現状把握と目標設定
目を開けると荘重な街並みが飛び込んできた。
どこか初期ロマネスク様式の街並みにはNPC達と街並みに興奮するプレイヤー、何処かへ物凄い勢いで駆け抜けていくおそらくベータテスターだろうか、様々な目的を持った人々であふれ出していた。
振り返ると続々と光の柱らしき物からプレイヤーたちが飛び出してくる。
NPC達も突然の人口増加に驚いている様子でこのゲームの気合いの入りようが伺える。
一通り感動に浸ったので早速行動を起こすことにする。
何はともあれチュートリアルだ、蔑ろにする人も多いがMMOでは序盤のスタートダッシュが命運を分けることが多い、目に留まったクエストなども受けながら進めていくのがいいだろう。
左手でメニューを操作し、チュートリアルクエストを受注する。この手のMMOは基本的にショートカットジェスチャーが統一されている事が多いので操作に困らないのはいい事だ。
表示されたチュートリアルクエストは4つ
・ギルドに行こう
・ジョブに就こう
・スキルを取得しよう
・装備を付けよう
これら全てギルドでこなせるようになっているらしい。早速向かうことにしよう。
「いらっしゃいませ!公設ギルドハートナー公爵領へようこそ!」
重くるしい扉を開けるとキチッと制服を着こなした仕事のできそうな女性が話かけてくれた
「初めまして、ギルド登録に来たのですが」
「その身形、帰還者様ですか?でしたらこちらへどうぞ!」
案内されるがまま奥のレーンへと誘導される。ROGではプレイヤーたちは総じて帰還者とNPCからは呼称される。これはこのゲームの大まかなストーリーとして大昔【外なるモノ】たちを退けた後、行方不明になっていたと言うのがプレイヤーの設定だからだ。如何せん多すぎる気もするが。
「改めてお帰りなさいませ!ここではジョブとスキルの説明を改めてさせていただきますね!」
ROGにはプレーヤーレベルは存在しない、あるのは各武器種毎に決められたスキルと武器の使用にボーナスのつくジョブだけだ。一応ジョブにはランクがあり、一定値まで育てると転職が可能になるシステムだがまだ転職まで長い、今は考えなくていいだろう。
スキルは各武器種毎に設定されている。武器の種類も膨大で剣のカテゴリで6種あり、各武器の使用を継続していくと熟練度が上がりスキルを得ることができる。得たスキルは別の武器でも使用できるが威力等は大幅に下がってしまうし、剣カテゴリのスキルを弓カテゴリで使おうとしても発動はできるが効果がなくなってしまうこともある。
その後装備装着のチュートリアルも受け今現在のステータスがこれだ
Name:Sen
job:重騎士 R1
skill:リベンジ(盾術)
:パリィ(盾術)
:ライフスティール(小剣術)
果たして重騎士とはというスキル構成になってしまったが現状この構成がタンクで一番硬くて火力が出るはずである。実践してみて多少構成は変わるかもだが
ギルドから出るとチュートリアルクエストもきれいに完了した扱いになってくれた。報酬は2500コル
さっきチュートリアルおねーさんから聞いた話だと1クエストあたりの報酬が1200コル程度らしいので話を聞くだけでこれだけもらえるのは破格だろう。
お小遣い2500コルを握りしめて次に向かうのは武器屋
メインウエポンとなるいい感じの盾を探さなければならない。できることなら重ためかつ取り回しのいい盾だと好ましいが。マップを見ながら町を進むこと5分防具屋隣接のよくある武器屋が見えてきた。きっと店主も頑固なドワーフタイプだろうと予想を立てながら扉を開くと
「いらっしゃい、どんな武器をお探しかな?」
「おわ、こんにちは、硬くて重い盾を探してるのですが,,,」
「盾を武器にするとは珍しいね...いまウチにあるのだとこれくらいだよ」
真逆の好青年エルフが出できてしまって一瞬動揺してしまったが何とか持ち直して会話を続ける。
棚から取り出してきたのはカイトシールドに分類されるであろう金属性の盾で何とか片手で扱えなくもない、くらいの重さである。普通にこれで殴りつけられたら傷を負いそうでちょうどいい。
好青年エルフ君に2400コルを支払い、財布が軽くなったところで改めて街を一周する。
北門西門東門の3つの出入り口があり、各々最初のフィールドにつながっていると門警備のおじさん達が教えてくれた。北に行くと雪山が、西門に行くと砂漠が、東門に行くと王都が最終的にはあるらしい、どちらに進むかはとりあえず各フィールドのmobと戦ってみて相性を見るでいいだろう。
そう思い、一先ず一番近い北門に進むことにした。