触れる感触がした。
そうして、その物体を見てみると。
「!」
少し形が歪だが、消しゴムとも呼べる、白いゴムが見えた。
よっしゃ!!!
大声で喜べないのが残念だが、とにかくやったぞ!
今度は、シャーペンを作ってみるか!
もう一度、机の中に手を入れシャーペンの姿を想像する。
すると、前のような感触とは一味違う、材質と形が感じられる。
そして、同じようにできた物を見てみる。
出てきたのは、まさに俺の持っているシャーペンだ!
・・・中身はないが
何だよ!
少し落胆した・・・
何で肝心の中身がないんだよ!
・・・もしかして、俺がシャーペンの仕組みを知らないからか?
試しに、コンパスでも作ってみるか。
先ほどの手順で、コンパスを創造してみた。
なるほど・・・
少しずつだが、この能力がわかってきたぞ!
おそらくだが、この能力は俺が仕組みを知っていないと、正確に作れないようだな。
今、作ってみたコンパスだが、やはり、構造を知っていたためか、ちゃんとしたものが作れている。
しかし、形がどうにも歪なんだよな・・・
将来、精密部品を作るためには精度を上げなければならないな・・・
なんで、神もどきは精度をよくして能力を与えなかったんだ?
まあ、慣れていけば良くなるだろう。多分・・・
「おい!授業に集中しろ!」
「すみません」
おっと、授業のことを忘れていたな。
キーンコーンカーンコーン
「起立、気をつけ。これで1時間目の授業を終わります。礼」
「「「「「「ありがとうございました」」」」」」
やっと授業が終わった・・・
早速、トイレに駆け込む。
そして、トイレのドアを閉める。
「よし・・・」
魔法を使ってみよう。
まずは、水の玉を作ってみるか。
水の球を想像する。
すると、ゆっくりとだが、水の玉ができてきた。
だんだんとお大きくなっている。
そして、ついに拳ぐらいまでの大きさまで到達して・・・止まった。
・・・まあ、そうなると思っていたが、やっぱりガッカリするな・・・
まあいい、魔法の使い方もわかったし、収穫は大きいな。
この水たまりは・・・便器の中にでも入れておこう。
さて、教室に戻るか。