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第五十五話 開会式

 テントの中。テディがそっと外を覗いて、身体を震わせた。

「ひええ……人がいっぱい……。やばいやばい」

 それを聞いたリックが、「馬鹿野郎、そう言う事言うなよ! 緊張するだろうが!」とツッコミを入れる。


 ブレンダが続いて、「二人はまだいいじゃん、出番遅いんだし。私なんか、一番最初だよ……」

 そこにパトラが、「ぶ、ブレンダちゃんなら大丈夫だよ……」と励ます。


 テントの中は、浮ついた生徒たちでごちゃごちゃしていた。エルトールはおほん、と咳払いをして、「はい、注目!」と視線を集めた。


「これからすぐ、開会式が行われるわけだけど……その前に、円陣を組んで行こうと思う」


 生徒たちは頷い、ドタバタと円を囲み始めた。皆で肩を組み、円を造り始める。出来上がって来た円の中に、エルトールも入ろうとした。


「師匠っ!」その横にアリサが付く。

 ふたりで笑いあって、肩を組んだ。――そして、


「とうとうこの日が来た」エルトールが演説を始めた。「魔法競技大会……僕たちの、運命を決める決闘だ。この戦いに勝てば、晴れて僕たちは魔法学校として認められる。――この三か月間、色々あった。けど間違いなく君たちは、向こうの魔法使いに劣らないほどに成長した! ……僕が保障する。僕たちは、絶対に勝てる。――いや、勝つっ!!」


「「「おおおおおおおおっ!!」」」とみんなが叫ぶ。そして勢いが上がったまま、エルトールを先頭にテントを出た。


 そこには、巨大な観客席に囲まれた競技場が広がっていた。ワアアアアアア!! と凄まじい歓声が皆を襲って来る。ぎっしりと埋まった観客たちは口笛を吹き、ドンドンと太鼓を叩き、はやし立てた。


 エルトールたちが今いるのは、観客席に設営された待機のためのテントである。その対岸には、王都学園のテントがあり、今丁度サイモンを先頭にして生徒たちが出てくるところだった。


 そして生徒たちが出そろったころ、両陣営を俯瞰する様な高いところに設置された観客席に、国王が登った。そして、両手を広げた。


「両代表者は、前に!!」


 エルトールとサイモンが、箒にのって浮かび上がる。そして、空中で対峙した。


「良く逃げださずに顔を出しましたね」サイモンが嘲笑って来る。

 エルトールはにこりと笑って、「その余裕も今の内ですよ」と返した。国王はそれから、部下の差し出した金色の剣を手に取り、鞘から抜いた。


 その刃を前に突き出し、

「ユリシア国王の名のもとに、決闘の始まりを宣言する! 貴公たちは死力の限り競い合い、望むもののために正々堂々と戦うべし!」


「「はっ!!」」二人は、胸に手を当てて頭を下げた。ワアアアアアアアと歓声が一段と大きく鳴る。国王は剣を空へ突き上げ、

「ここに、魔法競技大会を開催するっ!!」と、声高らかに言った。


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