変な夢
白と青の境界線が永遠に続く空間、その空間に俺はいた。
周りを見渡しても何もない。本当に何もない空間だ。
「どこだ?・・・ここは」
その呼びかけに答える者など存在しないのに、聞いてしまう。
何もないのは、音も同じだ。
反響すらしない。
これは夢だよな?
夢のはずだよな?
「誰か答えてくれよ・・・」
無限に続くようなこの空間に、不気味さと少しの恐怖感を感じる。
逃げたい。でも、逃げれない。
ここは現実で、俺はここで死ぬんだ。
そんな、ありえない妄想すら出てくる。
そして、だんだん心が気色の悪い“何か“に蝕まれていく。
その瞬間、俺は見慣れたベッドにいた
「いやだ!」
・・・一言叫びながら。
「今のは・・・?」
あんな夢は二度と見たくない。
少し落ち着いてきた。
あの夢が何だったのかは分からない。
だが、一つ分かるのはあの夢が良い物ではないと言うことだ。
もう見ないことを、心から願った。
ふと時計を見てみると、
暗闇の中で光っている時計の針が、2時ごろを指していた。
「やばっっ寝ないと」
俺は、夢のことは思考の片隅に置いて、寝ることにした。
そして、アラームが鳴った頃。
俺は、ずっと起きていた。
・・・まあ、悪夢と言えるものを見たんだ。そんな簡単に寝れるわけがない。
「はぁ・・・」
眠気のせいで、体が重い。
しかも今日は月曜日だ。
つまり、学校へ行かなければいけない日だ。
「はぁ・・・」
ため息が2度出るほど落ち込んでいる。
まあ、落ち込んでても、何も変わらない。とりあえずベッドから出よう。
俺は、ベッドから降り、少しふらついた足で自分の部屋を出た。
そして、真っ先に脱衣室に入った。
「あぁ・・・だる」
あんな夢さえ見なければ、風呂なんか入らなくていいし、よく眠れたのに・・・
おっと、いらない事を考えていたな。
さっさと風呂に入ろう。
浴室に入り、足から順に、シャワーを浴びせていく。
頭まで濡れた後は、シャンプーとボディーソープで、
頭と体を洗い、シャワーで流す。
洗い終わったのち、浴室を出て、タオルで体と髪を拭く。
ちなみに、俺はリンスやドライヤーを使わない。
確かに効果はあるのだろう。だが面倒だ。
それに、朝にそんなことをしていたら遅刻してしまう。
その後、自分の部屋に入り、服を着る。
そして、机にポツンと置かれた朝食を食べる。
食べ終わった後は、歯磨きをし、事前に準備していた学校の教科書等を入れたバックを背負い、家を出る。
寝不足だと、学校のバックはきついな・・・
しかも徒歩で学校へ行かなければならない。
「自転車通学ぐらい許可しろよ・・・」
思わず愚痴を言ってしまう。それぐらい最悪な日だ。
そして、数十分歩いた頃、
「やっとついた・・・」
学校の校門に着いた。そのまま、学校の下足場へ行こうとしている時。
少し小さい声で、怒鳴られた。
「おい!挨拶は?」
先生だ。
「すいませーん」
「ったく・・・」
「すいませーん」
「まあいい・・・これからは気をつけるように。」
「ういっす」
これだから先生は嫌われるんだよ・・・
ちょっとした悪態を頭の中で吐きながら、下足場で上靴に履き替える。
そのまま、廊下を歩き、階段を上がった。
そして、教室に入った。
「よう!」
「おはよう!」
席に着くまでに3、4回挨拶されたのを聞いて満足した。
・・・側から見ると、ナルシストだな。
少し恥ずかしい。
そんなことを思っていると、チャイムがなった。
「起立、気をつけ、礼」
「「「「「「「おはようございます」」」」」」」
ガタガタと、椅子を引く音がなる。
「では、朝のHRを始めます」
「まず、昨日、午後6時頃に山岩町の住宅街で、熊の出没情報がありました」
ざわざわと、声がする。
「マジかよ・・・怖いな」
「俺が住んでるところその辺りなんだが!?」
「俺そこに住んでなくてよかったわ」
「会ったらどうしよう・・・」
周囲がザワザワとする。
「山岩町にお住まいの方は、下校中は、周囲に警戒して下校してください。そして、決して怪しい音がする方向に行かないでください。」
「次に・・・」
そんな感じで、朝のHRが終わり、朝の読書時間へ移行する。
俺は適当に、教室に置いてある小説をとった。
本の名前などは気にしてもいない。
最初の一ページを読んだが、あまりにも眠くて、全く頭に入らなかった。
こんなことなら、もう寝てしまおう。
机にうつ伏せになり、目を閉じる。
そのまま、1分程で眠りに着いていた。
景色が見える。白と青だけの世界だ。
「チッ、またかよ」
思わず舌打ちをしてしまった。
同じ景色を見て、嫌悪感を持ったのは初めてだ。
だが、前回よりは幾分かはマシになっている。
まあ、もう一度見ることがあった時には、慣れているだろう。
とりあえず、目が覚めるまで、待つ事にしよう。
そういえば、夢を夢と自覚しているのは、明晰夢とか言うやつだったよな。
確か、インターネットの百科事典で読んだ気がする。
でも、夢を操作できるはずだが、それが、できないんだよな・・・
本当に変な夢だな。
それに、何でこんなに雑風景な夢なんだ?もっと変化があってもいいだろ。
・・・まじで何なんだ?この夢は。
わかっている事は景色が雑風景な事と、明晰夢ではないことだけだな。
まあ、今のところ寝不足ぐらいしか、悪影響を受けていないから良いか。