変異体 龍
桑元…
そう呟きながら、考え込む様に顎に拳を当てていると
あぁと言いながら、こちらをまじまじと見てきた。
「リュウカ」
「え?」
突然の言葉に呆然とする
「聞いたこと、触れたこと、話したこと、無いかい?」
その問いかけに頭が痛くなる、思い出した
なんで忘れていたんだ、あんなに、あんなに
想いを寄せていたのに、
忘れるはずもなかった記憶が頭の奥から引き摺り出され
激しい頭痛に囚われる。
少しすると頭痛は引いたが汗が滴る
ついた膝を持ち上げ、深呼吸をして、彼女と見合った。
少し笑うと先に喋り出したのはあっちだった。
「そんなマジマジと見ないでおくれよ。
面白いじゃない、僕の名前はリュウ高位列の二番目さ」
リュウ?龍?竜?
思考が絡み合って 分からない が加速していく
憶測や仮説が独り歩きして、考えて考えて
面倒だ、考えるのを辞めた。
そんな清々しいほどにボケっとした顔を見て、リュウが笑った。
まぁ分かった事と言えば、一人称が私ではなく、僕だったので、男なのか…一応、多分。
「まぁ理解に苦しむのも、分からなくはないよ、
君は異世界人だもんね、説明ならするよ。
聞くかい?」
その場でちょこんと正座し、頷いた。