堕転者
異常状態の発生地に近づくほど、暖かく、ほのぼのとした空気が湿気をはらみジメジメとしてきた。
いやぁな感じが当たり一面に広がっている
本能がこれ以上近づくなと言わんばかりに、足は小刻みに動き、歩幅を縮める。
「怖いかい?」
「そ、そりゃあまぁ、こ、怖くないほうが不思議なく、くらいにはな」
リュウが少し方を膨らましながら訪ねてくる
「そんなに僕が心もとないかい?
そりゃぁまぁ死者は降ろされたけどさ、」
その言葉を聞いた瞬間足が止まった
「待て待て!死者の一人じゃなかったのかよ!」
「もちろん僕は死者の一人さ!…元ね、」
死者の一人それは、この世界に法則なるものをもたらした賢者と喚ばれる存在、デイステルアルタットクエタの死体を食べることを許された、四匹の者(その者もデイステルアルタットクエタと呼ばれている)を管理する、賢者に認められた12匹の者達の一人のことを指す。
そして…
「君が行ったんじゃないか!異常気象が発生するのはそのデイなんとかってやつが、四季の実を食べるからだって、自分はその管理者だから、問題ないって!」
リュウは胸を張って答える
「あぁ、元ね!」
そして続ける
「色々あったのさ、僕は長生きだからね…」
どこか遠い目をした気がしたすぐに戻った
「降ろされたのは力不足のせいではないさ、さぁ、行こうか異常気象が長引くのは厄介だ」
差し出された手を握ると震えが止まるのを感じた