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第五十一話 王都学園の代表生徒

 騒動は思わぬ展開に発展した。


 情報を聞いて、すぐさま千里眼で森中を探し回ったエルトールだったが、発見したときにはサイクロプスがリックを掴む直前だった。すぐさま魔法を行使しようとしたが、その時別の魔法使いが現れたのである。彼女はナターリア。王都学園の代表生徒だった。


 そして、約一時間後。エルトールたちは王都学園の面々と顔を合わせる事となった。


「まさか貴方方がこんな場所に来ていたなんてねぇ」


 サイモンがやれやれとため息をつく。その傍らにはナターリアや、他の王都学園の生徒たちも居た。場所はこちら側のキャンプ地。かがり火が灯された草原で、両者は向かい合っていた。


 エルトールは前に出て、「私の生徒を助けていただいたことは感謝いたします。しかし、一体どういうおつもりですか?」


 リックとブレンダは、その後現場に急行したエルトールによって救助された。ナターリアは何も言わずにどこかへ消え、そして今、こういう状況になっている。


「どういうつもりか聞きたいのはこっちですがね。挨拶にもこないとは、一体何ごとですかな?」

「……生徒たちを連れ戻すことを優先しました。その後、お礼に伺うつもりでした」


 他にバラバラに散った生徒たちを連れ戻していたら、こんな時間になってしまった。リックとブレンダは、イルフリーデによってテントで治療を受けている。まあどちらも精神的な疲れの方が大きいが。

サイモンは首を振って、


「いやいや、そんな言い訳は良い。我々は今すぐにでも誠意を見せてもらいたいのですよ」と言い出した。

「一体何をお望みですか?」と聞く。サイモンはにやりと笑って、


「今すぐこの山一帯から出て行っていただきたい」


 と要求してきた。王都学園の生徒たちは、くすくすと笑う。

 エルトールの生徒たちを見て、「何あれ、一年生?」「ガキじゃん。俺ら、あんなのと戦うんですか?」「弱い者いじめになっちゃうじゃん」と噂話をしている。


 彼らは皆、ナターリアを除いて上級生ばかりだった。こちらよりもひと周り年上の魔法使いたちを前にして、ちょっとビビり気味のこちら側の生徒たち。


 エルトールは前に出て、

「必要性を感じませんが。あなた達のキャンプとこことは十分な距離があるでしょう」

 サイモンは嫌悪を露骨に顔に出して、「不愉快なんですよ、あなた達が。同じ山で合宿だなんて、とても考えられない」


 一気にぴりつく両者。エルトール側からしても、これからの予定もある。ナターリアには感謝したいが、向こう側の学校全体の意見を丸呑みする必要性が、果たしてあるだろうか。


 それに、王都学園の圧力に負けたと、こちら側の生徒たちに意識されてしまうのも良くない。ただでさえ気圧されているのだ。もうこれは、競技大会の前哨戦と言っても過言では無いだろう。


 故に、折れる事は出来ない。エルトールはため息をついて、


「……お礼は改めて致します。しかし、ここから立ち去ることは出来ない」ときっぱり言った。

 サイモンは首を振って、「話になりませんな。……こういう時王国ではどうするかご存じですな?」


 エルトールはイルフリーデとのことを思い出した。


「……決闘ですか。分かりました。受けて立ちましょう」エルトールはそう言って進み出ようとするが、


「まあ待ちなさい。私と貴方が戦うよりも、ふさわしい選手が居るでしょう」と言い出した。

 サイモンはそのまま、アリサへ視線を向けたのである。「……っ」目を見開くアリサ。そして前に出てきたのは、ナターリアだった。


「そこに居る代表選手とウチの代表選手……。戦わせてみようではありませんか」

「何を馬鹿な」サイモンを睨みつけた。

「生徒は道具ではありません。我々で戦うべきでしょう」


「ハハハ! 競技大会があるというのに何を今更! もしかして、怖気づいているのですかな?」サイモンはあくまでアリサを見ている。

「まあ、そっちの代表には荷が重いですかな。ナターリアに勝てるはずがない。それを一番よく分かっているのは、彼女ですからねぇ」


 ちらっとアリサを見ると、彼女は身体を震わせながら地面を見つめていた。……駄目だ。


「その勝負、受けるわけには――」「受けます」


 しかしアリサはこぶしを握り締め、そう言って前に出た。慌ててその肩を掴む。


「待てアリサ。君は――」

「大丈夫です。……それに、いずれ倒さなきゃならない敵です」


 アリサは静止を聞かずに行ってしまった。ナターリアも前に出てきて、アリサと向かい合う。両者がやる気な以上、止めるわけにもいかなくなってしまった。ナターリアは笑顔を浮かべて、


「アリサ。えっと……」

「絶対、負けないから」

 ナターリアはそれを聞いて、困ったような顔をした。


「うん……でも、私、怪我させないようにするから、大丈夫だよ」

 その言葉を聞いて、アリサはハッとした。


「準備はよろしいですな!」そこでサイモンが声を張り上げる。


 二人は距離を取って、杖を構え合った。

 両学校の生徒が見守る中――二人の少女が対峙する。数秒して、サイモンの「始めっ!!」という合図が響き渡る。直後、両者の放った魔法が衝突した――。しかし、結果は……。


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